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「一緒に働きたい」と思わせる「頼み方」を見つけたんで、聞いて?


はじめに

一緒に働きたいと思わせる人。 一緒に働きたくないと思われてしまう人。

僕は都内の某事業会社のデータサイエンティスト(以下DS)として働いている。

DSの仕事柄、単独で働くことは少なく、基本的にどこかのプロジェクトに属し、営業本部・プロダクトマネージャー・エンジニアと共に働く。したがって、仕事は基本的に割り振られたり、頼まれたりすることが多い。

前提として、みんなとても優秀で、手も頭も良く動くし、加えて人格も優れている。

ただ、「この人と一緒に働きたいな!!!」と思える人がたくさんいるのと同時に、なぜか分からんが、「この人と一緒に働きたくないな…」と思えてしまう人もいた。「この人の頼みなら時間を削ってでも協力したいが、あの人の頼みなら最低限の労力で済ませたくなる…」そんな気持ちだ。

しかも、これは自分だけではなく、周りもしっかり同じ気持ちを抱いていたようだ。その人の性格が悪いわけでも嫌な人でもないのに何故かそういった気持ちになる。なんでだろうか。

分析してみると、どうやらこの気持ちは、相手に対する「ものの頼み方」からきていることに気づいた。

そしてその職場の人を詳しく観察してみると、同期・先輩に関わらず、「一緒に働きたい」と思わせる人が持っていて、「一緒に働きたくない」と思わせる人に持っていない3つの要素が存在した。

一緒に働きたいと思わせる三つの要素

要素1. ビジョンを持っている

これ、マジで大事だった。
自分が「〜〜をみんなでやってみよう!」と声をかける時に全然意識してなかったしできてなかったけど、説得される側に立ってようやくわかった。
これがないと仕事を振られた方は全くワクワクしない

ルフィのいう「海賊王に、俺はなる!」という言葉あるじゃないですか。あれ、漫画だからわざわざ分かりやすいように言ってんのかなと思ってたんですけど、現実でもめちゃくちゃ大事

「一緒に働きてぇ〜〜」と思わせる職場の同僚はこのビジョンの伝え方が超うまい。

ある日、同期がめっちゃ目をキラキラさせながら自分に向かって言ってきた。

俺らで会社動かさねえ?マジでお前の知識があったら、俺のアイデアと組み合わせて〜〜円規模の売り上げが立つことが見えるんだよ。ただ、この案件はスピード感が命なんだよね。俺の方で〜〜は担当するから、この辺については頼んでもいいかな!」

こんなの言われたら頷くしかないじゃん。
「え?俺らで会社動かせるビジョンあんの?しかもそれ俺の力が必要ってことだよね?」となる。実際なった。他の案件が大変でも引き受けた。

一方で、「一緒に働きたくない」と思ってしまう人(先輩)の頼み方の始まりはこうだった。

「今先方(クライアント)の要求で、このようなプロダクトを作りたいと思っている。DS側で論点を整理して問題 & 課題を洗い出してもらっていい?なるはやでお願い。」

どう?めっちゃやる気削がれません?

このような頼まれ方をされると、まず防御姿勢から入ってしまう。
「あ、今工数が結構パンパンで急ぎ対応なのは分かりますけどちょっと待ってくれますか?」とつい言いたくなってしまう。

これはビジョン(WHY)を言わずに、何をして欲しいか(WHAT)だけを頼んでいるからだ。

言われた側は、一方的に仕事を割り振られた感覚になる。

ビジョンはWHYであり、人間はWHYに魅了される
WHATだけ言われてしまうと、俺じゃなくてもいいじゃんってなってしまう。

なので、上記の頼み方を自分なりに修正するならこんな感じにしたい。

俺は〜〜という問題を解決できるプロダクトを作りたいと思っている(WHY)。ニーズもヒアリング済み。だけど作るにあたって、データ的な観点の論点がありそうだから、協力してもらえないかな。一緒に良いプロダクトを作っていこう!」

皆さんはどうですか?僕はこう言われると一気にやる気が出てくる。

WHYとWHATについて見事に言語化した動画が見つかったので、こちらに共有しておく(HOWの話もこの中にはある)。この動画は、会社がモノを売りたいときに使うマインドセットだが、人間関係についても同様だと思う。

じゃあ次!!!

