夢と現実をつなぐ協働のカタチ
本業の他にボランティア的に地域活動や市民活動の相談対応をしているのですが、最近、こんなことがありました。
「(市民活動実践者が)こんなに頑張って、いいことしているんだから行政だって、分かって動いてくれますよ」
私がいつも心の中でつぶやく言葉。
「はい、きたぁ、パワハラボランティア…」
私は学生時代の自分もそうだっただけに…逆に見て見ぬ振りができません。
私はその方に伝えます。
『市民活動、ボランティア、NPOの原資は「夢」ですから、それを持つことは大切だと思います。一方で、その論理が他のセクター(行政、企業)では通用しないことは理解しておかなければならないです。』
その方はきょとんとした顔をして『え?』と声を上げます。
私は続けます。『企業、特に営利企業は利益を上げることが目的です。また、行政は憲法や条例に定められたことを着実に実行することが目的になりますから、あなたの夢については、彼らからすれば、外の世界ですからね…理解はしても共感して動くかどうかは別問題ですよ。』
その後に、彼の冒頭の言葉が続きます。
『(市民活動実践者が)こんなに頑張って、いいことしているんだから行政だって、分かって動いてくれますよ』
『あぁ、行政の担当者に申し訳ないなぁ』と思いながら私は続けます。
『そう思われるなら、実際にご連絡をしてみてください。私は十中八九難しいと思います。』
とその場の相談対応は終わり…次の日にその方から連絡が来ました。
『井手口さん、言った通りでダメでした…協力を頂くことはできませんでした…』とのこと。
それもそのはず、その方が受けたい『公共サービスの条件』が条例で定めてあり、私はそれを相談を受けたときに確認し、その方がその条件を満たすことができていないことを私は知っていたからです。
そして、その方に伝えました。
『もし、本当に行政に協力を頂くのであれば、行政の今困っていること、ニーズを知り、それに自分の夢や市民活動の取り組みがどのように重なるのか、自分が行政にどのように協力できるのか、を明確に伝えることで、初めて行政との協働の土台にのることができます。そのため、ボランティア、NPOは自分の活動の分野における法律、条令、そして、自分の分野の活動の国や地域の現状…様々なことを行政以上のスペシャリストになることが大切です。つまり、行政から「あなたの団体とぜひ、一緒に活動をやらせてもらいたい」と言われるだけの専門性をあなた自身が持つ必要があるのです。』
と、伝えます。
あぁ、その専門性の一つとして、私はソーシャルワーカーになったんだなぁ。(しみじみ)
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