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【業界研究】レイオフ騒動あったけど、これからのコンサル転職ってどうなの?

どうも、外資系うさぎのちょこさんです。

前回、いつ何が起きても最適な行動を取れるように備えは欠かさずにってnoteを書きました。

その後、デロイトとEYもそれぞれ米国内で1,200人(1.5%)、3,000人(5%)を削減というニュースが出てきました。
軽くググったところ、PwCはまだそのような話はまだないようですね。


と、そんなネガティブなニュースが飛び交う中で、コンサル就職/転職を目指しているんだけどこのまま業界に入って大丈夫なの?って思ってる各位も多いんじゃないかと思います。

そんな各位に向けて、ちょこさんなりの私見として「まぁ大丈夫なんじゃないかしら」ってお話をしていきますので、安心して鍛錬に励んでください。
大抵の場合、力があればなんとでもなるので力をつけましょう。


さて、本編入る前にいつものコピペです。
この記事も有料設定していますが、全文無料で読むことができます。もしいいねと思っていただけた場合は、ちょこさんの大好物のおいしいチョコレートを一粒調達するための費用としてカンパいただけると大変うれしいです。

では、本編をどうぞ。



◆結論:さすがに採用超拡大路線はそろそろ落ち着きそうだけど、日本市場のコンサルはまだまだ大丈夫

そりゃそうだろってなる結論かもしれないですが、
・日本のコンサル市場が大リストラ時代になることはなさそう
・ここ数年は採用拡大しすぎているのでさすがにそろそろ落ち着くはず
というのがちょこさんの私見です。


- 理由①:日本市場の成長率

今回のレイオフ騒動、忘れずに抑えておきたいポイントのひとつが業績の低迷やコスト削減の必要性が全世界共通で発生しているわけではないってことですね。
加えて、グローバル系ファームといえども、各国の現地法人が相手にするのはその国内のクライアント、というのも大きなポイントです。

つまり、どこかの国で業績が多少低迷したとして、他の国の人員を削減してカバーというわけにはいかないということなんです。

今回もKPMG、デロイト、EYは米国内での人身削減のスコープを明確にしています。
Big4の場合は各国のファームはあくまでメンバーファームとしてグローバルのブランドに加入しているに過ぎないので、国を跨いだ人員削減がそもそもしづらい、というのもありそうですね。

一方、アクセンチュアをはじめその他のグローバルファームは親子の資本関係があるのでBig4よりはコントロールが効きやすい体制なものの、前述のとおり国を跨いで人員削減する意味がないので、着目すべきなのは国別のコンサル市場の伸び率や業績低迷につながるネガティブ要素がどの程度あるかになります。

ここでひとつ、日本市場のコンサル市場の成長予測をしている外部記事を紹介します。
市場規模や動向の分析はIDCのレポートが定番なのですが、コダワリ・ビジネス・コンサルティングさんが結構細かい数字を出されていたので今回はそちらを使います。

日本国内コンサルティング市場(スタンダード予測)[十億円]

※引用元は⇩です


スタンダード、ポジティブ、ネガティブとかなり幅のある見通しではあるものの、業界全体でも少なくとも一定以上の規模を維持といった内容です。
さすがにここ4,5年くらいの急拡大は異常値とも言えるような規模だったので、それが落ち着いて安定感のある拡大速度に戻るのかなといったところですね。

ちなみに、米国のコンサル市場規模は10兆円ほどと言われており、国内市場が先程のグラフの2021年時点の1.5兆円とすると、国内市場はまだまだ伸びていく余地が十分にありそうと言えますね。


KPMG、アクセンチュアからも、「グローバルのレイオフ騒動は日本法人には影響ない」、「北米や欧州に比べGrowth Market地域、特に日本の成長が顕著」といったコメントも出ているようですね。


後者の方、普通にアクセンチュアの内部メールが流出してるっぽいんですけど、これ大丈夫なんでしょうかね…。

一応、アクセンチュアのIR資料を見てきたところ、現地通貨ベースの成長率は以下のとおり発表されていました。

Second Quarter Fiscal 2023 Infographic

・北米:5%
・欧州:12%
・上記以外:14%
ということですね。

念のため、昨年同時期の現地通貨ベースの成長率も見てきたところ
・北米:26%
・欧州:31%
・上記以外:30%
だったので、全体的にバブリーな成長が落ち着いただけで伸び率は問題ない、ただし北米は一気に成長速度が低下してきているので人員調整が必要になるのも頷けるといった内容かと思います。

