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ローカルの想い

コラム:フェスティバルディレクター 三浦宏之


 小雨混じりのJR中央線東小金井駅周辺。
 おそらく、東小金井(通称ヒガコ)は中央線東京駅から立川駅間のすべての駅の中で、最もローカルな雰囲気位を醸し出している街かもしれない。
 そもそもローカルという言葉がどういった風景を指すのかという具体的な定義がなされていないので難しいけれど、他の駅との比較という観点からすると、やはりこの街の雰囲気は一段とローカルっぽさを醸しているのではないかと思います。そのローカルっぽさというのは他の駅周辺の街にはない、ヒガコならではの魅力として私の目に映るのです。
 のんびりしていて、静か。古い商店街は親しみやすく、所によっては新しくてお洒落な場所があったりもする。薄味でありながらも、どこか味わい深さがあるような街、東小金井。

北口周辺で見つけたビオトープ

 長めの前置きとなりましたが、本日の街歩きは東小金井です。
 東小金井はCenter line art festival Tokyo 一回目の開催から毎年「ダイダラボッチ復活祭」と称したフェスティバルの前夜祭が、中央線高架下にある「コミュニティステーション東小金井」で開催されています。もちろん今年も同会場で前夜祭を開催する予定です。
 そんな歩き慣れた街。東小金井を歩きます。

 東小金井駅を北口に出ると、右手側に広大な空き地が広がっています。昨年までは小さな本屋さんや、いい雰囲気の沖縄料理屋さんがあったのだけれど、現在は更地になっています。(沖縄料理屋さんにはいつか行こう、行こうと思っていたのだけど、結局行けぬまま、なくなってしまった。悔やまれる。。。)

北口、目の前の空き地

 こちらの空き地には商業施設と居住用マンションの複合施設が建設予定なのだとか。それにしても中野をはじめ、JR中央線沿線の再開発には目を見張るものがありますね。来年の今頃にはどの街の景色も大きく変わっているのだろうと思います。
 来年また中央線沿線の街歩きをして、変化してゆく街の姿を追いながら発信してみるのも面白いかもしれないな。

商業施設はヨークマートになるのかな?

 北口の開発予定地に面した高架下に、前夜祭の会場となる「コミュニティステーション東小金井」があります。こちらの高架下周辺には飲食店や雑貨屋さんなどいい感じの店舗が並んでいて、週末には多くの人で賑わっています。
 コミュニティステーション東小金井はそんな中にある、ちょっとした公園のような役割を果たしているスペースです。
 真っ白なアートウォールと幾何学的なデザインが印象的。今年の前夜祭は9月26日(土)に開催予定です。よろしければ是非足をお運びくださいね。

アートウォールと幾何学的な造形(の一部)

 高架下をくぐって南側のエリアに向かって歩きます。
 街歩き目的で、アートの種探しとともに歩いていると、これまで何度も通り過ぎているのに見逃していた景色や建物を発見します。「ここにこんな建物があったんだ?!」と、その発見に驚くこともしばしば。
 今回はこの建物です。

建物として、シンプルにして、いいカタチ

 この建物に面した道は数え切れないくらい通り過ぎているし、建物の隣にあるコインパークにも何度も車を駐めているけれど。この存在に気づくことはありませんでした。
 どうやら東小金井の商工会(?)の事務所らしいのだけど、これまでシャッターが開いていた記憶は全くありません。それに気づいていたら、この建物の存在自体にも気づいていた筈ですし。
 シャッターの中はどうなっているのだろう?空きスペースだったならば、是非とも来年以降の芸術祭で展示箇所としてお借りできないかなあ。などと妄想しながら歩きます。

 住宅街に入り込んでゆくとこんな手作りの表示が。

ちょっとほっこりしてしまうのはなぜか?

 手作りの感じも、なかなか味わい深いですよね。この表示を掲げているお家は、すごく猫が好きなんだろうというのが滲み出ているようです。

 東小金井南口商店街をまっすぐ南に向かって歩き続けて、連雀通りに出る前で左に折れると、そこにはひっそりとした佇まいの小さな商店街があります。この商店街は西武是政線「新小金井」駅の駅前商店街ということになるのかと思います。

昭和の面影

 「新小金井」という、更にローカルなエリアへと足を踏み込んだところで、駅前ロータリーにお蕎麦屋さん「末廣」を発見。迷わず入店し、遅めのランチをいただきます。

好物、鴨南蛮です
出前もしている、地元のお蕎麦屋さん

 お蕎麦でお腹を満たした後、少しだけ新小金井駅周辺も散策してみました。

物語る景色
土地が寄贈されてから8年が経ちました(要拡大)

 新小金井から東小金井まで歩いて戻ろうかとも思ったのですが、せっかくなので西武是政線に乗ってみました。降車駅はJR中央線の武蔵境駅になってしまうので、東小金井の街歩きからは外れてしまうけれど、こんな機会がなければ西武是政線に乗ることなどないだろうから。。。

是政ローカルライン。

 西武是政線の終点(始点でもある)武蔵境で降車して、武蔵境から東小金井まで一駅歩きました。
 この高架下沿いの道のりにも、カフェやダイナー、雑貨屋さんなどお洒落なお店がいくつか並んでいます。武蔵境から東小金井(あるいはその逆の道のり)を、散策しながら歩いてみるのもなかなか楽しいのではないでしょうか。

中央線高架を真下から見上げる

 コラム冒頭でローカルの定義について少し書きましたが、あるいは東小金井こそ中央線沿線のローカルの象徴とも言えるのかもしれません。
 東小金井駅は1964年に全額地元住民負担によって開業された、日本初の請願駅なのだそうです。地域の人たちによって駅が作られたという、その想いが、そのまま街の表情に反映されて、今現在も残されているような気がします。
 そういった人たちの想いを、大切にしてゆきたいですね。

 やっぱり、ローカルって、そういうことなのだろうな。

東小金井で拾ったアートの種

このままギャラリーに展示してあってもおかしくない
意図したものと、意図せぬもの
送電線が描く線
水溜り

Center line art festival Tokyo(中央線芸術祭)2023 は「The time to sense.」をテーマとし中央線沿線地域で美術展示やパフォーマンス、ワークショップ、トークイベントなどのプログラムを開催します。
市民生活へと深く浸透する芸術創造の場を創出し、東京中心部における文化圏を西東京地域に緩やかに拡大してゆくためのプラットフォームとして継続することによって、地域コミュニティ、民間を主体とした文化創造を促進してゆくことを目標におきながら、西東京地域から全国に向けた発信を市民とともに行ってゆきます。

 

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