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【企画物語】ICTはもはや日常 ~「教員も子どもも全員ICT活用実現!」で学び方が変わった洗足学園小学校の7年間の軌跡と10の工夫~

洗足学園小学校 赤尾綾子教頭先生にご登壇いただいた今回のイベント、もちろん本番も学びも多くとっても楽しかったが、なんといっても今回はその準備の過程も思いっきり楽しませていただいた。

◆出会いからの企画のきっかけ

振り返ると赤尾先生との出会いは去年の秋。あるイベントで洗足学園小学校に図書館を改修した素敵な空間「Bace_C」がオープンしたことをご紹介いただいた。
(同校の「Bace_C」についてはこちらの記事が詳しい。)
これ一度見てみたいなぁと思ってたところに開催された11月の同校のOpenDay。これは行くしかない。初めての訪問にワクワクしながら参加したこのイベント、オープニングの赤尾先生のプレゼンで度肝を抜かれた。感動した。その後見させてもらった各クラスの授業では子どもたちも先生も本当に楽しそうにiPad使いに使いまくってる様子に心奪われた。
世の中こんな楽しくiPadを使う方がいるのか。iPadでこんな楽しいプレゼンができるのか。この学校がICT先進校と呼ばれる秘密はここにあったのか。これはなんとしても学校CHLOOSのイベントに登壇いただきたい。そんなきっかけをスタートに今回のイベントの企画がスタートした。

◆準備から本番まで

準備の過程で何度か赤尾先生と打ち合わせさせていただき改めて気づいた。「楽しい」は何にも勝るモチベーションだ。「楽しむ」は何にも勝る推進力だ。
赤尾先生に手描きで書いていただいた今回の募集サイトのバナー、完成に至るまで実に6回描きなおしていただいた。こんな贅沢な募集サイトは私が知る限り他には見たことがない。

洗足学園小学校のICTのサイトには、こんな素敵なメッセージがこめられた動画が掲載されている。

『学ぶことは楽しいことです。
自由な発想で活動し、してみたいことに挑戦し、気になることを追求する。
どきどきわくわくの連続です。
友達のことを知り、互いに意見を交わすことで発想が広がり、考えが深まり、
もっともっと学びたくなるそんな当たり前のことができる学校でありたい。
「好き」から「得意」へ。これが本校の学びです』

そんな学びを実現されている学校の秘密を覗いてみたい。
先生も子どもたちも学び方が大きく変わったとおっしゃるこの学校の工夫と知恵を知りたい。
そんな想いでイベント本番が幕を開ける。

◆そして本番

「教育とはしていることである。」が教員としてのモットーであり教育とはその人の生きざまそのもの、との言葉からスタートし、Appleの認定校"Apple Distinguishied School"でもありiPadをもはや文房具として使うICT活用先進校でもある同校の様子が次々に紹介される。
「iPadは持ち帰るものではなく、ウチから学校に毎日持ってくるもの。」との考え方にも驚かされながら、手描きのKeynoteでのプレゼンでiPad導入から今に至る8年で繰り広げられ同校の様子やたくさんの楽しいエピソード、「奇跡の学校」とも呼ばれる由縁の紹介を楽しくお聞きする。

授業中、休み時間、校外活動、日常の中で当たり前のようにiPadが使われ、子どもたちは学びやすい方法を自分で選び、その場その場で自分が選んだ手段で学んでいる。あるシーン、Apple Pencilで書いている子もいればオンスクリーンキーボードを使う子もいる、ノートに手書きする子もいる。全教員がすべての教科で活用し、その時の学びに適した方法で子どもで自分で選びiPadは文房具になっている。ノート、テキスト、お絵かき帳、話し合いのツール、アルバム、地図帳、発表ツール、iPadはその時その時で何にでも変身するのである。オンラインでつながるのは日常で、学校と家庭間だけでなく、校内にいても教室の中でも常につながっているのは当たり前の状況がそこにはある。そこには「iPadが」「ICTが」なんて言葉はもはや、ない。授業の持ち物から「iPad」の記載は消え、指導案にももはや「ICT」との言葉はない。それがもう当たり前、なのである。

