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セーフガーディングとは何か?

セーフガーディングとはなんだ?

 昨年から人生初のNGOの職員となり、様々なことが初めてなのですがその中でも、つい最近の初めての一つに「セーフガーディング」というものがあります。

 日本の国際協力NGOにおける『セーフガーディング』の取組促進のための提言とガイドラインの作成という報告書がありますので、興味がある方はぜひ、ご覧になっていただきたいのですが、そちらの事業概要のところから引用をさせていただきますと…。

開発協力活動や緊急人道支援は、貧困、あらゆる形態の暴力や搾取の緩和と撲滅、脆弱な立場に置かれた人々の権利の保障や社会課題の解決に貢献することを目的として行われるものである。しかしながら、支援する立場にある者の一部がその立場を濫用し、暴力、性的搾取等によって、本来支援すべき対象である子どもや若者の人権を侵害するという事案が近年、世界各地から報告されている。 この問題に関する国際的な議論が活性化し、国際機関や各国政府、NGO等が連携して国際支援における子どもや若者に対する虐待・搾取を決して許容しないと表明し、予防や対応に関する具体的方策が進みつつある。このような国際的な潮流がある…

日本の国際協力NGOにおける『セーフガーディング』の取組促進のための提言と
ガイドラインの作成(作成者:公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)

 つまり、『支援者がその立場や地位の優位性を利用して、支援すべき対象の方から搾取をすることを止めること』“セーフガーディング”ということですね。

 最近、似たようなものを勉強していたな~と思ったら…社会福祉士には、倫理綱領というのものがありまして、その中の原理の部分にこのような内容が含まれます。

(人権) 社会福祉士は、すべての人々を生まれながらにして侵すことのできない権利を有する存在であることを認識し、いかなる理由によってもその権利の抑圧・侵害・略奪を容認しない。

(社会正義) 社会福祉士は、差別、貧困、抑圧、排除、無関心、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現をめざす。

日本社会福祉士会の倫理綱領・行動規範より引用

 自分が20代、30代で行ってきた「まちづくり」を振り返ってみると、このような価値基準援助者の立ち位置、そして責任というものをあまり、深く考えて来なかったなと思います。何となく、「みんなが楽しく、幸せになれれば…」というような「フワッ」とした感覚でいたように思うのです。

 セーフガーディング社会福祉士の倫理綱領の学びから私は一つの確信が生まれました、それは、私は「人権」をきちんと理解し、発することができる人材にならなければならないということです。

 すなわちそれは、倫理綱領で言われる「すべての人々を生まれながらにして侵すことのできない権利を有する」ということであり、小学校の時に社会の時間に習ったような、日本における基本的人権「平等権」・「自由権」・「社会権」・「参政権」・「請求権」で分類されるということですね。(これらについては、またの機会に勉強をしたいと思います)

 ただ、NGOに所属してこれらのことを具体的に勉強することができたのは私個人にとっても非常に大きな学びになりました。また、社会福祉士としてのこれからをあらためて考える機会にもなりました。

これからの社会福祉士に求められることとは? 

 社会福祉士の資格を持っている方を支援分野ごとに分けると「高齢者支援」「障害児者支援」「子ども・子育て支援」「生活困窮者支援」「教育」「司法」…等があって、非常に幅広い分野で活躍されていることが分かります。ただ、分野ごとに偏りはあって「高齢者福祉関係:43.7%」「障害福祉関係17.3%」「医療関係:14.7%」「地域福祉関係:7.4%」「 児童・母子福祉関係:4.8%」となっているので、半数近くは高齢者分野におられるとのこと。

 まぁ、1987年(昭和62年)に法律ができて認定を開始し、介護保険制度が2000年から始まり、財源もありますから「社会福祉士」として仕事がしやすいという意味では社会福祉士が高齢分野に偏るのはある意味仕方ないかもしれません。一方で、地域福祉や児童・母子福祉関係分野での4.8%は非常に少ないなと感じるのが正直なところです。

私自身は偏屈なところがありまして、みんなが右を見ていると左がどうなっているのかを確認したくなる性分があります。ということで、あえて、地域福祉や児童、母子分野でソーシャルワークを実践したくなります。

加えて、厚生労働省のサイトをみているとこのような表現がでてきます。

・社会福祉士には、ソーシャルワークの機能を発揮し、制度横断的な課題への対応や必要な社会資源の開発といった役割を担うことができる実践能力を身につけることが求められている。

社会福祉士には、地域住民の活動支援や関係者との連絡調整などの役割を果たすことが求められている。

職能団体や養成団体だけでなく、行政や地域住民等の地域の様々な関係者とともに連携・協働して、学び合いや活動の機会を設けることにより、地域でソーシャルワークの機能が発揮される取組を推進

平成30年3月27日 社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 概要より

 ソーシャルワークを専門職のためのものではなく、みんなでソーシャルワークをできるようにして欲しいとのことです。もはや、ここまでくると元気玉ソーシャルワークとでもいうべきか。(鳥山明先生お借りします…)

 私は地域での実践、業務での実践を重ねながらソーシャルワークを広げていく活動をこれからも続けていきたいなと思っています。

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