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資産を増やしたい人が円安でやってはいけない投資5選

こんにちは、CIOです。
今回は、円安の間は注意したい投資についてお話しします。
ドル円相場は1ドル150円付近で歴史的な円安が続いています。

しかし長期的には、現在よりも円高に推移すると考えています。
過去の事例を見ると、1998年1ドル147円まで円安が進んだ後、わずか2ヶ月で35円ほど(20%超)の急激に円高となっています。


円高は米国株や米国債の円建て価格を下げるため、日本の投資家にとっては大きなリスクです。
今回は、円安が進む今、投資すべきでない商品や注意点をお話しします。

🔽動画はこちら


①FX取引を始める

長期的な円安が続いていることで、FXでドル円の取引(円売りドル買い)を検討している方もいると思います。
十分な知識や検討の上で始めることは否定しませんが、FXは極めてリスクが高いので注意が必要です。

FXはレバレッジを利用した取引が一般的です。

国内取引の上限である25倍のレバレッジで考えると、10万の入金で250万円分の取引が可能です。
利益が出れば本来の25倍となる一方で、大きな損失となるリスクが大きいです。
また、為替は通貨の相対的な価格なので、上限も下限もありません。
そのため現実的にはあり得ませんが、理論上は一ドル=1円にもなりうるということです。
今後円高に転換した場合、FXの損失は際限なく膨らむことをご理解ください。

ロスカット

そしてFX取引には「ロスカット」があります。
損失が一定以上に達した場合、強制的に損切りする制度です。
FXは大きな損失発生のリスクがあるため、取引会社は自らを保護するためこの仕組みを設けています。
投資家としては強制的に損切りしてくれるとも言えますが、ロスカットを恐れて入金し、さらに損失が拡大するリスクもあります。
(まさに私もロスカットを恐れて入金し続け、苦い思いをしたことがあります。高すぎる勉強代📖😭)

このように、FXは非常にリスクが大きく、投資よりも投機に近いです。
明確な根拠を持って取引するならば否定しません。
ただ円安だからという理由で安易に始めると危険だと思います。

②外貨建て資産のみに投資する

皆様は、外貨建て資産(海外資産)の割合はどのくらいでしょうか。
今の状況では、米国株、米国債、全世界株などの海外資産のみに投資するのは、円高リスクが大きいと考えます。



極端な円安環境でなければ、米国、欧州、アジアの株式や債券に分散することで、海外資産だけでも十分リスクを小さくすることができます。
ただ、現在日本円は主要な通貨全てに対して円安となっています。
少し前までドル一強の期間もありましたが、現在は全通貨に対して日本円が弱く、ユーロやポンド、人民元に対して円安の状況です。

先日台湾を訪れたのですが、この2年で30%の円安となっており、物価が高く感じられました。
このような環境で海外資産のみに投資していると、地域別のリスクは低減できたとしても、円高にかなり弱いポートフォリオとなるため注意が必要です。

日本株投資

私は直接的な為替リスクがない、日本株への投資が重要だと考えています。
特に若い世代では米国株のみ積立投資されている方も多いようです。
また、SNSではS&P500や全世界株1本でOKといった内容をよく見かけます。
もちろん否定しませんが、円高含めリスクは大きいと考えます。

為替の観点からも自国株式への投資は重要です。
加えて日本株の投資環境は良好です。日本企業の成長が続いていますし、脱デフレ、資本効率の改善、新NISAなど複数の要因から投資環境は良好といえます。
日本経済や日本株について、こちらの動画でまとめていますので、ぜひご覧ください。

③為替ヘッジ付き商品を購入する

円高でも円安でも、為替リスクをほぼゼロにしてくれるものが、為替ヘッジ付き商品です。
ヘッジありかなしか、どちらが良い選択かは結果論に過ぎないのですが、相当コストがかかるため取り上げました

S&P500などの有名なファンドであれば、必ず為替ヘッジありと無しの商品があります。
ヘッジあり商品を選ぶと為替リスクはなくなるものの、ドル円のヘッジコスト(ヘッジ付き商品にかかるコスト)は現在年間6%近くかかります。
S&P500の過去40年間の平均リターンが約6%であるため、株式のリターンがヘッジコストで相殺されてしまいます。

