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「ネット界の文春砲」人気ユーチューバーのコレコレさん(32)って何者? 自称・コミュ障。実は広島出身なんです。

 人気のユーチューバーの中に「ネット界の文春砲」と呼ばれる人がいます。広島市出身のコレコレさん(32)。視聴者から寄せられた著名人のスキャンダルやネットの闇をネタに生配信し、チャンネル登録者は150万人以上。10月に初の著書「告発」(宝島社)を出版しました。ネットの闇に接して感じることや、広島への愛着について語ってもらいました。(栾暁雨)

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若い子たちはネットで危険にさらされている

 ―投稿動画の再生回数は軒並み100万回超えですね。若者を中心に悩み相談が持ち込まれていますが、どんなものが多いですか。

 性被害やネットいじめ、人間関係のトラブルなど、結構深刻ですよ。リアルな声を聞いていると、ネットという世界で若い子たちが想像以上に危険にさらされていることに気付きます。「付き合っているつもりが体だけの関係だった」「避妊せずに性行為をされた」という相談は多い。しかも未成年。相手はネット上の有名人だったり、一般人だったり。普通なら泣き寝入りするケースです。

 なぜ身近な人じゃなくユーチューバーに相談するのかと思うかもしれないけど、親しい間柄だからこそ言いにくい面があって。今の若い子ってSNSでも複数のアカウントを持ち、本音と建前を使い分けます。友達には本当の自分をさらけ出せないし、親世代はネットをよく知らない。いざというときに相談できる人がいないから、僕のような第三者のところに来るのでしょう。

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Z世代でもネットを上手に使いこなしている人って案外少ない

―悩み事はどのようにコレコレさんの元に届くのでしょうか。

 ツイッターのダイレクトメッセージだったり、コレリス(コレコレさんのリスナー)からの情報提供だったり。毎日200件以上寄せられます。配信では被害者と加害者に電話で参加してもらい、詳しい事情や互いの言い分を直接聞くこともあります。そして僕と他のコレリスたちで解決策を考える。いろんな案が瞬時に集まって、面白いように解決しますよ。

 周りの大人に話したら「ネット使うな」と正論が返ってくるでしょうね。でも、1990年半ば以降に生まれたネットネーティブの「Z世代」にアナログ生活は無理です。生まれた時からパソコンやスマホがあって、便利さを享受していますから。

 ただ、デジタル慣れはしていても人間として成熟しているわけじゃない。Z世代でもネットを上手に使いこなしている人って案外少ないんです。SNS上の見ず知らずの相手をいとも簡単に信用しちゃうし。現実世界と同様、悪いやつは山ほどいるのに、その怖さが分かっていない。いじめ問題もより陰湿に、外側から見えづらくなっていますしね。ネットの陰で、昔とは比べものにならないほど複雑な人間関係が生まれている。その中で生きなくてはいけないのは、ある意味、不幸かもしれません。

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メディアも後追いした「ワタナベマホト事件」

―最近では、有名ユーチューバーの児童ポルノ事件が話題になりましたね。

 「ワタナベマホト」として活動していた元ユーチューバーがファンの少女に「裸の写真を送れ」と要求した問題です。彼がアイドルと結婚発表したタイミングなのもあって悪行が注目された。少女が僕の配信で告発したのがきっかけで、児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の罪で略式起訴されました。悩みが持ち込まれるのは、そうした実績を見て信頼してくれているのかもね。

 「告発系」以外にも、家出少女のふりをして、売春を持ちかけてくる大人を「釣る」企画や、渋谷でタバコをポイ捨てする人を注意する企画も人気です。タバコ嫌いなんで。

 正義感ってほどでもないけど、悪い人に注意するのは僕にとってはゴミ拾いと一緒。コレリスへの注意喚起になりますし、人から求められることがモチベーションにもなる。僕の配信が「生きがい」と言ってくれる熱狂的なリスナーがいるそうで、ありがたいです。

 企画の参考にするために、ヤフーニュースやツイッターでニュースも仕入れていますよ。時代や社会の動きをつかんでおきたいので。例えば、飲食業界が厳しいコロナ禍の今は、実際にお店に行って現状を聞くなんてこともやってます。動画に撮るのを条件に、自分のポケットマネーから100万円くらい提供することもあります。

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楽しみは温泉とウーバーイーツ

―高額ですね。これだけリスナーがいれば、収入にも結びつくのではないですか?

