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第2回ひとり人工授精レポ

第2回目の人工授精はあっけなく終わった。

第1回目はあれほどまでに神秘的な体験だったのに、第2回は完全に流れ作業だった。
朝、排卵検査薬をしたところ、今にもLHサージが起きそうな数値だったので、病院の予約を入れ、仕事に早退のお願いの連絡をした。
仕事を慌てて抜けて、(不妊治療のことは言っていないので、なぜ当日に病院の予約が決まるのか疑問視されながら)病院に行き、病院ではなぜか研修中のナースも見学しますと言われ、その日地元のスポーツチームの試合があるということでなぜかユニフォームを着た2人のナースと部屋に入り、2人がぺちゃくちゃ喋るので、緊張感も痛みもなければ、精子が体の中に入った感覚も全くなく、あっという間に終わった。
家に帰ってからも、前回夜に起きたお腹の痛みは全くなく、体に何も起きていないんじゃないかというくらいだった。
ネットで調べに調べたところ、どうやら人工授精後はお腹は痛いよりは痛くない方が良いという見解が多かったが、何の反応もない方が心理的には不安になる。
前回は人工授精後に謎の茶色いおりもののようなものが体からたくさん排出されたが、今回は何も出ていない。あれは精子だったんだろうか。
また、前回はなぜか直後にカンジダになってしまったが、今回は何も起きなかった。
着床する感覚がわかる女性がいても、受精の感覚がわかる女性はこの世にほとんどいないらしいので、心配する必要はないのかもしれないけど、あまりにも何も感じていない。

夜は前回同様、疲れていたからなのか、排卵したからなのか、数週間ぶりにぐっすり眠れた。朝も眠気が取れず、出勤ギリギリまで眠った。久しぶりに他のことが何も考えられないくらい眠すぎるという感覚はとても安心できたし、心地良かった。


私は正直、自分が赤ちゃんを産む未来しか想像できていない。
私は一人なので、思いの大きさは事実上、母と父の二人分である。
だから今回もだめでも永遠にこれを繰り返すんだろうけど、お金の限界はある。
私は先日までニートだったが、やっと働き始めたものの、時短なので、相変わらず毎月貯金を切り崩しており、ずっと赤字である。

今購入しているドナー精子はあと1回分のみで、それを使い尽くした後の人生は未知数すぎる状態である。

ステップアップするにも、北米は体外受精の値段が高すぎるので、そうなると日本に帰ってやらなくてはいけないが、日本では選択シングルマザーでもドナー精子と体外受精できるんだろうか。そうなったら本気で調べないといけない。

もしくはクリニックを変えて、人工授精をやり直すか。その場合、遺伝子カウンセリングも生殖カウンセリングも改めて受け直さなければならず、またその費用がかかる。さらに言うと別のクリニックの先生が人工授精をOKしてくれるかもわからない。(体外受精から始めましょうと言う先生もいる。)

しまいには、私は購入済のドナー精子がなくなったら、40代の大台に突入してしまう。自分の感覚的には何も変わらないが、30代で妊娠したと言うのと40代で妊娠したと言うのは聞こえが違う気がする。

私はパートナーが自分の前からある日突然逃げて以来、愛犬と私だけで暮らしており、それから選択的シングルマザーになることを決め、この数ヶ月たった一人で妊活してきて、今はそれだけを生き甲斐に生きている。

まだ妊娠してもないけど、数ヶ月後にはお腹が大きくなっている自分しか想像できないし、その時に着る服ももう準備してあるし、産む病院まで心の中で決めているし、もう赤ちゃんの名前も決めている。

だから、当然妊娠できなかった時のことなんて考えていないし、そのパターンの人生に対しては何も準備ができていない。そんな希望もお金も若さも何も残されていない人生なんて想像したくないというのが本音でもある。

私が選択的シングルマザーを目指していることを打ち明けた友達の旦那さんに、「君の人生は映画のようだ。」と言われた。
もし私の人生が本当にエンターテインメントで、私が主人公だったとしたら、ここまでの苦しみを経て、私が最終的に赤ちゃんを授かれなかったら、観客は許さないだろう。私の人生が本当に映画なら、必ずハッピーエンドになるはずだ。
私の人生の第2章には赤ちゃんと私がいて、その先がどうなるかの続編を観客は期待しているはずである。

甘いと言う人もいるかもしれないが、それでも私は今とても頑張っている。
これまでの人生で一番頑張っていると胸を張って言える。

そんな私の願いを叶えてくれないほど、神様は意地悪ではないはずだ。


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