要素2. 相手の主体性を大事にする

これもめっちゃ大事だった。今回は同期ではなく、とても優秀な先輩Jさんの頼み方から気づいたものだ。

この先輩は、人にものを頼んだり、何か仕事を割り振るときは必ずと言っていいほど相手の主体性を尊重する。決して、相手から主体性を奪わないのだ。

この優秀な先輩の頼み方はこうだ。

「この辺についてさ、僕の観点から見ると、プロダクトを改善するために〜〜が必要かなと思ったんだけど、DSとしての観点から見たらどう思う?俺たちでは気付けない部分があるから(僕の名前)の意見を聞かせてもらっていいかな。もし必要であれば調査結果とかあればチームとしてものすごく助かる!」

これは、相手の主体性を奪わない頼み方になっている。なので、言われた側からすると、「やらされている感」が全くない。DS側からすれば、あくまで自分の意思で動いていると思えるのだ。ものを指摘するときも、相手に気付かせるような言い回しがとてもうまい人だった。上からものを指摘しない。

一方で「一緒に働きたくない」と思ってしまう人の頼み方の始まりはこうだ。

「プロダクトを改善するためにこちら側で〜〜という結論が出たから、DS側でこの観点について調査してきて」

あ〜〜〜〜、だるいだるい。また仕事が増えた。こんな感じで頼まれたらそう思ってしまわないかい?

この頼み方は、相手にNoや意見を言う余地をなくすような、主体性を奪う「支配的」なコミュニケーションとなってしまっている。なので、相手は自分から進んで仕事をする感覚は奪われてしまい、「やらされている感」だけが残ってしまうのだ。

宿題をやれ!と言う親に対して、子どもの言う「あーあ、今やろうと思っていたのにやる気がなくなった」って言うお決まりの文句があるじゃないですか。まさに主体性を奪われたからだ。

子どもが主体性を持った時のパワーや出力は大人顔負けなのは誰もが知っている。ものをお願いするときは、相手の主体性を維持したまま気付かせるのがいいのかもしれない。

例えばこんなのはいかがだろうか?

「この学校から出されている問題さ、(パパ or ママ)、すごく苦手だったんだよね。今どんな感じで問題を解いているのか、(パパ or ママ)に教えてくれないかな?」

要素3. 重要度を持たせる

最後の「重要度を持たせる」だが、お気づきだろうか。
上記二つの同期・先輩のコミュニケーションの中に既に組み込まれている。

〜同期の頼み方だと以下の太字部分〜
「俺らで会社動かさねえ?マジでお前の知識があったら、俺のアイデアと組み合わせて〜〜円規模の売り上げが立つことが見えるんだよ。ただ、この案件はスピード感が命なんだよね。俺の方で〜〜は担当するから、この辺については頼んでもいいかな!」

〜先輩の頼み方だと以下の太字部分〜
「この辺についてさ、僕の観点から見ると、プロダクトを改善するために〜〜が必要かなと思ったんだけど、DSとしての観点から見たらどう思う?俺たちでは気付けない部分があるから(僕の名前)の意見を聞かせてもらっていいかな。もし必要であれば調査結果とかあればチームとしてものすごく助かる!」

一方、「一緒に働きたくない」と思わせる頼み方を再度見てみよう。

・「今先方(クライアント)の要求で、このようなプロダクトを作りたいと思っている。DS側で論点を整理して問題 & 課題を洗い出してもらっていい?なるはやでお願い。」
・「プロダクトを改善するためにこちら側で〜〜という結論が出たから、DS側でこの観点について調査してきて」

どうだろう?
後者だと、自分をまるでコマとしか見ていないように感じる。この頼み方なら、「俺じゃなくてもいいだろ!!」とつい不満を誰かにぶちまけそうになってしまう。

人は皆認めてもらいたいものだ。ここをうまく刺激してくれる人に対して、我々は「この人のために働きたい!!」と思えるのだ。

この重要度を持たせるについては、以下の「人を動かす」にほぼ同じようなことが記載されていた。気が向いたら読んでみてほしい。

まとめ

どうだっただろう?正直、他の要素なんていくらでもあると思う。
ただし、この一年社会人として働いてみて、職場で一緒に働きたいと思える人が持っているものは、上の3つの要素がずば抜けて大きかった。

  1. ビジョンを持つ

  2. 主体性を奪わない

  3. 重要度を持たせる

「何かこの人と働きたくないな〜」と心当たりのある読者は一度この3点がその人にあるか観察してみてほしい。多分ないと思う。もしくは単に嫌いな人か。

自分が周りから「一緒に働きたい!」と思われるように、まずはこのものの頼み方を意識していこうと思う。


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