雪が溶けたとある冬の午後、家に帰ると大好きな人がいなくなっていた。
その人の持っていたものも、何かもなくなっていた。
私はパニックになった。涙が止まらなかった。

でも心のどこかで、やっと私のやりたかったことが始められる、
そう思った。

こんな言い方をしたらおかしいが、私は子供の時から子供が欲しかった。
それくらい人生で赤ちゃんを欲しくなかった時はなかった。
そんな私が赤ちゃんを持てなかったのは、パートナーが望んでいなかったからだ。

私は39歳。
40歳になるまでにもう出産はできない。ならば、せめて妊娠はしたい。
もう時間がないと焦る前にもう、私は3つの不妊クリニックに電話していた。
とにかく、妊娠する準備をしよう。
その日から私の心はもう女でなく、母になった。
母になる決意をした人生が始まったのだ。

当然私は急げば問題ないと思った。特に体に不調はなかったからだ。
血液検査の結果を見て、先生はこう言った。

「一つだけ問題があるとすれば、あなたの年齢の平均よりも卵子の数が少なくなっています。だからと言って妊娠できないわけではないですから、心配しないでくださいね。でもすぐに始めた方が良いということです。」

私は、忘れていた。
人生ではお金より大事なものは時間だと。
赤ちゃんが欲しかったなら、
なぜ今までがむしゃらに働いてきてしまったのだろうか。
なぜ今まで1秒たりとも急がなかったのだろうか。

でも、お金より時間よりも、大事なものがある。
『チャーリーとチョコレート工場』の中に私の大好きなシーンがある。

- There’s plenty of money out there. They print more every day. But this ticket……there’s only five of them in the whole world. -
（「お金は毎日印刷されて世間に出回っとる。だが金のチケットは世界にたった5枚しかない」）

この世で最も価値のあるもの、それはチャンスなのだ。
これ以上、私は落ち込んでいる暇はない。
今ここで私が挑戦できる状況にあること、これが最大のチャンスなのであり、それ以上に価値のあることはないのだ。

今しかチャンスがないと思った時、とにかく何も考えずに挑戦してみるべきなのだ。

婚活は人生でいつでもできる。
おばあちゃんになっても結婚する人はいる。
でも赤ちゃんは人生で決められた時間しかやって来ない。

目をつぶったとき、手を繋いで隣にいるのが愛するパートナーではなく、
小さな赤ちゃんであるなら、あなたは迷わず、妊活を先にするべきだと思う。

今日から私のシングル妊活記を記録していきます。
今どんな状況に置かれていても、親になりたいと願う、
全ての人を応援する記録を綴っていきたい思うので、
ぜひお付き合いください。