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断片的な日記のような、もしくは感情の備忘録のような


スマホのメモには、感情の備忘録が並ぶ。「いつか、ひとまとまりの文章に出来るかもしれない」と思いながら手を付けず、忘れ去っていく感情や出来事たち。

文章には起承転結をつけておきたいと思ってしまう性ではあるけれど、最近どうにも、そのルールがしんどい。日々の出来事は連綿と続いているのに、その中で持論を展開し、さらには結論まで持っていく……というのは少し、乱暴というか、脚色が強いように今の私には思えてしまう。

もう少し気楽に書いてみたい。とはいえいつもの日常といえば、家事をして、細々とした仕事をして、頼まれた原稿を書いて、寝床に臥せって……という代り映えのしない日々ではあるのだけれども、この1ヶ月は珍しく活動的になれたので、9月の末からの日々をメモと記憶を頼りに書き留めておこうと思う。


9月30日 土曜日 京都にて

夜、京都へ。母校である京都市立芸術大学が10月1日に京都駅横に移転し、そのセレモニーに参列するために向かったが、私の心は別のことにあった。

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新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。