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霊視的なあれの話②

 先日、とあるスジで心理的瑕疵物件、いわゆる事故物件に関する写真に目を通す場面がありました。わたしは人の霊、俗に幽霊とされるものに関する感知は極めて不得手です。心霊写真とされるものや、あるいはそれに類似したような動画を見ても、しょうじき言ってあまりよく分からないことがほとんどです。
 それでも、案内されたその複数枚にわたる写真の一枚目、それは確かにはっきりと写り込んでいました。
 いわゆるゴミ屋敷とされるような場所であったかもしれません。洗濯の前後なのかも分からないようなたくさんの衣類。それが乱雑に積み重なり放置された場所が写り込んでいたその中に、不自然な首の向きになり転がる大きな顔があったのです。
 明らかにカメラに向いている顔。眼光あたりは穿たれた黒い影があるだけのようにも見えましたが、それでも視線が確実にこちらに寄せられているのは分かります。中年期ほどの年齢でしょうか。ずるずるに伸びた髪からは、ろくに散髪に行っていなかったのであろうことが見て取れます。
 それにしても顔面が大きい。自己主張が強いなと思いながら他の写真も見ていきましたが、他には写り込んではいませんでした。ただ、あちこちの壁に殴り書きされたような文字がみとめられ、読むかぎり、陰謀論とか選民思想とかそんな内容のものがほとんどでした。
 聞くに、そこで亡くなった方は孤独死だったそうですが、カルト宗教的なものにハマりこみ、口走る内容も要領を得ないようなものばかりとなっていたそうです。
 なるほどと理解しました。
 肥大した自我のゆえか、念ばかりがその場に遺り、俺を見ろと告げているのでしょう。

 その後、該当物件に関しては対処の流れを告げて、わたしの出番は終了となった次第です。

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