この後、まずは赤尾先生から参加者それぞれの職場について問われる。
・トップダウンだと早く進む?トップダウンだと進まない?
・足並みを揃える風潮がある?足並みを揃える風潮はない?
・管理職はICT活用に前向き?後ろ向き?
・教育を変えたい?変えたくない?
他たくさんの問いを投げかけられ、自分たちの今の環境を振り返る。
答えはみんなバラバラ。そう、みんな環境はバラバラなのだ。そこで知る、同じ方法では絶対に成功しないのである。その学校の風土に合わせた成功法があるのだ。

そして、同校で生まれた「10のTips(10の工夫)」が次々に紹介される。
例えばそのひとつは、「楽しもう」
同校では授業実践の共有をほとんどしてこなかったが実はこれが大きな効果を生んだ。
月に1~2回程度、放課後の20~30分、参加自由で開催される「ICT_cafe」の存在がある。時によっては子どもたちから教わる場にもなる。
学校には「ICTがなくても授業はできる」と考えるICT反対派の教員もいる。そんな層に「ICTを使ったらこんなことができます」は逆効果。とたんに前に進まなくなる。そこで、とにかくICTで楽しく遊んでもらう。それによりICTに対する肯定的な感情が生まれてくる。面白いことを聞くと「子どもたちに明日教えよう」と考えるのは教員としては普通の感情。(とはいえ、今では子どもたちはそのテクニックをすでに知ってたなんてことも最近は多々、、笑)。「面白い」「楽しい」と感じた教員には対話が生まれる。もしかすると授業のここで使えるかも、につながる。
そう、だいじなのはこれ。「先生方全員がICTを楽しんでます?」

※「仕組みやしかけがだいじ」。他にも9つの具体的なTipsが紹介されたが、そちらは学校CHLOOSに入会の上、ライブラリでご覧いただきたい。

赤尾先生のプレゼン後も参加者から次々と質問が飛び、同校の様子もお聞きしながらディスカッションが進む。先生が子どもに教えるスタイルだった授業がICTにより変化してきた過程や雰囲気についても知らされる。「トラブルが起きるクラスの先生をほめる。そんなクラスはいいクラス」との言葉も。

3月には職員室を改修されるという洗足学園小学校の様子を次にまた拝見できるのがとっても楽しみ。ぜひまた伺わせていただきたい。みなさんも、よければぜひ!

★参加いただいた方からのコメント★

面白かったです。話題がICTだったのですが、どうやったら組織を変えることができるのかが伝わってきました。先生方どうしが関わる仕組みがつくられていたと感じました。ありがとうございました。

赤尾教頭先生から発想の転換について学ばせていただきました。ICTは文房具として使う。だからICTで楽しんでみよう。楽しい学習タイムとなりました。ありがとうございました。

仕組みを変えることが、先生たちをハッピーにしている、という一言が心に残りました。私自身は管理職ではないので、どのように働き方をしかけていくのか…「管理職が推進派ではないと、無理」という一言が衝撃的でしたが、自分のもっている知識や教育的な技術を若い先生たちに、無理なくシェアしていけることから考えていきたいと思いました。

ICTの推進だけでなく、組織づくりやリーダーシップについてもたくさんの学びがありました。仕組みづくりが大切なこと、どんな仕掛けをつくるかなど、自分の仕事にも生かせるヒントを得ました。赤尾先生の考え方や、チームの意識、人を大切にするマネジメントが印象に残りました。ゴールに向かうためにどういう手段をとればよいか、リーダーとして考えていらっしゃるんだろうなと感じました。あっという間の90分でした。ありがとうございました!!

iPadという言葉が出てこない、黒板がない、デジタル教科書がない、というインパクトが大きいことだらけでした。
そのレベルでICTが活用されるに至った経緯には、「しくみ」、「しかけ」があったことがよくわかりました。
また、トップダウン、強制的なものから始まるきっかけの重要性も感じました。
何かきっかけがあれば変わる、とりあえずやる、やらなきゃ始まらない、と。
ICT活用だけでなく、何か新しいことを始めるためのメソッドを学んだ気がします。
本日は貴重な学びの機会をありがとうございました。
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written by 田中光太郎/学校CHLOOS

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