見出し画像

『ふるさとポルノ記 津軽シコシコ節』

『ふるさとポルノ記 津軽シコシコ節』

公開:1974年
監督:白井伸明
脚本:今野恭平
撮影:山崎敏郎

あらすじ
のどかな田園広がる田舎町に寺の息子が修行を終えて帰ってきた。たくましく、好青年然とした寺の息子は欲に飢えた村の女たちの本能を刺激する。寺の息子は幼なじみのスワちゃんという意中のひとがいるのだが、仏道などそっちのけ、欲深い女たちのアプローチを処理するのに必死。駐在やウグイス嬢、やぶ医者から女中、村人たちの欲望が交差してゆき、物語は空っ風のように吹き抜けていく。

感想
ずっと前から観たかった作品。ようやくDVD化されて観る機会を得た。
冒頭から津軽節の効いた鏑木サウンドが展開され、幸福度は爆上がり。加えて、村人たちの津軽弁もなかなかにへヴィ(字幕がないとなに言ってるのか聞き取れない部分もある)で、このエキゾチックな感じが堪らないということで、完全にノれた作品だった。

良くも悪くもステレオタイプな田舎のイメージ(夜這い、サセ子など)が存分に描かれており、性の相関図もそういった向きになっているゆえに、様々な思惑が絡み合い、(一応の決着はつくものの)物語は空中分解してゆく。混乱を極めた村人の疾走シーンの潔さ、画面全体を埋める自然豊かな緑に浮かび上がる肌色が美しく、そういった眼福を存分に得られる映画だと感じた。