Second Quarter Fiscal 2022 Infographic


ちなみに、上記資料はここから拝借しています。
上場企業はこういう数字すぐに見られるのでありがたいですね。

https://investor.accenture.com/filings-and-reports/earnings-reports/2023

ついでに、同じく上場企業であるベイカレのIR資料も定期的に目を通しておくと面白いです。



- 理由②:人材の流動性が高く採用ニーズは一定以上をキープ

理由①がだいぶ長くなってしまったのでここから先はサクッと書きます。

ここまでのお話で、日本のコンサル市場は、多少速度が緩やかになったとしてもまだまだ伸びていくだろうということが分かってきたかと思います。
でも、仮にほぼ成長しなくなったらどうなる?という疑問もきっと出てきますよね。

この話はとてもシンプルで、コンサル業界は人材の流動性が他業種に比べて高いので、仮に成長が止まった場合でも従業員数の維持のために一定規模の採用を続けないといけない、が回答になります。


具体的な例として、これもアクセンチュアの記事の引用になりますが、「かつては2桁あった退職率が半減し1桁になった」というコメントが出てきます。


半減して1桁に、ということは以前は10%代の退職率だったってことですね。
ちなみに、コンサルファームの退職率はだいたい15-20%程度と言われているので、業界水準の退職率の半分以下になった、ということになります。

他のファームも、従業員にやさしくしたり丁寧に教えたりしながら退職率の低下に努めているようなので、全体的に10%程度の退職率となっている、と仮置きしましょう。

そうすると、どこのファームもその人員規模を維持するためには、全体の10%程度の人数を毎年採用し続けないといけない、という状況になります。
従業員20,000人規模のアクセンチュアなら2,000人、3,000-4,000人規模のデロイトやPwCなら300-400人の採用が必要ですね。

というわけで、仮にコンサル市場の成長が一時的に止まったとしても、大手ファームだけでも人員規模の維持のために数千人規模の採用ニーズは残るので、コンサルタントとして採用され成長していくチャンスがなくなるかというとそうでもない、というのがわかりますね。


細かいことをいうと入社数年の若手コンサル~マネージャあたりの層と、それなりに生き残ったベテランシニマネ以上の層では退職率は異なるので、タイトルや年齢のピラミッドのバランスどうなるの?上のポジションの椅子はちゃんとあるの?若手が生き残る難易度は変わる?といった問題も出てくるのですが、そこは今回は一旦置いておきます。


- 理由③:他業界との利益構造の違い

最後に、そもそも論な話になるのですが、コンサル業界ってその利益構造上、そう簡単に従業員切れないんですよね。

これも引用になりますが、最近話題だったGoogleの売上の内訳はこんな感じです。


Apple、Googleなど世界を席巻する5大IT企業の収益構造をグラフ化してみたら、意外な違いが見えてきた - Finders

同様に、イメージしやすい例としてマイクロソフトはこんな感じの売上構造です。

※引用元はこちら。


対して、コンサル業界はどうかっていうと、言うまでもないのですが、基本的にコンサルサービスの売上が全てなんですよね。

正確には、コンサルサービスに加え、システム開発やシステム運用、アクセンチュアなんかはBPOサービスの売上もあるのですが共通点としては、コンサルタントやオペレーターの数が売上に直結するビジネスモデルです。

これはどういうことかというと、従業員数が減ると売上が減るビジネスモデルということです。
もっとわかりやすく言うと人月商売です。
要はひとりいくら*何人いるかのビジネスです。
ここまで言うとさすがに身も蓋もなさすぎるのですが、そういうことです。

対して、GoogleやマイクロソフトといったIT企業は、製品、ライセンスのサブスク、広告など、必ずしも従業員数に売上がストレートに比例するわけではないビジネスモデルなんですよね。
あと、Twitterもそうですね。

