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セラピストはやめられない

2年ぶりのケン君

セラピストをしている私には老若男女のお客様がいます
61歳なので、同世代の方が一番多いけど、子供や孫のような若い子もついてくれてます
その中で、今日2年ぶりに来てくれたケン君
彼は27歳、独身、お喋りが好きで人懐こい笑顔のかわいい青年です

2年前に来た時に
「実は、隣県に引っ越す事になったから
多分今日が最後になってしまうんだ」
と、少し元気がない感じだったが、まだ若いし
仕事かなんかで引っ越すのかと思った
聞こうと思ったが何だか聞きそびれて
「そうか、もう来れないんだねー、寂しいけど新しい場所で元気に頑張ってね!」
とお別れした

お客様には色々な人生があり、深く聞く事もあまりないが、自ら話をする、と言うかしたいお客様もいるので、私ごときにそんな事を話してくれるんだと嬉しい気持ちで聞かせていただく
この仕事を通しての出会いも大切な出会いだ
何億人という世界中の人々の中で、どれだけの人と出会うのか考えると、必要なご縁だと思う
また別れもたくさんあるが、それも一つの
思い出であり、やはり人は宝と思う
私の人生で良くも悪くも人によって成長していくものだとこの年になるとわかってくるもんだ

僕の事覚えてますか


今日、何だかお店の予約もあまりなくて暇してた時にパソコンの予約画面がピカピカっ!
あ、予約入ったねー、私の指名だ
「えーと…あっ!え?この名前は…」
「うおぉぉぉ!!!ケン君じゃん!」

この前来たのが最後って言ってたよね
なぜ?戻ってきたのかしら
でもでも…
めちゃくちゃ嬉しい!
私を指名してくれてるって事は
覚えていてくれたんだー😭

あと5分で来るな
いやあー、どんな感じになってるかなー
ってワクワクしながら待っていた
自動ドアが開いた
「こんにちは!」
あの、懐かしい笑顔が入ってくる
にこにこしながら私も「こんにちは」と挨拶する

ケン君:「「私子さん、僕の事覚えてますか?」
私:「もちろん!忘れないよー!嬉しいなぁ、私の方こそ覚えてくれていてありがとうね」
ケン君:「2年ぶりになるよねー、久々にこっちに帰って来たんだけど、平日だと友達も仕事で会えなくてもしかして、私子さん居るかなーって思って見たら居たからすぐに予約入れて来たんだよね
中々予約取れないからダメかもって思ったんだけど、ホント良かった!!」

とにかくそんな嬉しい再会で私も「よし!久々だから頑張って解しまくるぞ!」ってな感じでほぐし始めた
ケン君:「私子さんにも前に言ったけど、彼女の家で同棲してたじゃん?僕しか彼女には居ないって思って大事にしてたんだけど…
実は別れたんだ…」

そう、彼は優しい子で彼女を大事にしてたし彼女の家族にも好かれていたが、それは、彼がとても気を使って、笑顔で頑張って仕事も家庭も円満にと自分の気持ちを抑えて不平不満も言わずに、ただ彼女や家族の為に生活していたわけだ
もちろん、彼女の家族にも世話になっていたので
感謝はしていた
だから、余計に自分のわがままなど言えるわけではなかった
そんな生活をして約数年
彼は…壊れた
生きる気力も無くなり、何もしなくない、いや出来なくなった
彼は地元では暮らせなくなり
2年前に隣県に引っ越す事になった
自分の母親にも告げずに…

2年前ケン君が、引っ越すからもう来れなくなるって言った時に彼は寂しそうだった
笑顔ではあったがなんか…今思うと何かしら言いたげな感じではあった
もう来れなくなるって言った時に、隣県だしまた実家に帰って来た時に来れるかもねー、なんて
言った覚えがあるが、それに彼は
「あー、うん、そうだね、来れたらいいな」なんて心ここに在らずって感じがした

そうだよね、すでにケン君は
精神的に参っていたんだよねー(^_^;)
あの時、地元を去る時の最後だろう日に
会いに来てくれたんだと思うと
本当に切ない気持ちになる

僕、鬱になったんだ

ケン君:「実はあの2年前に僕は鬱になって
隣県で猫2匹と一緒に一人暮らししてたんだ
1年間誰にも会わず、どこにも行かず、貯金を崩しながら何もせず、ゴロゴロ寝てばかりいて一日中ゲームして生活してたんだよね
自分は何してるんだろう
死んだ方がいいんじゃないか
って毎日毎日考えていたけど」
私子:「うん、そうだったんだね、辛いよね
死にたいだなんて
でも…死ななくて良かった、ホント今日会いに来てくれたし、私嬉しいよ、ケン君に会えて、うん、ありがとうね、生きててくれて…」

ケン君:「僕、猫2匹飼ってたでしょ?でね
猫ちゃんのおかげなんだ
自分が死んだらこの子達はどうなっちゃうのか、そんな無責任な事しちゃいけない
この子達の為に生きていかなくちゃいかん!って思えたから死ぬのは辞めたんだよ
この子達がもし居なかったら、今こうして生きていたかわからんもんな、だから猫のおかげだなぁ!あはははは!(^o^)」

ケン君復活!

