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現代語訳『古事記』がスルーしがちな『古事記』のエピソードをわかりやすく書いてみる

■国生みの前に書かれていること

『古事記』は、イザナキ・イザナミの国生み以降のストーリーは有名ですが、国生みの以前に何が書かれているのかは、あまり知られていません。

ちょっと『古事記』に詳しい人なら、最初の神は、天之御中主神(アメノミナカヌシの神)で、そのあと高御産巣日神(タカミムスヒの神)と神産巣日神(カミムスヒの神)が誕生して…と神々の名前が思い浮かぶかもしれません。

現代語訳の『古事記』を見れば、天之御中主神(アメノミナカヌシの神)からイザナキ・イザナミまで17柱の神々が誕生したことがわかります。

『古事記』冒頭の神々

でも、それでわかるのは名前だけです。

現代語訳『古事記』の中には、註釈で、どのような神さまなのか記している本もありますが、どういう根拠でそう言えるのかまで書いてある本は、めったにありません。でもそれは、とても危険なことなのです。


■現代人の常識を『古事記』にあてはめてしまうのをやめる

『古事記』の神々は、現代人の思考とは異なる思考で存在しているものも多く、簡単な説明が難しい神々も多くあります。

よく売れている現代語訳『古事記』は、わかりやすさを商品力としているために、例えば、天之御中主神(アメノミナカヌシの神)は、天の中心を象徴する神さまです、といった現代人にわかりやすい説明がついていたりします。

本当は、『古事記』が書かれた時代には、天の中心に特別な価値があるという考えは日本には存在していませんし、中心といった抽象概念を神とする発想もないので、天之御中主神(アメノミナカヌシの神)が、天の中心を象徴する神さまであることはありえない(※下記註)にも関わらずです。

『古事記』には、神々を通して現代では失われてしまった英知が記されています。それが、現代的な解釈で上書きされてしまっていては、その英知を知ることができません。だからと言って、原文は簡単には読めません

せっかく『古事記』に何が書いてあるかを知りたくて現代語訳を手に取ったのに、そこに書かれていることが古代の英知ではなく現代の物語なのでは、『古事記』を読んだことにはならないよなーと思って、できる限り忠実に1文字めから『古事記』を読むという連載をnoteで行ってきたのですが、思い入れが強すぎて、ものすごーく長くなってしまいました(冷汗)。↓↓↓

そこで、書き終えた「『古事記』通読」は註釈という位置づけにして、現代語訳『古事記』では分からない『古事記』のエッセンスについて、テーマごとにわかりやすさを意識して書いてみたいと思います。

せっかくなので、通読形式では書けなかったトピックについても書いていきたいと思っています。

具体的には、『古事記』に書いてある世界のはじまりについて とか、『古事記』から論理的に読み解ける世界の終わりについて とか書いていく予定です。

※註

天之御中主神(アメノミナカヌシの神)は、天の中心を象徴する神さまではないのなら、いったい何の神さまなんだ?ということは、「『古事記』通読④」に書きました。たくさん書いてしまったので長いです。パッとわかるような短いのは今後書く予定です。

長く読んでもいいから、どんな神さまなのかを今すぐ知りたいという方は、以下の記事をどうぞ。↓



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