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『短歌往来』2020年12月号

①持田鋼一郞「岡井隆への三つの視角」〈歌人にとってはすべての日本語が現代語であることを論理的に述べ、実作によってそれを証明した歌人が岡井隆であった、ということになる。〉面白かった。色々な切り口があるということは、その歌人が大きい存在であったということだ。

②勝又浩「『役割語』という問題」〈短歌には代詠や成りきり歌、自分以外のものを「演じた」歌はたくさんあるのに、「役割語」がないという事実は不思議でもある。〉無いんだ?まず役割語という概念をもっと知らないと言えないことかも知れないが、無いと言われると気になる。

 この項によると、敬語も無いらしい。無いんだ?これから気をつけて見てみようと思う。

③恩田英明「玉城徹を読む」暴行をわれと語るをふとやめて蛇鳴くと言ひきかの軍曹は 玉城徹〈話し手が、ありえないことの「蛇鳴く」と口走ったことで、隠されている狂気が垣間見えてぞっとさせられる。〉この項で取り上げられていた玉城の戦争詠はすごくリアリティがあった。

④四方田犬彦「谷岡亜紀歌集『ひどいどしゃぶり』」〈雨は光景を占拠し、光景を遮断する。それは記憶のなかに蓄えられ、とこしえに長い時間を通して、事物をゆっくりと解体してゆく。〉四方田犬彦が歌集の書評を書いている!!凄みのある文と谷岡の歌が相俟って書評を文学にした。

 『アジア・バザール』から、谷岡の歌を長い射程で捉えているのも魅力。説得力大だ。

2020.12.16.~17.Twitterより編集再掲