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記事一覧

不整脈をもっている(写ルンです一個分の写真ぜんぶとエッセイ)

長らく不整脈持ちである。 初めて不整脈と診断が下ったのは、小学六年生のとき、修学旅行前に行われた健康診断だった。そのときは心電図の検査結果にただ「不整脈」と古めかしいフォントのハンコが押されただけで、精密検査を受けろと言われることもなく終わったが。 家からそれなりに離れた高校に通うようになると、学内での健康診断を担う病院も小・中学校とは変わる。するとどうだ、聴診器で心音を聴くだけのシンプルな内科検診で、毎回必ず引っかかるようになった。 名簿順で私より前の人たちが流れ作業

脈絡もなく夏(写ルンです一個分の写真ぜんぶとエッセイ)

ほぼ家から出なかった廃人のような七月。 最終週の平日だけ働いた。 去年、働いていた居酒屋が緊急事態宣言によって休業に追いこまれたとき、「この一回じゃ済まないんだろうな」と思って、イベント系の人材派遣会社に登録をした。その居酒屋が結局閉店してしまった今、この派遣の仕事にちょこちょこお世話になっている。 我ながら、よくもまぁ、人見知りで緊張しいの私がこんな仕事をできるものだなと思う。その日その場に行かなければ、どこに配置され何をするのか、どんな人と一緒に働くのか、どんな人が上

幼少期の満たされなさについて(写ルンです一個分の写真ぜんぶとエッセイ)

人生に対するやる気がなくて、ずっと家の中にいる。 それは「死にたい」と虚空に願うようなものではなく、まぁ別に生きててもいいけど「何か一発かましてやろうぜ」とは思えない、そんな状態である。ガス欠というか、もしくはMP切れというか。 働いていた居酒屋が閉店してもうすぐ二ヶ月。ちょこちょこ単発の派遣業に就いてはいるが、それも本当に最低限だけで、社会的な活動はほぼしていない。 現実から逃げるように、先月末から今月にかけてずっとゲームをしていた。『ファイアーエムブレム無双風花雪月

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ふと「故郷に帰りたい」と思うのは、いつも夏だった。 カフェやマックはおろか、コンビニすらない駅前。雨風が吹き込む古びた駅舎。一時間に一本の電車。Suicaなんてものは使えず、改札は駅員さんに切符を手渡す方式。故郷は、今住んでいる場所に比べたら、途方もないほどに不便な場所である。 故郷には何もなかった。だから学生時代、私は実家を早く出たくてしょうがなかった。買い物できるところがたくさんあって、ライブやイベントに気軽に行ける。そんな都会に漠然とした憧れを抱き、高校卒業とともに

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