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ビジネス用語を哲学する #立ったり寝たり死んだり

このシリーズ、日中に使ってた仕事モードの脳みそを解すのにちょうどよくて、帰り道の電車で思いつくままに書いてます。早くも3記事目になる今回は、何となくですます調でいきます。

仕事で「立ってられない」ってよく聞きます。し、よく言います。椅子に腰掛けたくなるじゃないですよ。辞書引いたら、「損なわれないで保たれる」とか「筋道がきちんと通る。また、しっかりと成立する」という意味があるようでした。これこれ。日常会話でも誰々の顔が立たないとか、理屈が立たないとか言いますね。

トラブルを回避するために理屈をこねくり回すけれど、今のままでは到底相手に通じなくて論理破綻してしまいそうなときに、「それでは立っていられない」とか。以前、自分でAが正しいと明言したのに成り行き上Bに答えを変更せざるを得ないときに、「どうすれば立っていられるか考えよう」とか。どちらも、どうすれば整合性がつけられるかを必死に考えなくてはならない、割と緊張感ある局面です。今ぼくは電車で座ってます。立ってられません。ねむい。

でも、本当に立っていられなくなると、みんな寝るんです。「もう寝転ぶしかない」とか言って。「あぐらをかく」に少し似てる気がします。確かにそうですけど何が悪いんですか?みたいな感じです。開き直る、が近そう。「次のミーティングで先方に寝転ばれた場合は…」と言ったりもするような。立ってられないのにすぐ寝転びたがったり、ビジネスマンは忙しいというかなんて勝手な生き物なんだろう。

だって、本当に本当に立ってられなくなると、今度は「死ぬ」とか言い始めるんです。寝ようとしてたくせに。寝転ぶのかと思ったら死ぬだなんて、危なっかしいにもほどがあります。

この言葉の汎用性は高くて、期日が迫っているときや、トラブルになりそうなときにも使われます。仕事の優先度を尋ねているだけなのに、なぜか「それ、死ぬやつ?」と生死の決断を迫られます。

この返答をするときは、大抵やりたくないかやらなくていいと思っているかのどっちかです。みんな忙しい。だから優先度を尋ねる。仕事の定石です。でもこの質問を受けた人は既に死の淵に立っていることが多いので「死にます」と即答してきます。

「今日中じゃないと死ぬ?」といった応用系もあります。ビジネスはスピードが命。業務効率化のためにはどんな難題も Dead or Alive の究極的二者択一に還元する必要があるのです。この質問をすると「ほんとに死ぬか確認します」と言い残して闇の調査に出掛ける人まで登場します。

「どれぐらい死ぬかな?」と死のグラデーションを描こうとする人もいます。改めて文字で読むと何だかとんでもない凶悪事件を企てている人にしか見えなくなってきました。「今やらなくても死なんだろ」と命を軽んじたり「その回答なら死なないと思います!」と意気揚々に救命放棄する光景にも出くわすので、社会は歪んでいるとしか思えません。

どんな仕事にも相手がいます。家族でもお友だちでもないのだから、理屈は通っていないと進みませんし、締切を守るために仕事の優先順位づけをすることはとても重要です。

とはいえ、疲れたら立ってられなくても仕方ありません。昨日10年ぶりに買い替えた枕は何だかちょっと高さにまだ慣れなくて快眠を味えてないんですが、今日は仕事で立ってられない状況に陥ったというか割と死にかけたのでさっさと寝転ぼうと思います。睡眠はだいじ。


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