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『戦場のメリークリスマス』知られざる真実


とにかく、すごい映画なのである。
先日も感想をしたためたのだけれど、それでもやっぱり頭から離れない。
もっとこの映画を知りたい…ネットで参考資料がないか調べていると、WOWOWさんがドキュメンタリー放送した『戦場のメリークリスマス30年目の真実』が書籍化しているとのこと…!!WOWOWさん、ありがとう…。

帯の宣伝文句がとてもいい。

『1980年代、男が最も美しかった世界  男が最も哀しかった時代』

なんとなく、太宰治の滅びの美学を思い出す。
美しいからこそ男は滅んでしまったのかもしれないね。

映画のクライマックスシーンで、ヨノイ大尉が負傷した俘虜を突き飛ばして「全員嘘つきだ」と激高するシーン。
自分ではもうどうしようもなくなったヨノイ大尉が狂気に走り、俘虜達から憎しみの視線を向けられる悲しく苦しいシーン。
実はこのシーン、坂本龍一さんのアドリブだったとのこと。自分の気持ちが本当にそうなったので、心のままに動いたらそのまま採用されたとか。

映画って、奇跡が集まって作り上げられるのかなと感じた。
坂本龍一さんが、ヨノイ大尉を演じて、そして演じているその瞬間に感じたままに体を動かしたことでこのシーンが成り立っているのですよ。
このシーンがあったからこそ、セリアズからのキスがとても深い意味を持つように感じる。
この憎しみにあふれるシーンからの手放しの愛。

もうこのエピソードだけで泣けてしまう。
実写映画の良さというのは、人の演じる奇跡が生み出すものが集まって、
ひとつの作品を作り上げているということに気づくことができました。



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