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ハウルの「探したよ」が聞こえる街、アルザスの都市コルマールを歩く


「やぁ、ごめんごめん。探したよ」

宮崎駿作品の中でも人気が高い「ハウルの動く城」で、主人公の魔法使いハウルが最初にヒロインに話しかけるセリフ。

今回はその「ハウルの動く城」のモデルとなった地、フランス東部、ドイツとの国境近くにあるアルザス地方随一の観光名所、コルマールの町をぶらり旅です。




ドイツからアルザスへ


私が住むドイツからコルマールのあるアルザス地方へは、49ユーロチケット(一か月国内乗り放題チケット)を使って向かいます。

実はドイツ近郊にある周辺国のいくつかの都市は、ドイツ鉄道が運航している列車を使った場合に限り、この49ユーロチケットの乗り放題区間の適用内。


電車であっさり国境を越えました


まずは途中停車駅、ストラスブールに到着。


ここからはフランス国鉄に乗り換えるのでチケットが必要


ドイツ鉄道に負けず劣らず遅延が多いで有名なフランス国鉄、しっかり電車が何本かなくなりはしたものの、乗車時間自体はものの30分ほどでコルマールに到着。


駅舎自体がとても古い印象


街歩き


このアルザス地方は昔からドイツ領だったりフランス領だったりを行き来していることもあって、街にどことなくドイツの雰囲気を感じることができます。

駅からは歩いて旧市街方面へ。



だんだんと、アルザス地方独特のコロンバージュ造りの建物が見えてきます。



このコロンバージュとはアルザス地方によくみられる木組みの建築方法で建てられた造りのことで、上の写真のように少しでも体積を確保するために回以上の部分が道路側に突き出ている様子がよく見られます。


他にもコルマールのコロンバージュづくりの家はとてもカラフルなのが特徴で、また道が入り組んでいて複雑な街なので、うろうろ歩くだけでもコロコロ景色が変わって目が飽きません。

コルマールは、かつてのドイツを中心に存在した神聖ローマ帝国の自由都市(封建制度や教会に属さず、市政や経済の自由を皇帝から与えらえた都市)であり、

先ほども述べたように、歴史上度重なるドイツとフランスの戦争に際して幾度となく双方に割譲しなおされた、複雑な背景をもつ都市です。

現在では、ドイツとフランスの文化が融合したメルヘンな街として世界中から観光客が訪れる観光名所となっています。


ちなみに、コルマールの姉妹都市として岐阜県高山市が挙げられます。



ここには船乗り場があり、小船に乗って街並みを見上げることもできました。(私は利用していませんが…)


ハートがちりばめられた家も。ここは確か飲食店だったはず。



これらの街並み、どうでしょうか。
ふと空を見上げるとまるで、ハウルとソフィが歩いていそうで胸が躍ります。
※ジブリが好きな方は、久石譲の「空中散歩」を聞きながら歩いてみてください。本当に二人が町のどこかにいる気分になります。


ランチにテラスで一杯


歩き疲れたのでお昼にします。

コルマールは中心のカテドラル(大聖堂)の周りにカフェやフランス料理店、アルザス料理店などのレストランが多く立ち並んでいます。

今日ランチを食べることにしたのは、「L'Amandine」というレストラン。
いい天気だったので、少し肌寒かったのですがテラス席に着席。
お昼からモヒートと、パスタをいただきました。



天気がよく日差しが気持ちいいお昼過ぎでした。


プフィスタの家


さて、コルマールでハウルの動く城を感じるのに欠かせないのがここ。
「プフィスタの家」と呼ばれるこの家は、かつて帽子職人だったプフィスタさんが買い取ったことでそう呼ばれるようになりました。

ここでも帽子職人、ハウルを感じてうずうずします。

この突き出た塔のような部分とベランダのように突き出た廊下部分が特徴のこの建物。

映画でソフィがハウルとともに空を歩くシーンで出てくる、画面右のこの建物のモデルです。

ちなみにこの緑の尖塔の先の丸い部分をハウルが蹴って前へ進むシーンも。↓

比較画像をパシャリ。



プチ・ヴェニス


続いて、コルマールのなかでも一番と言っていいほど有名な景色がここ、プチ・ヴェニスです。
その名の通り、小さなヴェニス=ベネチアのような美しい街並みと水のコントラストが楽しめる観光名所。