ヘッジコスト

ヘッジコストが高い理由は、米国金利が上昇しているためです。
ヘッジコストは日米の短期金利差で決まります。
米国の利上げで短期金利の上昇が続き、ヘッジコストも上昇し続けています。
日米の金融政策を考慮すると、コストが低下するのには時間がかかると思います。

ヘッジ有無

ヘッジありなしのどちらが良いかは結果論です。
コストよりも円高が進めばヘッジ付き商品の方がよかったとなります。
ヘッジコストが6%、1ドル150円とすると、1年後に1ドル140円より円高となっていれば、ヘッジをしておいた方がリターンが大きくなります。
ただ、コストは日々発生しているので、円高に転換するタイミングが遅くなるほど、ヘッジあり商品の魅力は低下します。


私はヘッジ無しを選ぶ

これらを踏まえ、私は基本的にヘッジ無し商品に投資をしています。
米国株投資は為替差益が目的ではないので本当はヘッジしたいところですが、コストや円安の長期化を懸念してこのような選択としています。 

円高リスク

ここで、今後の円高リスクを考えるため、為替レートの見通しをお話しします。
タイミングはわかりませんが、長期的には円高方向に進むと考えています。

その理由は日米金利差の縮小です。

FRBの金利見通しによれば、長期的な金利水準は2.5%で、現在よりも3%ほど低いです。
日本は当面低金利が続く見込みですが、方向としては金利上昇局面です。
あくまで長期的な話ですが、日米金利差の縮小と共に、いずれは円高に推移すると考えています。


円安の理由…

円安の理由として日本の弱体化を指摘する声もありますが、それはこの2年で急に始まった話ではなく、現在の急激な円安を説明できません。
また、貿易収支が改善しても円安は続いており、構造的要因は大きくないと考えています。

キャリートレード

むしろ、現在の円安は日米金利差を背景とするキャリートレード、つまり金利の低い通貨を売って高い通貨を買う取引により、円売り(円安)圧力が強まっていると考えます。

その根拠として、CFTC(米商品先物取引委員会)が集計する投機筋の円売りポジションはここ数年で最大規模となっていることがあります。
投機筋はFX取引で利益を狙う投資家です。実際に貿易などで通貨が必要なわけではないので、売った円はいずれ買い戻します。
これだけ大きな円売りポジションがあると、一転して円買いに動いた際には急激に円高が進む可能性もあります。
長期的な日米金利差を考慮すると、いずれ円売りポジションが解消され、現在よりも円高水準で推移すると考えます。


④円建て価格しかチェックしない

米国株などの株価をチェックする際、円建て価格だけでなく、現地通貨の動きもチェックすると良いと思います。
日本の投資信託やETFで米国株に投資する場合、価格は円換算額で表示されます。
この価格は、現地の株価推移と為替の影響で決定します。
円建て価格しかチェックしないと、米国株が上昇しているのか、円安で儲けているだけなのか、理解できません。

例えば、S&P500はこの半年間で5%しか上昇していませんが、円建てでは19%上昇しています。


このリターンの差は基本的に円安による影響です。
現在は為替の動きが大きいため、株価の上昇分と為替の影響分を分けて考えないと実態が見えません。
投資の基本は商品をよく理解すること、株価の変動要因を認識しておくことですので、しっかり要因を分解することが大切です。


⑤積立投資をやめる・金額を小さくする

最後は投資の基本です。
先ほど二つ目の項目で、外国資産のみに投資する危険性をお話ししましたが、円高リスクを強く感じている方は、投資をやめるべきか不安を覚えているかもしれません。

円高リスク低減のため外国資産の割合を下げるのは合理的ですが、例えば米国株の積立をやめたり金額を下げるのはお勧めできません。
積立投資は株価や為替の予測が困難であることを前提に、定期・定額で同じ商品を買い続けることで効果を発揮します。リスクがあるからこそ、積立投資を継続することで長期的な資産形成に役立ちます。


最後に

今回は、急激な円安が進む今、投資すべきでない商品や注意点をお話ししました。
極端な円安が進むにつれて円高リスクが大きくなっていますので、ぜひ参考にしてください。今回もご視聴いただきありがとうございました。

(参照)

https://www.daiwa-am.co.jp/specialreport/market_letter/20230714_01.pdf

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このnoteは、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また何らかの保証・約束をするものではありません。投資に関する決定は視聴者様ご自身のご判断において行っていただきますようお願い申し上げます。

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