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介護の専門知識は面白い!介護過程シリーズ②~情報収集の重要性~

前回に引き続き、
介護過程シリーズ②~情報収集の重要性~をテーマと致します。

今回ご紹介させていただく、介護課程における情報収集は、介護過程を実践する上で非常に重要であると同時に、介護職の専門職としてのスキルが問われる部分でもあります。

介護過程の質は情報収集で決まると言っても過言ではありません。


ですので、しっかりと押さえていただくためにも、複数回にわたって介護過程における情報収集についてご紹介できればと思います。

前回の介護過程シリーズ①では、介護過程の基本的な流れを一度にお伝えしたため、ボリュームのある記事になってしまいました。
にも関わらず、私が投稿させていただきました記事の中で、短期間で一番多くの方にアクセスいただきました。
お読みいただく皆様に改めて感謝を申し上げますとともに、前回の反省を活かし、今回は少しボリュームダウンして、ご覧いただく皆様になるべく読みやすくなるよう努力し、ご紹介致します。

また、今回の記事ご興味をもっていただけた方は、以前ご紹介した「介護職のコミュニケーション(伝える<捉える)」についてもご確認いただくことで、今回の内容がより読みやすくなります。
もしお時間をいただける方は合わせてご覧いただければと思います。

介護は非常に奥深く、人生のスパイスとなる内容に溢れています。
そしてその内容は様々な要素や背景が重なり合ったものです。
それゆえに、お伝えする他の記事全てが、繋がりのある全体としてお伝えしていけたらというのが私の思いです。
ある記事を読み終えた後に、改めて過去の記事を読み『この部分のことだったのか』と伏線回収のような感覚で読んでいただければと思います。


介護は"人"のリアルがそこにあり、楽しく(愉しい)誇りある仕事です。

介護を通して“人”に触れる“人”を考えることは、生きる上で多くの学びとを与えてくれます。

この記事がご覧いただく皆様の"何か"になり、介護を通して共に学び育てる(共育)になれば幸いです。

前置きが長くなり、大変申し訳ございません。

はじめに、今回の記事の大枠、構成のご紹介です。

この記事の大枠ですが、以下の内容についてご紹介させていただきます。

・介護過程の情報収集がなぜ重要なのか
・知る、理解、判断することまでが情報収集
・情報収集の質を低下させる”つもり”という罠への対策

続きまして、記事の構成です。

1. 介護過程シリーズ①の振り返り(大枠の説明)
2. なぜ情報収集が重要なのか(体験形式でイメージ)
 “知る”から“理解”し“判断”までが情報収集のサイクル
3. 情報の質を低下させる“つもり”というトラップへの対策
4. まとめ(次回のご案内)

以上の順番となっております。

この記事は介護職問わず様々な方におすすめです。

より良いケアを実践していきたい方(在宅介護・介護職問わず)
介護教育に携わる方
介護現場の業務改善に取り組みたい方
介護リーダーとして活躍されている方
介護職となって間もない方
人(材)財育成に携わる方(介護職問わず)
マネジメントに携わる方(介護職問わず)
対人サービスでご活躍されている方

介護の知識を様々な場面にご活用いただけたらと思います。

では、さっそく始めさせていただきます。

介護過程シリーズ①の振り返り

はじめに、前回の記事を読まれていない方もいらっしゃると思いますので、介護過程シリーズ①の記事の大枠を下記に抜粋いたします。

介護過程の実践により、介護(ケア)の質は大きく変化する。
介護過程は介護の基本知識であり、4つの思考プロセスからなる。
目的は利用者(ケアを必要とされる方)の生活の質向上(QOL)である。
介護過程の思考プロセスは、実は普段から日常的に使用している。

以上が以前お伝えさせていただきました内容です。

冒頭の繰り返しになりますが、
介護の質を大きく左右する介護過程
その中でも、この“情報収集”が介護過程の質を決めると言っても過言ではありません。

なぜ情報収集が重要なのでしょうか。
ここを押さえるところから始めたいと思います。

なぜ情報収集が重要なのか

いきなり話は脱線するのですが、皆さんは孫子の下記の言葉をご存知でしょうか。

“彼を知り己を知れば百戦殆うからず”
                               孫子

介護過程の情報収集というプロセスが重要である理由は、まさにこの言葉と通ずるところがあります。
もちろん、ケアを必要とする方々と戦うという意味ではございません。

お伝えしたいのは「何かを行う前にはしっかりとその事柄について“知り”、自分に何ができるのかを知ったうえで、目的をもって取り組むことが大事である」ということです。

そのためには“知る”ということからスタートしなければなりません。

”知る”ということ(体験)

言っていることがよくわからない、そんな方もいらっしゃると思います。
体験を通して”知る”ということをイメージしてみましょう。
下記の画像をご参照ください。

Q1、この画像に映っている物体はなんでしょうか?
※3枚とも同じ物体です。


画像1


画像2
画像3

Q2、この物体を私たちはどのように活用できるでしょうか?


