今ここをともにする命との逢瀬、今ここに亡き命への弔い（月一フォトエッセイ）

2023年10月31日 17:55

枯れたひまわりの背に赤とんぼがとまって、コスモスが一斉に舞台の真ん中へと躍り出る。

世界が凍てついた眠りに入る前、季節は最後の命を燃やすように、鮮やかな色彩に染まる。

包み込むような柔らかさを得た太陽の光が、赤い葉を透かしながら土に落ちる。そこには黄色いイチョウの葉が寝そべっている。その死を慈しむかのように吹く涼やかな風は、この季節特有の芳香をまとっていた。風が吹いてきた方向を見やれば、橙色の小さな花が満開を迎えている。その木が金木犀の木であったと気づくのは、いつもこの時期だ。

写真とは、常に「今目の前に存在する具象」が必要なものだと、私は考えている。そうだとすれば、写真を撮る行為は「今この瞬間」を生きようとする営みであり、その実践なのではないだろうか。

ただ自分の目の前に存在する何かとレンズ越しに向き合う。そこに命があるならば、それは今この瞬間をともにするその命との逢瀬。そこに死があるならば、それは今この瞬間には亡きその命への弔い。具象を対象としながら、一方で輪郭のない今この瞬間を、形のない命を見つめている。

生を捉えるとき、私は自分以外にも生きている命があることに救いを得られる。一方で死を捉えるとき、私は自分の望む死を叶えた存在があることに安心を覚える。

目の前の具象に宿る光を捉えることができたならば、今この瞬間にある命は祝福されているのだと感じられる。今この瞬間も世界は美しくあると知り、少しは絶望がまぎれる。

生まれた意味も理由もない世界で、突き抜ける青空のような希望を得るために、私は写真を撮り続けているのかもしれない。

昨年、休耕の時期に一面の綺麗な花畑を見せてくれた畑は、何やら工事が始まっていた。家でも建つのだろうか。つまりあの光景はもう二度と見られない。身近な場所にある風景ほど実は移り変わりが激しい。そう気づいたのは写真を撮るようになってからだ。風景にすら死がある。自分が撮った写真の中にしか残っていない風景がいくつもある。

ほこりを被っていた母の遺影を拭いた。写真の中にあるのは常に過去。しかしそのとき確かに存在していた瞬間。

金木犀はあっという間に散り、香りも消え、私たちはいずれまたそこにある木が金木犀であることを忘れてしまう。脳は有限の記憶媒体。写真はときとして大切な何かを忘れないために、外部デバイスとしても働く。その意味では、写真は未来のためにある。

「今この瞬間」を生きようとすることで、過去と未来を繋ぐ。それは芽吹き、茂り、色づいて地に落ち、土に還って己の死を新たな命へと繋ぐ、木の葉の営みに似ている。

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折本配布のお知らせ

みんな風邪ひいてないですか？日に日に寒くなってきた今日この頃。季節の変わり目は特に心身の調子に気をつけてください。私は電車の冷暖房に自律神経をやられています。

さて、ただいまコンビニのマルチコピー機の「ネットワークプリント」を使い、上記の文章と写真から抜粋して作った折本を配布しております。カバンの中や手帳のあいだに潜ませて、心を鎮めたいときや一息入れたいときなどにパッと開いてみてはいかがでしょうか。

折本とは？

一枚の紙をカンタンに折りたたんで作る本のこと。A4サイズの紙の片面だけに全ページを印刷し、皆さんの手でちょっと切り折りしていただくだけで小さな冊子が完成します。

ネットワークプリントの利用方法

お近くのコンビニにあるマルチコピー機をご利用ください。A4サイズのカラー片面印刷で1枚60円（こちらは印刷代で、私の収益にはなりません）。フチ・余白・ちょっと小さめ設定は「なし」推奨です。

配布期限が一週間程度となっているので、ご希望の方はお早めに！

◇セブンイレブン
予約番号：66682918
（2023/11/07 23:59まで）
利用法はこちら↓

◇ローソン・ファミリーマート
ユーザー番号：HLWB99BJW5
（2023/11/08 17時頃まで）
利用法はこちら↓

折り方

一か所だけカッターで切れ込みをいれる必要アリです。

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月報

アルバイトが忙しい時期を迎えていてとてもしんどい。ストレスが即胃腸に来るタイプなので、毎日のように下痢をしている。休日も疲れ切って眠り倒す一日が絶対に必要なぐらい。まったく困ったものです。

遠出する元気はないけど写真は撮りたいみたいな日には近所の公園に。困ったときはこの公園、というぐらいによく行っている。いつも時の流れを感じさせてくれる大切な場所。唯一の遠出は昭和記念公園。キバナコスモスが想像の十倍すごかった。

今月はとにかく疲れすぎて大した思考もしていないし記憶もあんまりない。こたつを出したぐらい。毎日ぬいぐるみたちをこたつに入れて和んでいる。猫のぬいぐるみにはこたつが一番似合う。かわいい。来月は誕生日なので、その近辺でがっつり休みを取った。毎年恒例のひとり旅に出たい。どこでもいいからとにかく遠くへ、初めての場所へ行きたい。