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【映画レビュー】いつかこの映画を思い出してきっと泣いてしまう【笑いのカイブツ】

どうも、せまるです。

2回目の記事になります。

今回は新進気鋭の映像監督と実力派俳優たちが伝説のハガキ職人の半生を映画化した作品、「笑いのカイブツ」について語っていきます。
よろしくお願いします。

「笑いのカイブツ」(2024/01/05公開)



〈はじめに〉

みなさん、好きなことを仕事にしていますか?

いきなり臭い事を聞くのはこれ限りにします。

ですがこの作品を観るにあたっては、このテーマを念頭に置きながら観てみた方がいいと思っています。人間誰しもが好きなことを仕事にして食っている訳では無いですし、今の仕事が大好きな人もいれば大嫌いな人もいる訳で。
ちなみに私は今の仕事がどちらかと言えば好きではないです。就活時代には可能ならやりたくないなと思っていた職種の1つでしたが、今ではそれをなんやかんやで1年近くやっています。
それにこれで食っていきたいと思えるようなこともなく、そこに向かって舵を切る覚悟もなく、ストレスで体調崩しながら鬱蒼とした退屈な社会人生活を過ごしています。

前置きは置いといて、ここからが本題です。
全てはお笑いのために苦しむ男を情緒的に描いた作品について語っていきます。


〈あらすじ〉

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主人公「ツチヤタカユキ」は、自身のお笑いの考えこそが至高であると強く信じており、お笑いや番組のネタ等を考え作る放送作家を目指していた。お笑いの事務所を突撃し、紆余曲折あり、放送作家として食っていくようになるが、人間関係や理想という壁にぶつかってしまう。

お笑いと人間関係という無限地獄の中で葛藤していく姿と、そんな彼を見守る周囲の人間を描いた作品である。

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ツチヤタカユキという人物は実在し、かつては伝説のハガキ職人として視聴者参加型の大喜利番組や深夜ラジオ番組に名を残し、人気漫才コンビ オードリーの若林正恭にその実力が認められ、作家として活動していた方です。現在は構成作家の表舞台の仕事はしていないそうです。

私自身、ツチヤタカユキという名前を聞いた事ある程度で、詳しい経歴や経緯などは知らないままこの映画を鑑賞しました。


〈鑑賞直後の感想〉

率直に感想を言うのであれば、正直難しかったです。
主人公の心理や何を描きたかったのかをあんまり理解や共感をすることができなかったので、鑑賞直後は心の底からは楽しめなかったです。
あまりにも非常識で無口なツチヤタカユキの言動に対して、鑑賞中はちっとも同情することができず、そのまま約110分が終わってしまいました。

しかし、ただ単純に面白くない映画だったならレビューを書いて語りたいとは思いません。どうしてもレビューを書いて語りたいと思った理由がこの映画にあったことを鑑賞後数日経ってからようやく気づいたのです。

その理由やなぜ鑑賞直後は面白くないと思ってしまったのか、感想も交えながら解説していきます。


〈理由① 豪華すぎる実力派俳優たち〉

主人公 ツチヤタカユキを演じたのは様々なドラマや映画で名脇役として存在感を放つ岡山天音。最近は実写映画「キングダム」にも出演していて顔を見たら思い出す人も多いと思います。今回は尖りに尖りまくった社会不適合者を見事に演じていました!まさしく怪演。怒りも悲しみも苦しみを演技が凄すぎて逆に見ていられないくらいの衝撃で圧倒されました。

また彼を見守る2人、ミカコ役に松本穂香、ピンク役には菅田将暉が出演しており、圧倒的な演技力と存在感で映画を彩っています。
正直、松本穂香も菅田将暉もあまり好きじゃない俳優と思っていましたが、そう思っていた自分が許せなくなりました。普通に凄かったです。最近の菅田将暉と松本穂香の出演作品を片っ端から見ようと思います。

そして仲野太賀と板橋駿谷の2人が、後に才能を認め手を差し伸べるお笑いコンビ オードリー(作中では「ベーコンズ」というコンビ名)を演じています。
この2人の演技が本っ当にオードリーの若林と春日にそっくり!!

劇中でベーコンズを演じる仲野太賀(左)と板橋駿谷(右)

昨年放映された日本テレビ系ドラマ「だが、情熱はある」ではKing&Princeの髙橋海人が若林正恭を演じ話題になりましたが、それを越えようとしてくる仲野太賀による再現度と技巧派な演技がこの映画の魅力でもあります!ドラマと映画、セットで鑑賞するとまた違った楽しみ方もできると思います。

あと個人的に板橋駿谷が大好きな俳優の1人ので、今回もスクリーンで板橋駿谷を拝むことができて最高でした。

豪華な出演俳優たちによる名演または怪演がじわじわと劇中の名シーンを思い出させてくれます。今まで人並み以上には映画を観てきましたが、後から演技力でじんわりと感動させる映画はおそらく初めての体験です。


〈理由② えも言えぬエモ〉

私はツチヤタカユキよりはマシだと思っていました。彼よりはちゃんと会話などで他者とのコミュニケーションを図ることができます。また彼よりは冷静になって衝突を避けようとすることもできます。だから鑑賞中及び鑑賞直後は共感も感動も得ることができませんでした。

でも数日経ってから、私はツチヤタカユキよりもつまらない人間であるのではないかと思ってしまいました。彼のように心の底からやりたいこともなく、命を懸けても良いと思うこともなく、悔しくて泣くこともできない人間だったと自分を客観視することができました。「納得できない現状を自身に言い聞かしている私」と「現状に納得できなくて藻掻いて衝突してしまう彼」との似て非なる立場が受け入れられなくて、心の底から面白いと思うことを拒んでしまっていた気がします。

そして後から「自分はツチヤタカユキのようにやりたいことで苦しんでるか?」と自問自答すると胸を締め付けられる感覚になりますが、この映画を観てよかったと思わせてくれました。この何とも例えようのないエモさというか、貴重な体験がこの記事を書こうと思ったきっかけでもあります。


〈最後に〉

いかがでしたか。

書いてる身としてはまだまだ立派なレビューを書くには文才力が足らないと痛感しました。ですが今はひたすら映画を観てレビューを書くの繰り返ししかないので頑張ります。それにたぶん今の私にとってやりたいことは映画のレビューを書くことだと思いますし。

普段の私を知っている人からすると、なに感傷的になってるんだよと思うだろうし、普段のイメージとは違う一面を見せてしまったかもしれません。

安心してください。
こんな臭い記事を書くのはこれ限りにしますから。

〜完〜

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