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逆説4:手段のルートハンティング

以前、「逆説2:メンバーの目的を最優先する」という記事をアップしたところ、森田さんという方から以下のようなコメントをいただきました。

(森田さんのコメント)
0から立ち上げたコミュニティではなく、僕のようにフリーで動いていて、既存のチームにジョインし、そこでコミュニティデザインを行うときに、既存のメンバーの「手段」を統一(もしくはチューニング)するケースなどあれば、またぜひ拝読したいですw

議論メシのように、議論という手段を中心に育ててきたコミュニティでは、その共通の手段によってメンバー全員の目的が達成されるような設計は比較的カンタンだと思います(詳細は過去記事参照)。具体的には、議論メシでは議論によってつながることで、様々なコラボレーションが起きる設計になっています。

さて、この質問のように、「メンバーありき」の状態を考えてみたいと思います。

場面としては、プロジェクトメンバーがトップダウンでアサインされた場合がまずイメージされます。他にも、コワーキングスペースは利用者ありきでコミュニティを育てていく点で同じ状況でしょう。

コミュニティデザインのキモは、コラボレーションが起きるかどうかです。メンバーありきでコラボレーションが起きる状況をどう作っていけるでしょうか?

インフルエンサーではない私たちだからこそできる、メンバーとの腰を据えた対話を通じた方法があります。

「異なる目的」でも
コラボレーションできるのか?

メンバーありきの場合、そこにいる人たちはそのコミュニティに関わる目的が異なる場合がほとんどです。同じプロジェクトのメンバーでさえ、そのプロジェクトを通じて得たいものは一人ひとり違うでしょう。

あるメンバーは自分のチカラでサービスを世に出してみたいと思っている。またあるメンバーは実績を作って活動の幅を広げたいと思っている。というような感じです。

人には個性があるのと同じように、コミュニティに関わる目的は人それぞれですから。

※もちろん、共通の目的のもとに強く結束したマイルドなカルトとも呼べるコミュニティもあり得ます。スタートアップ企業の創業時など。

「目的が違うメンバー同士がコラボレーションするのは無理なのでは?」

と思うかたもいるかもしれませんが、そうではありません。目的はメンバー間で異なっていても、実現のための手段を共有することができるからです。


山の登り方は無数にある

目的に対して、手段は無数にあり得ます。山頂は一つでも、山の登り方がたくさんあるのと似ています。

例えば「空き家を活用することで地域活性化したい」という目的をもったメンバーAがいたとします。Aの目的達成の手段として、カフェやコインランドリー、コワーキングスペースやシェアスペースなど、様々な空き家の活用方法が手段としてあり得ます。

そのメンバーAとは別に「地元熊本への移住者を増やしたい」という目的をもったメンバーBがいたとします。Bの目的達成の手段として、熊本への観光ツアー、リモートワーク推進、地元食材を使った料理イベントなどがあります。

ここで、メンバーAとメンバーBの「共通の手段」を設計することができれば、コラボレーションの可能性があります。どんな共通の手段があり得るでしょうか?

例えば、空き家を活用した地元食材料理のレストランをやってみる、というのはどうでしょうか?メンバーAとメンバーBの異なる目的を、共通の手段で実現できそうな感じがします。


手段を拡大解釈して
重なりを見つける

メンバーAとメンバーBの例のように、それぞれの目的を達成する手段のバリエーションをメンバー自身が広く認識することで、メンバー同士で手段の重なりが生まれてきます。

コミュニティデザイナーはこの重なりを見つけて、共通の手段をデザインしましょう。そうすればコラボレーションを生み出すことができます。

そのためには各メンバーとの対話が必要ですね。メンバーが何を目的としていて、そのためにどんな手段があると認識しているのかを聞き出しましょう。

登山に例えるなら、コミュニティデザイナーはここでは「ルートハンティング」をしているわけです。

※どんな登山ルートがあるのかを探すこと


共通の手段をデザインする
コミュニティデザイン

今回は「メンバーありき」の状態からどうやってコラボレーションを生み出すか、というテーマでした。

まとめると、メンバーの手段の拡大解釈を促して(ルートハンティング)、他のメンバーの手段との重ね合わせることで共通の手段としてのコラボレーションを支援をすること。

これがコミュニティデザイナーの役割だと言えます。

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