そのむかし。

ワタシがオットと結婚する時の話。

お互いの家への結婚の挨拶もすんで、新居も決まり、いよいよ新生活に必要なものを用意する時期になったころ。

突然オットが言った。

「あのさー母親がさーダブルの布団を仕立てて送るって言ってるんだけど」

ん？

ダブルのおふとん？

一回で理解が追いつかず、頭の中でリフレインしてみる。

だぶるのおふとん・・・だぶる・・おふとん・・・

えっ？！？！ダブルブトン？！？！？

ようやく頭の中でダブルのお布団が映像となって浮き上がってきたワタシ（遅いわ）

まだまだ初々しかったワタシではあるが、しかしいきなり義理の母から
「ダブルのお布団送るわねー」と言われると、なんだかよくわからないが・・・照れる。

いきなりダブルふとんってなんか生々しくて1人赤面するワタシ。

「な、な、なんでそんなこと？？」
とオットに問うも、「わかんないけど、いきなりそう言われたんだよね」と、「で、配送いつにしてもらう？」ぐらいの熱量で話をされて、焦るワタシ。

いや、あの、いやだと言ってるわけじゃないんだけど（言ってる）、ワタシ、眠りが浅いほうで隣の人が寝返りをうつだけで目が覚めちゃうんで・・

とやんわりお断りするようなことを言ってみたが、

オットにしてみたら、なぜこのツマは頑なにダブル布団を拒否するのか、よくわかんない風であった。

やばい・・・このままだとダブル布団が送られてきて、否応なくそのお布団で寝なくてはならなくなり・・

ワタシの睡眠の質はダダ下がりになる！！

オットは一度寝たら、朝まで何があってもなかなか起きない（一度、早くに寝てしまったオットが起きるかどうか試すために、美味しいお肉を焼いて鼻先でゆらゆらさせたときは白目を剥いて起きてきたので、それはそれでムッチャ怖かった）
ので、ワタシの「人が隣にいると気配で眠りが浅くなる」「お隣の寝返りはもちろん起きるし、自分の寝返りもむっちゃくちゃ気遣いして寝た気がしない」という状態は全く理解されないのであった。

うーん困った。

義母にもカドが立たないように、オットにも理解してもらえるように、このダブルふとん配送計画を頓挫させる方法はないだろうか・・・。

悩んだワタシは、まずは実母へ相談する。

かくかくしかじか・・と事情を説明すると、我が母は厳かに言った。

「あ、ダブル布団ね。あれはやめとき！」

いやいや、やめたいのは山々なのよ！！お断りする理由を探しているのよ！！

すると、母からの御宣託はこうであった。

「あれはね、どっちかが具合悪くなった時とかにまずいねん。
看病する方も病気がうつるし、ええことなし！
お布団だから汚すこともあるから、そういう時もダブルじゃ洗いにくいし、乾かなかったら寝るところなくなるで。
そんなにくっついていたければ、シングルを2枚くっ付ければええし、これから先に子供ができたら交代で夜泣きの担当する時とかも、別の部屋に1枚動かせばいいし、先々考えても、シングルが一番よ！ワタシもおとうさんとそうしてたわ！」

それだ！！私の頭にファンファーレが鳴り響く。
その理由、もらった！！！！！

翌日、ワタシはハハのご宣託をだいぶマイルドにして、オットに伝えたところあっさり理解してくれて、それを義母に伝えてくれたので、これにてダブル布団配送計画は無事に中止となったのである。

あぁよかった・・・。

そして最後にハハは言った。

「あとな、腹たったときに、別の部屋で寝るときにはシングルの方がええねん」

夫婦は喧嘩しても同じ寝室で休んだ方がいいというのはよく聞く話だが、
その後何十年も暮らしてきて、あのときダブルを受け入れなくて本当によかったと思う夜が何度かあった。

何より、夫が飲みすぎてリバース粗相をしたときが、心底「シングルでよかった・・・」と思ったNo. 1シチュエーションである。

もちろん翌朝、「ほーら！ダブルお布団じゃなくてよかったでしょおおお！！」と仁王立ちしたことはまぁ当然の成り行きと言えよう。
だってほら、具合が悪くて・・じゃなくて、ただの飲みすぎだからな！！

というわけで、ワタシはダブル布団に縁がないまま、もちろん旅行でお部屋をとるときも「ダブルのお部屋とツインのお部屋がございますが・・」とフロントの方に言われると、ツイ・・ぐらいの時にかぶせ気味に「ツインで！！！」と答えるほどに、ダブルを避けて生きてまいりました。

いや、どんだけ安眠したいんだ、自分（笑）
いやいやでも、睡眠は大事だもん。
お互いよく寝て元気でいなくちゃね！

・・というわけで、なんでダブル布団を思い出したのか忘れちゃったけど、今日はそんなnoteになりました。
おしまい。