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必読!夜間・休日に救急病院を受診する前に準備しておくこと十カ条

夜間や休日に突然体調が悪くなったとき、どうすればよいのか分からない方も多いでしょう。そこで、現役医師である私が考える、どう対応すべきか、どのような準備をしておくと良いのかを具体的に解説します。この記事が、皆さんが適切な医療を迅速に受けるための手助けとなることを願います。

  1. 症状の把握:自身の症状を具体的に理解しておくことが重要です。体調がどのように変化したのか、それがいつから始まったのか、どのような症状があるのか、薬は服用したか、悪化しつつあるのか、改善しつつあるのか、周囲の友人や家族などに同様の症状はあるのか、などをはっきりと伝えることが、医師の診断に大いに役立ちます。可能であれば日付や時間、体温などとともにメモを残しておくとスムーズに伝わり、医師もカルテなどの記録に役立てることができます。

  2. 救急病院か一般病院かの判断:すべての病状が救急病院を受診するほど深刻とは限りません。判断の目安としては、歩ける、飲水ができる(食事は数日であればしなくても大丈夫です)、症状が横ばいである、を満たしていれば一般的には軽症です。翌日日中に一般病院を受診しましょう。いずれかを満たさないような病状であれば、救急病院を受診することになります。

  3. 保険証と身分証の準備:必ず保険証と身分証を持って行くようにしてください。これらは診療を受けるために必須の書類です。

  4. お薬手帳もしくは服薬リストの準備:現在服用中の薬がある場合は、お薬手帳や使用している薬剤の一覧を作成して持って行くことをおすすめします。医師が新たに処方する薬を選択する判断材料となります。

  5. 休日診療や夜間診療のある病院の確認:あらかじめ自宅近くで休日診療や夜間診療を行っている病院を調べ、連絡先や場所をリストアップします。かかりつけの病院が救急対応可能な場合はまずはそこに連絡を取ってください。どうしてもかかりつけ病院が対応できない場合は、お近くの救急病院に順次連絡を入れ、受け入れ可能な場所に行くようにしてください。

  6. 付き添いや必要な連絡先の準備:思いのほか病状が悪いこともあります。可能なら受診は家族についてきてもらってください。無理な場合は、緊急時に連絡をとるべき人々(家族、友人、職場等)の連絡先をリストアップしておくと良いでしょう。受診直前にこのリストを作ることが難しい場合もあるので、普段からリスト化してお薬手帳に挟んでおくことをおすすめします。

  7. 現金の用意:クレジットカードが使えない場合もあるため、一定量の現金を準備しておくと安心です。

  8. 医療問診票の事前準備:初めての病院を受診する場合、医療問診票の記入を求められることがあります。自分の基本的な健康状態、既往歴/現症(過去/現在の病名)、アレルギー情報などを、あらかじめまとめておくとスムーズです。これもお薬手帳などに挟んでおくことをおすすめします。

  9. 119番への電話:病状が深刻である場合は、119番に電話をして救急車を呼びましょう。判断の目安としては、歩くことも難しい、意識が正常ではない、激痛である、などの深刻な病状であれば、遠慮なく救急車を呼んでください。

  10. 医療従事者への敬意と感謝:医療従事者がこういった内容を挙げるのはおこがましい感じがしますが、大事なことなのであえて書きます。医療従事者も人間です。夜勤で働いているスタッフは日中も働いて、そのまま疲労と寝不足を抱えたまま夜勤に入っている人が多くいます。日中であればサポートしてくれる同僚がいても、夜間は最小限の人数で診療に当たるため、通常以上にストレスのかかる時間帯です。そんなとき、心ない言葉を浴びせられたり、横柄な態度を取られると、ストレスはさらに重なり、普段はしないようなミスをするものです。あるいは全力で助けよう、という気力が削がれてしまいます。医療者への不必要な圧力は、患者自身への不利益となって返ってきてしまうので、最低限の敬意と感謝は忘れないようにしてください。逆に、最初から横柄な態度を取る医療従事者もいますが、それは厳に慎むべきであり、AI時代の今後の医療界ではそういう医療者から淘汰されていくはずなのでご安心ください(その点は別記事でも触れています)。

これらの十カ条を心に留めて、夜間や休日に緊急の医療が必要となったときでも冷静に対処できるよう準備をしておきましょう。そして、最も重要なことは、普段から自分の体調をしっかりと把握し、必要な医療を迅速に受けることです。健康は自分自身が一番よく守れるものです。私たち医師も全力でそのサポートをします。


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