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来週の相場見通し(2/19~2/23)

1.はじめに

今回は時間がないので、簡易版です。また、相場というよりは、気になったニュースなどを取り上げます。

2.気になったニュース

① 米国大統領選関連

まずジョージ・サントス元議員が詐欺や虚言で除名処分を受けたことによる補欠選挙の結果だ。ニューヨーク州第三区の特別選挙だが、民主党のトーマス・スオジ氏が勝利した。この選挙は、11月の大統領選の前哨戦として注目されていたが、民主党が共和党から議席を取り戻した。本戦では下院を民主党が奪還するか、共和党が死守するかが注目されている。ひとまずバイデン氏にとっては明るい材料となった。またマンチン議員が第三党から大統領選に出馬することが噂されていたが、今週、マンチン氏は出馬しないことを発表した。マンチン氏が出馬すると、民主党の票が割れてしまうことから、バイデン氏に相当に不利となると見られていたことから、これもバイデン氏にとっては朗報だ。ひとまずね。

次に圧倒的な勢いを見せているトランプ氏であるが、選挙資金の枯渇問題がアキレス腱のようだ。選挙資金を集めることはできるのだが、自身の抱える裁判費用と弁護士への報酬で首が回らないようだ。そんな中で、今週はニューヨーク州裁判所が、トランプ氏が金融詐欺を働いたとして、同州での事業運営の3年間の禁止とともに、3億ドルの返還を命じた。もちろんトランプ氏は控訴することから、最終的な決着は随分先になるだろう。しかし、控訴する場合にも多額の資金を第三者預託口座へ入金する必要があり、トランプ氏にとっては痛手となる。トランプ氏の最大の敵はニッキーヘイリー氏ではなく、裁判費用のようだ。

さて共和党の予備選挙ではいよいよヘイリー氏の地盤であるサウスカロライナ州が2月24日に迎える。ここで結果を示せないと、ヘイリー氏は今回の大統領選挙に脱落するだけではなく、2028年の大統領選候補としても怪しくなる。ヘイリー氏においては、非常に重要な局面であろう。そして、その次はいよいよスーパーチューズデーの3月5日を迎える。この日だけで874人、全体の36%の代議員が決まるのだ。共和党サイドは、ここで決まるだろう。

② OpenAIの動画生成AI「Sora」の衝撃

Googleが今週ジェミニ1.5Proを発表した。1.5 Pro のコンテキスト ウィンドウの容量は、Gemini 1.0 の 32,000 トークンより大幅に増加し、標準で125,000トークン、最大 で100 万個のトークンを実行できると発表された。同社によれば、1 時間の動画、11 時間の音声、30,000 行以上のコードまたは 700,000 字以上のコードベースなど、膨大な量の情報を一度に処理できることを意味するらしい。本来なら、このジェミニ1.5Proの話題で溢れるはずだった。しかし、同じ日にOpenAIのサム・アルトマン氏が動画生成AIの「Sora」を発表した。これが超絶に凄いと話題になり、ジェミニの話題がかき消されてしまった。アルトマン氏、わざとかな・・・
サム・アルトマンは用意した動画画像だけでなく、SNS経由での一般の人からの依頼に基づいて、その場で動画を作成してみせた。これが凄かったのだ。
何が凄いか?まず素人でも完成度の高さに驚く。専門家の分析では、現在の世の中にある様々な動画生成AIで同じプロンプトを入力して、同じような画像を作成させると、その違いは子供と大人の差があるようだ。すなわち、通常であれば、どうしても細かい部分で動画が壊れてしまう。歪んだり、崩れたりするのだ。それが、Soraでは格段に進歩しているとのことだ。そして、何より驚異的なことは、動画の長さだ。1分の動画を作成できるのだ。現在の他の動画生成AIでは、5秒程度の動画しか作成できない。動画の時間が長くなることは、AIにとっては非常に難易度が高くなるほか、サーバーへの負担も大きくなる。1分もの動画を、完成度の高いクオリティで実現して見せたことで、今はこのSoraの話題でもちきりなのだ。個人的には「マインクラフト」というゲームが好きなのだが、このSoraにおいて作成されたマインクラフトの動画では、マインクラフトのキャラの動き方、世界観がしっかりと動画に反映されていた。ちょっと驚いた。
そして、こういう話題が各社から次々に舞い込んでくる。それも、全て米国からだ。アナリストが業績見通しに反映させる頃には、またとんでもない新たな進化を見せつけられる。今は、こういう状況になっている。進化スピードに誰も追い付けないのだ。