 年収は1億円以上、と言っておきます。でも基本、引きこもりで、週1回しか外出しないし、派手な生活はしていません。朝8時に寝て夜8時に起きる昼夜逆転生活で1日が短い。家では配信か動画編集かネットしてて、お金を使うのは趣味の温泉と食費くらい。食事はだいたいウーバーイーツですね。ぜいたくしたい欲もないし、稼ぐために配信しているわけでもない。

 ユーチューバーになりたい人も多いみたいだけど、それだけで食べていける人は全体の1%もいません。僕もたまたまライブ配信というジャンルで生き残れただけです。

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常にマスク姿、素顔は見せない

 ―ところで、いつもマスク姿なのはなぜでしょうか。

 鼻にコンプレックスがあるからです。マネジャーにすら素顔は1回しか見せていません。外で動画を撮っていると、イタズラでマスクを外そうとしてくる人がいるので、いつも3枚は持ち歩いています。マスクしすぎて、逆に素顔の方が「身バレ」しないかも。

中高は進学校。大学時代の夢は公務員

 ―コレコレさんは広島市の出身で、大学時代も広島市内で過ごしたんですよね。なぜ配信に目覚めたんですか?

 広島市内の中高一貫の男子校に入って、学年トップの成績を取ったご褒美にパソコンを買ってもらったんですよ。コミュ障だし、男だらけの中で友達もいなかったんで、ネットにのめり込みました。

 僕、小さい頃は勉強ばかりしてて。親が教育熱心で「いい大学に行け」が家訓。小学校ではいじめられっ子で、環境を変えたくて受験しました。

 パソコンを使い始めてからは、いろんなサイトに勝手にアクセスできないよう親が制限をかけていたんですが、自力で解除して「2ちゃんねる」とかをよく見てました。16歳の時、マイクを通した声を配信できるサイトの存在を知ったのがライブ配信の始まりです。視聴者は少なかったけど、ほぼ毎晩、自分の部屋で配信するうち、サイトで一番人気になりました。ネットだとなぜか上手に話せるんですよね。

 でも人気と反比例して成績は急降下。親にはキレられたけど、なんとか地元の大学に合格しました。特に将来の展望もなく、公務員目指してました。理由? リストラがなくて安定してるからです。

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コミュ障でもネットがあれば全く困らない

―意外な夢ですが、結局、配信者を選んだんですね。

 20歳のころ、動画サイト「ニコニコ動画」に生配信できるサービスが登場したんですよ。リアルタイムに反応がもらえるのが面白くて。声まねが得意なので、女性のフリをして下心がある男性を「釣る」っていう企画なんかをしていました。そこでも人気が出て、開始2カ月で登録者数1位に。大学でもリアルな人間関係には興味が持てず、友達はつくらないで毎日配信ばっかりやってました。

 その後はライブ配信サービス「ツイキャス」で「王」と呼ばれるほどに。ユーチューブを始めたのは5年前に上京してからです。今も配信は1日2~4時間やっているし、友人がいなくてもネットがあれば全く困らない。公務員にならなくてよかったです。

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広島に愛着。東京との2拠点生活もありかも

 ―上京しても地元愛があるそうですね。広島に帰省することはありますか。

 今年は企画の撮影で1度帰ったくらいです。コロナ禍だし、友達もいないんで。でも広島は住みやすくて食べ物もおいしいし、いい街だと思う。愛着はあります。この前、ふと思い付いて広島駅前の物件をチェックしたんですよ。そのうち東京と広島の2拠点生活もありかもなー。

 親とは疎遠で、僕が何をしてるかよく分かっていません。でも「人に迷惑かけないなら好きにしなさい」って感じで、干渉もされず気楽です。実家は中国新聞とってるんですよ。ずっと会ってない息子がある日、紙面にデカデカ載ってたら腰抜かすんじゃないかなー。でもきっと喜んでくれると思います。(写真は著書「告発」から、宝島社提供)