少し手前から撮影するとこんな感じ

この町も映画を思い出してみれば、ソフィがお父さんから引き継いだ帽子屋と、その前を通る蒸気機関車がある通りの光景にそっくり。
小川の部分を機関車が黒い煙を吐きながら通って行って…
どこかでソフィが帽子を作りながら窓から外を眺めていそうでワクワクします。


カフェにて休憩


ぐるぐると歩き続けて少しまた休憩します。


ガトーショコラとコーヒーをいただきました。


カフェの近くの街並みも素敵


首の家


そしてもう一つ、コルマールの数ある個性的な建物の中でもインパクトがあるものを訪れます。

それが、通称「首の家」。


一見普通のお家で夜のライトアップも素敵だったのですが、

ライトアップ

昼間によく見てみると

柱の節々に、絶叫したり笑っていたりさまざまな表情の”首”が装飾として付けられています。
その数なんと106個だそうで、みなさん建物の下から目を凝らして首の数々を見ていました。


夜ごはんにはアルザス料理を


夕食には、せっかくならとアルザス料理をいただくことに。
訪れたお店は「Flamm's Colmar」という、これまたカテドラルの脇にあるレストラン。

ここで私は、フランスのコニャック地方で作られるブランデー「コニャック」を、人生で初めて飲んでみることにしました。
感想は、ビールでいいかな、です。(笑)

人生初のコニャックは私にはまだ早かった

メインもこれまたアルザスのご当地料理らしく、ジャガイモとベーコンとチーズのグラタン?のようなもので、少しドイツっぽさを感じました。

さすがはかつてのドイツに属したアルザスです。


夜の街並みも美しい


コルマールはハロウィンの時期に訪れたからなのか夜のライトアップも美しく、昼のカラフルさとはまた違った景色を見ることができます。

紫色のライトアップでした



夜のプフィスタの家はこんな感じ

コルマールを一日中歩いた感想として、

この町にはマクドナルドやバーガーキングなどファストフード店がなく、その土地に根付いたレストランやカフェ、帽子屋さんや服屋さんで町が構成されていて、

そこが私の心を掴み、また何度でも来たいと思わせてくれる場所でした。


旅の〆にストラスブールへ


コルマール近郊のホテルに一泊したのち、この日は元来た道をたどって帰るついでにアルザスのもう一つの主要都市・ストラスブールに寄り道したいと思います。

コルマールから電車で30分北に向かうと、世界遺産の街ストラスブールがあります。


中央駅
マクドナルドにハイネケンがありました


旧市街


ここは、1988年に世界遺産に登録された「グラン・ディル」と呼ばれる旧市街地区。


川沿いをゆったり歩きます。


やはりこのあたりにもコロンバージュがよく見られます。


橋の上で記念に


綺麗に晴れた日だともっときれいなんだろうな~と思い、ストラスブール再チャレンジを誓いました。


ノートルダム大聖堂


ストラスブールといえばここ。現在世界第六位の高さを誇るこのストラスブールの大聖堂は、ゴシック様式の代表建築とされています。


赤褐色のこの姿が荘厳で、遠くから見ても圧倒的な存在感を放っていました。


遠くから見たらこんな感じ

長い列に並んで中へと入るとそれはもう感動もの。

ステンドグラスがふんだんに使われたザ・ゴシック様式で思わず見とれてしまいます。

欧州議会ビル


市内中心部からトラムで少し行ったところに向かいます。


なにやら国旗がずらりと並ぶ建物が。

実はここストラスブールは、幾度となくフランス、ドイツに奪い合われたのち、歴史的な和解の場所となったということで、

ヨーロッパ統合に向けての象徴の場所として欧州議会が置かれているのです。


こちら、日曜日であったため残念ながら見学できず…
ここもリベンジしなければ(笑)


と、ここらあたりで寄り道も終わり。
ハウルとアルザスを堪能する旅も、ここでおしまいです。

念願だったコルマールは予想を上回る素敵な街でした。

それではまた!

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