見出し画像

〈35〉医療も保育も福祉といかに繋がれるかがカギ

看護師や保健師になるための老人保健や地域看護、在宅医療の学びの中で、福祉を少しかじります。法律や制度、他職種連携の必要性など。どれも浅くです。

そして当時私は思ったのです。こんなサービスを利用できますよと助言できるとできないとでは、ケアの質が全く違う。しかし福祉は難解であると。

制度変更も短いスパンで行われる、これを訪問看護師はどこでどうやって学びを深くしているのだろうと。

同じようなことを考える日が再び来るとは思っていませんでした。それも学童保育の世界から…


学童保育の現場にいると、発達や学習、貧困、虐待など、子ども達やその家族が抱える問題がよく見えます。

放課後児童健全育成事業が児童支援の一つとするならば、必要に応じて利用できる福祉サービスなり他の資源に、必要としている人をつなげてあげることが必要です。

ですが、筆者自身も含め、放課後児童支援員の多くは福祉サービスに無知であるため何の助言もできません。

これができるようになるためには、せめて自分の自治体にどんな福祉サービスがあって、どんな対象者がどう利用できるのか、自己負担はあるのか、どこで利用申請できるのか知らなくてはいけません。

さらに言えば、それらのサービスを提供している部署や担当者と知り合っておかねばいけません。問題が露になってから支援機関にコネクトしようとしてもスムーズにはいきませんから。


学童保育からどんな福祉サービスにつながる可能性があるのか。

例えば、不登校です。

放課後児童健全育成事業で、放課後とついているのだから、募集要綱にも放課後預かりますと明記しているのだから、学校に行っているのが前提の学童だと思っていたら、学校に行けていなくても、行ったり行かなかったりしていても、利用できると解釈できるらしい。

しかし放課後児童クラブや学童保育所は不登校児童の支援施設としては機能していない現状がある。

支援員に不登校支援の技術も無い。

当然対人関係や学習面などにおいて対応に苦慮する。

不登校支援を行う組織や人物からの助言が必要となる。

保護者との信頼関係が構築できて、保護者や本人の困り感に専門的な介入が必要と判断できれば、支援が受けられる組織や人物と繋げてあげる必要がある。

その組織や人物とはどこか。

自治体主体の不登校支援、引きこもり相談や居場所を設けているのは、福祉課であることが多いでしょう。

また、子ども自身に発達の凸凹が大きい場合には、発達支援センターに相談して、より丁寧な介入方法について模索する必要があります。


実際に筆者は不登校児童の放課後児童クラブ利用をきっかけに、自治体の福祉課や発達支援センターと繋がろうと画策したわけです。

これが、前例の無い状態、むしろ繋がる必要がないと言われ続ける中で一から構築するのは、本当に難しかったです。

同僚は心の健康を維持できませんでした。

看護師保健師免許を所持している自分は、本当に悔しくもどかしい思いをしました。不登校児童にとって学童がどうあるべきかを考えながら、このようなケースに対応する支援員のメンタルヘルスを維持するために組織としてどうあるべきか、ずっと考えていました。

考えて考えて、説明して説得して、この人に頼んで駄目ならこの人に頼んでと、やっとの思いで福祉課の不登校支援担当者には繋がれました。発達支援センターには繋がれませんでした。

現場で何かが起きてから必要機関に繋がろうとすると時間がかかります。その間事態は改善されませんから、子どもも困るし、支援員も困る一方です。

実際我々が不登校支援者に繋がるまでに5ヶ月かかりましたし、小学校と話し合いが出来たのは7ヶ月後でした。

時間がかかりすぎた結果はどうなるか。

学校に行けるようになったわけでもなく、放課後児童クラブも結局退所。

支援の失敗ですよね。

さらに、過疎少子化地域ならば不登校支援自体が無いに等しいところもある。

…家庭が頑張るしかないのですか。

周辺に支援機関が無いからと、何のノウハウも無い放課後児童クラブや学童保育所が受け皿となってよいのですか。

子どもに向き合う力が無い、教育機会を与えない親だった場合、子どもの教育を受ける権利はどうしたら良いのですか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?