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シュールなまち 東小金井

コラム:Clafters 長尾 柚


はじめての東小金井。はじめての街歩きとアートの種探し。
目的地も何も決めずに、手渡された地図を頼りに歩いてみる。Google マップは苦手なので、使わないことにした。とりあえずスタジオジブリは気になるのでそっちの方に向かおうとしたけど、結局ジブリらしきものには巡り合えず…。
東小金井は緑が多いのだろうか。綺麗な紫陽花や草花がよく目についた。梶野町のちょっと手前くらいのところに、壁一面が草花に覆われた素敵な建物があって、なんだろうと思ったらクレープ屋さんだった。雨が降っていたので、雫が花にぽたりとついていたのが綺麗だった。側壁のところに木の幹のようなものがぐにゃりと垂れ下がっていて、偶然できたものなのか分からないけれど、アート作品のようだと思った。

クレープ屋さん側壁のアート

そのあと、ペットホテル バウワウガーデンという建物が気になりつつ、小金井市立小金井第三小学校の前を通る。小学校の前の電柱に、防雨ボックスがあった。内股でちょっともじもじしている虫にみえた。子供たちの様子をうかがっているのだろうか。

虫のようにみえる防音ボックス

汚い店構えにも関わらず素晴らしい料理を提供してくれるというだんでぃらいおんというお店をみつけ、そこでお昼にするか迷ったものの辞めてさっきのバウハウガーデンのほうに戻ってちょっと入り組んだ路地に入っていった。ランゲージ・トレーニング・センターなどが並ぶ一帯は、ビビットな建物が多くて異国の雰囲気が漂うエリアだった。

コカ・コーラと小屋

一人くたびれているようなガス管を発見。隣にガス管注意!という柱があるけど、もしかしたらこのせいで誰も寄って来てくれないのかもしれない。

寂しそうなガス管

うろうろしていたら、またまた不思議なお店が。Cafe&Barおはなというところ。入口が分からなくて、営業しているのかもよくわからなかった。その隣にはビビットな紫陽花といろんな色のボールのようなものが。ハワイアンな雰囲気である。中央のほうのボールの連なりが、ガマガエルのようにみえた。

Café&Bar おはな
ボールの中にみつけたガマガエル

気付いたら桜堤のほうまで歩いていて、ロココ調の建物の前には綺麗な花がたくさん咲いていた。アパートの一角に、手のようにも天使の羽のようにもみえるドアノブをみつけた。

綺麗な花
手のような羽のようなドアノブ

偶然通りかかったお店の窓ガラスに映るフィギュアや人形の服が気になって、なんのお店だろうと思っていたらアトリエ自作自演という服、アクセサリーやドール服などを創っている工房だった。「こうしなげればならない」という固定概念をとることをコンセプトにしているそう。個人的に凄く好みだったので気になった。今回は中に入ることはできなかったが、またいつかお話を聞いてみたいと思った。

アトリエ自作自演 窓
アトリエ自作自演 入口付近

桜堤付近で東小金井駅への道を聞いたら歩いて20分ほどだというので歩こうと思ったが結局道に迷って諦めてバスに乗ったら武蔵境のほうまで行ってしまった。それから電車で東小金井までリセットし、またゼロ地点に戻った。

感覚に従いながら街を歩いていると、無意識のうちに求めているものと出会うことができた気がする。なんとも形容しがたい余白がある感じとどこにも所属できないようなまちの雰囲気が、みたいようにみることができる寛容さを保っているように思えた東小金井。東小金井の街歩きを通して、自分自身が許されたような気にもなり、中央線のローカルなよさを再確認した。

いつもは映画館とか劇場とか、ほぼ完成された作品を観に目的地に向かって歩くことが多いので、感性の赴くままに、自分の視点でフィルムを切り取る、という体験は、それ自体が東小金井のコラージュ作品を創る作業のようで面白かった。日常の中にひっそりと隠れているアート、それらを発見した時、日常は非日常の顔をみせてくるのだ。


Center line art festival Tokyo(中央線芸術祭)2023 は「The time to sense.」をテーマとし中央線沿線地域で美術展示やパフォーマンス、ワークショップ、トークイベントなどのプログラムを開催します。
市民生活へと深く浸透する芸術創造の場を創出し、東京中心部における文化圏を西東京地域に緩やかに拡大してゆくためのプラットフォームとして継続することによって、地域コミュニティ、民間を主体とした文化創造を促進してゆくことを目標におきながら、西東京地域から全国に向けた発信を市民とともに行ってゆきます。

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