③ スーパーボウルとSphere

スパーボウルが盛り上がった。このところ、スポーツやコンサートなどのいわゆるリアルなライブの世界が好調だ。生成AIなどが大ブームになると同時に、その対極にある「生のエンタメ」の勢いが強いことが何か面白い。
ライブといえば、ラスベガスの話題の球体エンタメの「Sphere」を体験したいのだが、いまだに行けていない。バーチャル空間とアーティストのライブのコラボの最前線にあるのが、このエンタメなのだろう。まだ未体験なので、なんとも言えないが、未来感がある構造物だ。

このSphereの株価も知らないうちに、じりじり上昇している。いつかディズニーのような株価に成長するのか、しないのか。ちょっと面白い株価だ。

④ミュンヘン安全保障指数

ミュンヘン安全保障指数が発表された。これがめちゃくちゃ面白い。他国に対する感情調査である。この統計結果について整理してみたい。

(アメリカ人)
・アメリカ人は、欧州の同盟国を好意的に捉えている。例えば、イギリスに対しては49%の人が好意的だ。ドイツも44%、フランスも49%と相応に高い友好度だ。但し、米国人が最も好意的に感じているのはカナダで51%だ。
・アジアに対しては、40%の人が日本を好意的であると回答している。台湾も40%だ。韓国に対しては34%だ。
・米国人が最も脅威に捉えているのはロシアだが、それでも37%がロシアを脅威と捉えているに過ぎなかった。中国に対しては34%が脅威と回答している。思ったより一般国民のロシア、中国への警戒感は高くない

(日本)
・日本人が最も好意的に捉えているのは、台湾と米国で、それぞれ58%と57%だった。韓国に対しては4%しか好意的と回答していない
日本人が脅威に感じているのはロシアで61%がネガティブな回答だ。また中国に対しても58%が脅威を感じている。米国人や欧州人の対ロシア、対中国への感情よりも、日本人はかなり悪く見ているようだ。

(イギリス)
・イギリス人は、カナダ、オーストラリア、米国人に対する友好度が高く、6割を超えている。ドイツやフランスなどには55%の人が好意的と回答している。
・イギリス人はロシアについては48%が脅威と捉え、中国については36%がネガティブだ。米国人よりもロシアに対しては警戒し、中国についてはあまり警戒していないようだ。

(ドイツ人)
・ドイツはフランスに対しては50%、イタリアに対しては46%、アメリカには40%の人が好意的だが、他の国には総じて厳しい。
・日本へは29%、韓国は16%、インドは2%しか好意的ではない。
・ロシアに対しては45%、中国に対しては31%が脅威と回答している。

(中国人)
・中国人は、世界に対してほとんど好意的に捉えている。
・ロシアへは59%が好意的と回答し、イランへも38%が好意的だ。
・欧州に対しても、20%~30%の人が友好的と回答している。
・中国が嫌っているのは、米国と日本だけだった。しかも中国人は、米国よりも更に日本をネガティブ捉えているようだ。

なかなか興味深いデータなので、じっくりと見ても面白いかもしれない。

Munich Security Index 2024 - Munich Security Conference

3.来週の相場見通し

来週は誰もが米国のエヌビディアの決算に注目している。それは間違いないが、決算がビートせずに短期的に調整局面になっても、単に押し目買いの場を提供するだけだろう。少なくとも同社株においては。
来週はウオルマートはじめ、他の注目決算もまだまだたくさんある。先般の米国小売が下振れたが、あれが天候不順によるものか、米国の消費者の行動が変わりつつあるのか、決算発表でヒントを得たいところだ。

経済指標は少ないが、FRBメンバーが喋りまくる。
21日はボスティック総裁、22日はボウマンFRB理事、23日はジェファーソンFRB理事、ハーカー総裁、クックFRB理事、カシュカリ総裁、そして市場の注目度の高いウオラーFRB理事講演がある。欧州でも23日はシュナーベル専務理事、ナーゲル・ドイツ連銀総裁の講演がある。もちろん、22日にはFOMCとECBの議事要旨も出てくる。米国債の入札では20年債が22日、ドイツは10年債の入札が21日だ。
日経平均株価は史上最高値近辺で推移している。米国株次第ということもあるが、春節明けの中国市場の動向も影響しそうだ。私は史上最高値を更新してほしいと思っているが、今週は3万7千円台後半に押し戻される展開を見込んでいる。ちょっと勢いと材料が不足しているように思える。
良い週末を!

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