よかったよかったよかったよかった!!
今はこんなに笑顔になって元気になって仕事もちゃんとしてる
見た目は、体中にタトゥーをあしらっている、金髪のロングヘア、ゴツいアクセサリーなどを付けて、一般的にはチャラそうなあんちゃん風だ

しかし彼は…至極繊細な心の持ち主だ
誰かを傷つけるではなく、自分を傷つけてしまう
そんな格好は彼が強い者だと見せる鎧なんだ
人は皆、全身に重たい鎧をつけて、弱い自分を見せないように生きている
私だってそうだった
弱い自分を認めたくない、だってこんな自分じゃ皆んなに認めてもらえない
人や世間の目を気にして本当の自分を閉ざしてまるで人の人生を生きているようなものだ

でもそんな自分を認めてあげる
まず自分自身がね!
そのままの自分でいい!
人の人生を生きる必要はないよ
あのね
生きてるだけで素晴らしいんだよね

過小評価しすぎる人々

真面目で周りに気を使えて相手の気持ちを優先に先に先に考えて行動できる人
素晴らしいと思う
けど…
疲れてしまうよね
だって自分じゃなくて、人の事ばっか考えている
んだもん
ただ、ホントは自分を認めてもらいたい
承認欲求が根底にある
そのまた根底に
愛されてない、と思って生きてきた
深〜い深い心の闇はある
誰もが抱えている物だと思う

だから
自分は愛されていない
愛される為には
自分の為でなく人の為に一生懸命頑張る
悪い事じゃないよ
でもね
自分を過小評価して
こんな自分じゃダメだなんて思わないでほしい
とにかく…
まず自分!とにかく自分! 
癒されて楽しい時間を過ごす
振りじゃなくてて、これやってる自分ってサイコーじゃん!って思う事やってほしい
過小評価しすぎだよ、みんな
あなたはそのままで評価に値する人間
生きてるだけで素晴らしい!ブラボー!!

人生の停滞期


復活したケン君
この先色んな事ってあるだろうけど
この1年間は決して無駄な時間じゃないよ
自分みたいな人の気持ち誰よりもわかるんだから

ケン君:「僕、1年何もしなかったから10キロ太っちゃって〜今ダイエット中なんだ
食事にも気をつけて5キロくらいは痩せたけど今停滞期なのか何やっても減らないんだよねー」
私子:「大丈夫だねー!ケン君は人生の停滞期乗り越えたんだから、体の停滞期も乗り越えれるよ
停滞期って次に行く為、変わる為の準備期間だしね?無駄な時間じゃないし、進んでない訳じゃないからね!」

ケン君:「僕も向こうで色々な店行って揉んでもらってたんだけど…
やっぱり私子さんが一番だなぁ
私子さん、この仕事天職じゃない?
神の手だわー、マジで気持ちいいよ!」
私子:「ありがとうね!でも世の中上手な人はたーくさん居るよ!ただケン君には私の施術とか合うんだよ
セラピストとお客様にも周波数が合ってるといい感じで繋がるんだよ
揉んでる私らもこの方は合うなーとか
なんかしっくりいかないなーとか感じてる
お客様も自分に合うセラピストを探していて
この人だ!っセラピストを指名して来てくれてるのよ
だから、合ってるお客様にはご縁があるんだって思うし
ケン君とはそんなご縁があったから、感謝しているんだぞ!えへっ!」

こんな感じで楽しい時間を過ごせた事は
本当にこの仕事をしている醍醐味だ
お客様の体を癒して楽にする
と同時に心も癒してるんだなぁ
私みたいな人間でも出来る事はあるんだ
多分ケン君はお母さんみたいな感覚で話しをしてくれてると思う
私もお客様によって癒され喜びを与えてもらい
よし!また頑張ろうって気持ちにさせていただいているのだ

母の想い


ちなみに
連絡してなかった彼のお母さんにもちゃんと連絡して元気でいる事、黙って家を出た事を謝ったと言っていた
お母さんは「連絡がない事が何事もなく元気で生きてる証拠だと思って、信じて待っていたんだよ」って…
私にはわかる
お母さんの気持ち
そうは言っても心配してなかったわけはない
どうしてるのか、何してるのか、元気でやってるのかー
毎日毎日考えない日はなかっただろう
でも
信じて待って元気な息子の声を聞いた時にどんなに安堵しただろう
親子とは余分な言葉などいらないものなのかもしれない
ケン君はこれからは、親孝行していきたいって
またまた素敵な笑顔で言っていた

ケン君:「また2ヶ月くらいしたらこっちに帰ってくるからその時に来るのでお願いします」
私子:「あはは!気長に待ってる
1年でも2年でもね!まあ、私が生きてるうちに来てよね、頼むよー(^o^)」

私がnoteに日々の出来事をエッセイにして投稿してるって話をしたら
ケン君が「すごい!ねー、僕の事書いて書いて」
ってリクエストがあったので、約束通り書いてみたが言われなくても書くつもりだったよ!
ただ「ケン君」は仮名にしてある

これが私の仕事だ
体と心のカウンセラーだと思っている
楽しくて…やめられない
╰(*´︶`*)╯♡






#私の仕事


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