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『漁港口の映画館 シネマポスト』では奥田裕介監督作品『誰かの花』の上映を無事終えることができました。
ご鑑賞いただいた皆さま、また応援いただきました皆さまには誠にありがとうございました。

毎作品、一週間を終えたその日に近くのファミレスで遅い夕食をスタッフとで過ごす時、安堵と寂寥感が同時に訪れます。
そして店を出る時には次作の準備モードに切り替わるのです。
多かれ少なかれ既存の単館系映画館をご経営の皆さま方も、若干似たような心持ちなのかもしれないと勝手に想像しています。
シネマポストは熟考を重ねてセレクトした一作品を丹念に宣伝し公開初日から一週間上映していく間、各回上映後は私と状況に応じて副支配人(24歳!)がひと言解説のアフタートークをするスタイルで運営しています。
基本となるのは愛情を注ぐことのできる映画が対象となりますので、売れ線だの人気キャストが出ているは関係なく映画系譜に則った志の高い映画を、自分の言葉で客観性を意識しながらお話しさせていただきます。
故に一作品が終わる都度、思い入れの整理に伴うある種の感動がふと湧き起こるのだと思うのです。

少し逸れますが、若さの勢いや感性一発勝負が動機となっている等、自己承認欲求が強いテーマの作品がとかくインディペンデント系にはよく見受けられるのですが、正直私には物足りなく思うのです。制作側の情熱は否定しませんが、パーソナルな問題はパーソナルで解決すべきであり、映画にまでする意味をより深めてほしいと私自身も作り手の端くれとして、そこは如何に先達へのリスペクトを払いながら、何故に自分が描いて、誰かに観てもらう必要性が生じているのか…そこを如何に追求できるかが‘ものづくり’の根幹だと考えます。

自分自身、作品との出逢いがイコール人との出逢いとも言い換えられ、その相関関係の魅力に惹かれるからこそ、例えば今回の『誰かの花』にはもっといろいろな人たちに観てほしいと願わずにはおれない日本映画の希望を感じて已まないのです。
良い意味で後ろ髪を引かれるような作品に出逢えたのは幸運なことでもあります。
シネマポストの杮落としに公開しました工藤将亮監督作品『遠いところ』も同様のポテンシャルの高さが伺えます。
総じて日本映画の未来は明るいのではないか、ミニシアターを始めて、工藤監督、奥田監督と遭遇できたことに改めて偶発的ではない引き寄せられる何かがはたらいたと私は思っています。

シネマポストにお越しいただいた皆さま方からも逆に触発されることもしばしばです。

凡そ予期せぬ日々を歩き続ける。
実直に真面目にひたすらに。

【漁港口の映画館 シネマポスト 次回作品紹介】
『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』
2.17(土)〜2.23(祝・金)

ル・コルビュジエ建築の世界遺産、東アジア最高峰の西洋美術の殿堂に密着したドキュメンタリー。関係者の声をくまなく広い集めた公の美術館のありかたを問います。
初日17日の16時30分上映開始回の終了後、下関市立美術館・学芸員の渡邉祐子さんをお招きしてのトークイベントを予定しております。
どうぞお楽しみにされてください!



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