なので、とりあえず従業員を減らしてコスト削減という打ち手が取れます。
取れると言っても、従業員が減ると営業に支障が出たり、製品開発に支障が出たり、ユーザサポートに支障が出たり、と問題がないわけではないのですが、人月いくらの従業員を切ると即売上に跳ねるコンサル業界より従業員を切りやすいのは確かです。

参考までに、詳細はググっておいていただければと思いますが、アクセンチュアのグローバル全体での売上はコンサル:アウトソーシング(IT保守運用、BPO)でだいたい6:4、ベイカレントはコンサルティングの単一セグメントです。
どちらも人月いくらの商売、特にアウトソーシングは従業員を資本とした装置産業的なビジネスモデルなので、人身削減という手を単純に取りづらい利益構造になっている、というのがわかるとかと思います。

なんだか今回のnote、~~がわかるかと思います、みたいな言い回しがお起きがしますが、解説系のnoteってどうしてもそうならざるを得ないので、細かいことは置いといて分かっておいてください。


◆肌感覚としての大手ファームの採用動向


というところで理由を3つあげたあたりで今回のnoteも締めていきたいと思います。

…の前に、肌感覚的なところも。

ちょこさんの身の回りの出来事ですが、

・弊ファームも日本法人は積極採用継続中、ただし以前のように毎週のように中途採用面接が入る状況でもなくなってきているので、採用ペースはやや鈍化
(でも未経験中途のスタッフクラスの面接設定は多く、マネージャ想定のJTC管理職の面接もしばしば)

・新卒採用はファーム総出で面接しているくらい大規模
(新卒面接はこちらも学びになることが多いのでどこかでnote書きたい)

・ちょこさん自身のところにも、競合他社の大手ファーム、具体的には複数のDEKAPAIからビズリーチなどで採用人事からダイレクトスカウトが届く
(ちょこさんはそういうときはせっかくなのでカジュアル面談くらいは受けておくスタイル)

・採用エージェントからも明らかに競合DEKAPAIを匂わせる求人案内が多数届く
(ググれば明らかにわかるようなキーワードの散りばめ方からして、大人の事情がプンプンするやつ)

といった感じなので、今のところ大手ファーム各社とも一定の採用活動を維持していることは確実なようです。


それに加えて、中堅系、新興系ファームの採用活動も活発なようですね。
新興系は即戦力のシニコン上位~マネージャ層をターゲットとしている感もありますが、戦場の幅は確実に広がっているなと実感しています。


◆オススメの1冊

そんな感じで、今日は結論も先に書いちゃったし、なかなかよい文字数にもなってきたのでこれくらいにしておきたいと思います。

ここまででだいたい5,000文字弱です。
毎回、2,000-3,000文字くらいでサクッと書きたいとは思っているものの、なかなか実現できていないのが悩みどころです。

さて、今回は例の業界が騒然としている怪文書…。
ちょこさん最近たまには自社オフィスにも顔を出すようになってきてるのですが、見かけるんですよ、社内で、この本、しかもパートナーが座ってる席のあたりで…。

ちょこさんはおそらく筆者の方と同年代ではあるものの、中途でそれなりのお年から業界デビューしたクチなので、そこまで壮絶な若手時代は過ごしていないのですが、でも超ハードワーク世代と働き方改革浸透世代の狭間にいるな、というのは体感としてもわかるので、なかなか悩みが尽きない世代だと思ってます。

昔ながらのパートナー陣がやってくるような詰めをスタッフにしたら一発アウトですからね。
世代交代の必要性を感じつつ、だからこそあのバリューを出せていたというのも体感でわかりつつ、なんだかとても悩ましいお年頃です。

これから業界入する各位も、もはやそういう時代ではないものの、そういう時代に生きてきた現役勢がまだまだいて、そういう世代のバリュー感をまだまだクライアントも期待しているというところは何となくでいいのでわかったうえで業界入りしてきていただければと思います。

まぁ、求めるバリューは払っているフィーと比例するので、働き方だけ改革してバリューが減ったら意味はなく、いかに生産性をあげていくかという未だかつてないチャレンジを求められるのがこれからの世代です。

時間でカバーできていた今までの世代とどっちが良いのか、結論が出るのはしばらく先になりそうですね…。



というわけで、ではまた次回!
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