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【戦争勃発で市場はどうなる】資産運用への影響を解説。原油価格が鍵

こんにちは、CIOです。
今回は、中東における軍事衝突が資産運用に与える影響について解説します。
ご存知の通り、10月7日、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム武装組織「ハマス」がイスラエルに侵入したことをきっかけに、現在両者は戦争状態となっています。死傷者の数は増え続けており、一刻も早い停戦を望むばかりです。
人命が危険に晒されているこの状況でお金の話ばかりするのは良くないと重々承知しておりますが、今回は戦争によって資産運用に不安を感じる方もいると思いますので、その影響について解説いたします。


🔽動画はこちら


【株式市場】

まずは株式市場についてですが、現時点(10/18時点)では株価への影響は小さいです。
10月の日経平均はほぼ横ばい、米国株は上昇しており、大きなショックは起きていません。


ボラティリティ

一点気になるのは、ボラティリティ、つまり価格変動の大きさです。
最近の日経平均は、500円以上下落した翌日に大幅に上昇するなど、ボラティリティが高くなっています。
ボラティリティと恐怖の大きさは比例するので、市場による中東情勢の警戒は株価にも反映されています。

企業業績

続いて、株価の重要な要素「企業業績」ですが、今回の戦争によって、すぐに大きな影響を受けるとは考えていません。
日本やアメリカ企業はイスラエルに子会社や現地法人を持つ会社も少なくないですが(製薬や半導体など)、企業全体で見れば事業規模は小さく、業績への影響は小さいです。
よって、長期的な株価の成長に大きな影響はないと思います(このあと例外をお話しします)。
中東情勢によっては今後も株価の急落が想定されますが、動揺して売却してしまうと機会損失が発生しやすいため、冷静に対応することが大切です。


【原油】

株価や業績への影響は小さいとお話ししましたが、例外として、原油価格が高騰する場合はその限りではありません。
原油価格が与える影響は非常に大きいため、原油に直接投資をしていなくてもチェックする必要があります。

今日現在(10/18)、代表的な指標であるWTI原油先物価格は87ドルで、戦争開始前から5%ほど上昇しています。

産油国の多い中東で軍事的衝突が起こると原油価格は上昇しやすいです。

原油価格の急騰は、物価高を通じて世界経済を悪化させます。
よって、莫大な利益を享受する一部のエネルギー企業は除いて、企業業績や株価にも悪影響を与えます。

原油価格が上がればガソリン代も高くなるため、輸送費が上昇します。
また、石油やLNG価格の上昇を通じて、電気・ガス代も上昇します。
さらに、プラスチックなどを生産する素材産業では原料のほとんどが石油であるため、コストアップを通じて販売価格が上昇します。
これにより、川下のメーカーでも原材料価格が上昇します。
このように、原油価格の上昇はあらゆる産業でコストを上昇させ、業績を圧迫します。

さらに、企業の価格転嫁によって、結果的には我々消費者が購入する最終製品が値上げされます。
過度にインフレが進むと消費が抑えられる為、経済へのダメージは大きくなります。


オイルショック

インフレによる経済の停滞は、いわゆる「オイルショック」で見られた事象です。
1973年に始まった第四次中東戦争をきっかけに、中東産油国は原油価格を大幅に引き上げ、世界経済の停滞につながりました。
日本では、翌74年の消費者物価指数が20%を超え、狂乱物価と呼ばれました。
激しいインフレにより、日本経済は戦後初のマイナス成長に陥り、高度経済成長の終わりを迎えます。

このように、原油価格は世界経済を大きく左右します。
今後の原油価格の動向は、中東の戦況によるところが大きいです。
仮に周辺諸国を巻き込んだ大規模な戦争となれば、原油価格のさらなる上昇が想定されます。
ただし、オイルショック当時と比べてイスラエルとサウジアラビアとの関係が改善されているほか、アメリカが原油生産量を拡大し供給が増えている点などから、当時のように価格が数倍まで跳ね上がることは考えにくいです。


【安全資産】

最後に、伝統的な安全資産について解説します。

ゴールド

代表的なゴールドは、いわゆる「有事の金買い」で、軍事的衝突以降に大きく上昇しました。
それまでは米国金利の上昇を受けて緩やかな下落が続いていましたが、地政学リスクの上昇を受けてゴールドに資金が集まりました。

ゴールドの価格決定要因についてはこちら(すぐ下に掲載)の動画をご覧いただきたいのですが、ロシアのウクライナ侵攻や今回の中東での戦争など、地政学リスクが高まると金への需要も高まります。https://youtu.be/qIuHtGcz24M

今後の価格については、原油同様に戦況次第です。
これからさらに上昇する可能性もありますが、基本的には有事の前に買っておくのがポイントです。
私も日々コツコツと投資をしています。


債券

もう一つの安全資産である(米国)債券については、一時的な上昇はあったものの、価格の低下が続いています。
債券価格が下落する背景には、中央銀行の継続的な利上げに加えて、財政の悪化で信用が低下していることで、米国債に資金が集まらなくなっていることが背景にあります。
米国債券の歴史的な低価格は引き続き投資のチャンスだと考えていますが、戦争による価格の上昇は見られていません。

最後に

今回は、中東での軍事的衝突が資産運用に与える影響をお伝えしました。
現状は、株式、原油、ゴールドで戦争の影響が見られるものの、それほど大きなショックは起きておりません。
今後の動きは戦況によるところが大きいですが、最も注目すべきは原油価格の動向でしょう。
原油価格が高騰してしまうと、世界経済や株式市場へも影響が大きくなります。

今回もご覧いただきありがとうございました。

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