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そのままのまち

コラム:フェスティバルディレクター 三浦宏之


3回目の開催を迎えるCenter line art festival Tokyoでは、今年も武蔵小金井でスペースシェアリングプログラムをはじめとして幾つかの展示プログラムが開催される予定です。それらのプログラムは全て武蔵小金井駅の南側のエリアでの開催ということになるのですが、武蔵小金井の北側のエリアにも、気になる場所や居心地の良いスポットは沢山あります。

今回の街歩きでは、そんな武蔵小金井の北側エリアをぶらぶらと歩いてみることにしました。

武蔵小金井高架下空き地

北口を出て、横断歩道を渡った先には広大な高架下に空き地が広がっています。この場所では昨年の夏にWorks-M Vol.12「connecting, separating, appearing.」のインスタレーション展示が行われました。広い敷地の高架下の柱6本を、全長27000mの糸で結んで可視と不可視のあわいのような空間を出現させる作品でした。炎天下の中、何日もかけて糸を張り続けたことが思い出されました。

Works-M Vol.12「connecting, separating, appearing.」

現在はただの空き地となっていますが、このスペースには商業温泉施設が建設される予定だそうです。「高架下温泉」とは如何なるものか。開業したら是非入浴してみようと思います。

北口ロータリーの路地を少し入ったところにある、元珈琲屋さん。(2階は中華屋さんだったのかな?)この建物も、個人的に非常に気になる。。。駅前好立地なのに、空き店舗にしておくのはもったいないと、この路地を抜ける度に思うのです。

気になる建物

武蔵小金井の街を北に向けてずいずいと進んでゆきます。しばらくは昔ながらの店舗や小さな商店街などがちらほらとありますが、北大通りを越えると静かな住宅街となってゆきます。そして住宅街の中には「ギャラリーブロッケン」という小さなギャラリーがあります。この日、通りがけに覗いてみたら、陶器作家さんの個展が開催されていたので、しばしの間鑑賞させてもらいました。(写真はすっかり撮り忘れてました。。。)

さらに進んでゆくと「仙川」という干上がった水路があります。この水路の脇には極細の歩道が並行して敷かれていました。歩いてみるとその距離がかなり長いことに驚いてしまいます。水路脇歩道マニア(そんな人がいるのかどうかは分かりませんが・・・)の方にはおすすめの道です。

水のない川「仙川」
どこまでも続く水路脇の道
その道におちていたもの

仙川を進んだ先に見えてくるのが、本日の目当ての施設「浴恩館公園」です。
「浴恩館」というのは皇室の「御恩に浴する」との意味だそうで、ここには全国から集まった若者が自給自足をしながら、共に人生を語り未来を夢見た生活学校の場であったそうです。資料館を併設する文化財センターには無料で入場でき、そこに「浴恩館」や武蔵小金井地域の歴史等も詳しく展示されています。ちなみに映画化もされた小説「次郎物語」はこの施設をモデルとして、初代館長であった下村湖人によって書かれたそうです。

移築された古建物
浴恩館公園の林

公園は緑が深くて、この地域が緑町と呼ばれる所以のようなものも感じることができます。武蔵小金井に下車される時には、是非北側エリア~緑町周辺の散策をおすすめします。

「浴恩館公園」から武蔵小金井へと帰る道すがらにも、なかなか味わい深い景色に出会うことができました。だれもが利用できる公共スペース(コミュニティスペース)のようなもの。

パラソルがいい

こちらはおそらく、個人の方がご自身の敷地内に自ら設置されたと思われます。スペースの隣には自動販売機も設置され、ジュースを買って、こちらのスペースで一休みできるように考えられたのだろうなあ。こういった風景は、なぜかしら気持ちを和ませてくれるものがありますね。

さらに駅に近づくと幾つか緑地生産地区なども見られ、町と自然の共生も考えられていることが分かります。高架下脇の広い緑地生産地区にはとても大きな樹が一本、何かのモニュメントのように生えていました。

大きな樹

大樹の背景の高架に時折往来する中央線。都市と自然、そして人。それらが調和する世界を想像しながら、明日もてくてくと歩き続けます。

武蔵小金井で拾ったアートの種

トタンの色彩とパターン
シンメトリーとパースと湾曲と腐蝕
造作なき造形
造作なき配色

Center line art festival Tokyo(中央線芸術祭)2023 は「The time to sense.」をテーマとし中央線沿線地域で美術展示やパフォーマンス、ワークショップ、トークイベントなどのプログラムを開催します。
市民生活へと深く浸透する芸術創造の場を創出し、東京中心部における文化圏を西東京地域に緩やかに拡大してゆくためのプラットフォームとして継続することによって、地域コミュニティ、民間を主体とした文化創造を促進してゆくことを目標におきながら、西東京地域から全国に向けた発信を市民とともに行ってゆきます。

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