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『うた新聞』2022年9月号

桃むいてかなしみしかない夏の昼追ひつめあるいは追ひつめられて 大口玲子 「~しかない」という言い回しは比較的最近のものではないだろうか。この歌では無理なく歌言葉になじんでいる。四句五句は息子との関係性だろう。家族という密室で、お互い追いつめ合ってしまうのだ。

制服や体操服で楽しげなるよその子たちを見て涙ぐむ 大口玲子 子の不登校に長く苦しんでいる主体。よその子たちも決して全員が楽しくいるわけでは無いのだが、そのように見えてしまう。毎日機嫌良く学校へ行って欲しいだけだが、子は自分とは別の存在でその意志もまた別なのだ。

③「短歌トラベラー! ボツワナ」こそばゆき感じ脊にあり一斉に「動かないで!」と皆カメラ向く 結城文〈ミーアキァットが私の頭の上に乗って立ち上がりあたりを偵察していたらしい。〉すごい体験だなー。もちろんコロナ以前の思い出だろう。地元の人との交流も印象的だ。

2022.10.15.Twitterより編集再掲