いかがでしたでしょうか。

Q1の答えである、物体の正体がわからなければ、Q2の答えがでなかったのではないでしょうか。

この思考のプロセスを振り返ってみましょう。
1枚目の画像で物体を理解できた方は少ないのではないでしょうか。
中には、3枚を同時に見て、瞬時に答えを出せた方もいらっしゃるかもしれません。
いずれにせよ、人がなにかを判断するまでには、まずは知りそれらを理解するという思考のプロセスが存在します。

知るということは実は奥が深い

ここで考えていただきたいのが、知る・理解する質が低いとどうなるのかということです。

先ほどの画像の件で考えてみるとわかりやすいのではないでしょうか。
画像を知るだけで、物体としてそれは何かということを理解できなければ、
Q2の質問には答えられない、すなわち、“判断できない”という状況になってしまいます。

なぜそのようになってしまうのか…
そのようになってしまう原因“知る”ということから“理解する”繋がっていないからであり、その結果、“判断する”に至らないということです。

このような、知ったはいいが、理解、判断ができない状態が介護(ケア)で発生するとどうなるでしょうか。しっかりと情報を把握していないわけですから、ご利用者(ケアを必要とされる方)の大事な思いに寄り添うことが出来ない、更にはご利用者の大事な時間も無駄にしてしまう可能性が高くなります。それだけではありません。介護(ケア)を行う側も、思い描いた成果は出ず、不要な労力や時間を費やすことになります。これでは互いにメリットがない状態です。
このような状態でご利用者の生活を支えていると言えるでしょうか。

ですので、普段私たちが何気なく行っている”知る”ということは、厳密にいえば、理解し判断するところまでを思考のプロセスとして行っているのです。

ではどのようにして、知る・理解・判断をしていくのか?

その答え情報収集です。

乱暴で簡潔な説明になってしまうのですが、これが情報収集が重要であるとした理由です。

ここまでの文章では、普段どこかで聞いたことがあるような話だったと思います。

知るとか理解するとか判断するとか言ってるけど、
要は「しっかり情報を確認してから行動しよう」ってことでしょ?そんなことはわかってるよ!
と思われた方もいらっしゃると思います。

今回はここで終わりではありません。
更に一歩踏み込んでいきたいと思います。

“知る”から”判断する”までのプロセス

今までの流れを簡単にお伝えするなら、
「しっかり情報を確認してから行動しよう、そうすれば対処の質が変わり、良い結果を残しやすくなります」という内容です。

しかし、このような“しっかり情報を確認してから行動しよう”ということは普段から皆様が意識している、もしくは努力していることではないでしょうか。

どういうことかというと、瞬発的に行動しなければならない状況を除いて、なにも情報が無い中で何かを行動する人などいないということです。

それぞれに差はあるにせよ、人はものごとに対して“知り、理解した”うえで行動しています。

しかし、ここにトラップがあることをご存知でしょうか。
それが“つもり”というトラップです。

“つもり”というトラップ”への対処

人間は今までの自分自身が得ている経験や知識、そして現在の感情から、何を見たい、知りたいのかを決め、ものごとを理解するという特性をもっています。これらが“つもり”を引き起こす大きな要因です。

ですので、誰もが “つもり”で取り組んでいるもの、すなわち、人として自然なことなのです。決してこの“つもり”が悪いわけではありませんし“つもり”を完全に無くすことは不可能です。

しかし“つもり”が多くなればなるほど、情報の質が低下し、根拠が曖昧となり不確実性が高い対処をしていくことになってしまいます。

ではどうすれば良いのか?

この、人の“つもり”という思考の原理を自然なこととして理解したうえで、“つもり”を極力減らしていけばいいのです。

この“つもり”を減らすことが出来る一つの方法として、介護過程の“情報収集”があります。

介護過程の第一である情報収集では、情報を得て理解するに至る4つの思考プロセスが示されています。

①収集(ご利用者のニーズを中心として情報を収集する)
②分析(収集した情報を分析する)
③統合(分析した情報から何が言えるのかを統合する)
④判断(統合した情報から自分たちに何ができるのかを判断する)

上記のように、情報収集と言っても単に今ある内容を収集するわけではなく“知る”に始まり“判断する”に至るプロセスが含まれています。

ここまでお伝えすると、前回の介護過程①をご覧いただいた方の中にはお気づきの方もいらっしゃると思います。

そうです。
介護過程の一段階である情報収集も、介護過程のサイクルと同じように何度も繰り返し行い、根拠の質を高めていくものなのです。
収集、分析、統合、判断、これらのプロセスを一つずつ丁寧に行うこと、そして繰り返すことで“つもり”が減少し、より質の高い情報収集が行えるようになり、結果的に「根拠をもった質の高い介護・ケア(行動)」ができるようになります。

そしてこれは介護・ケアだけでなく、皆様が生活の中で普段行っている「行動」にも置き換えることが出来ます。

皆様が経験した、“つもり”で起こった事柄を思い返してみてください。

そこには”つもり”というトラップを回避するためのヒント、自分自身がまだ見ぬ情報があるのではないでしょうか。



介護の知識が皆様の生活のお役に立てる“何か”になれば幸いです。

まとめ

次回は情報収集のプロセスを詳細に

今回は介護過程における情報収集の重要性にはじまり、“つもり”が引き起こす情報の質の低下、それらを防ぐために活用できる介護過程の情報収集のサイクルについてご紹介致しました。
ここまでの長文にお付き合いくださいました皆様、お時間を頂戴しありがとうございました。
次回は情報収集における①収集②分析③統合④判断について、一つずつご紹介致しますので、ご興味を持っていただけた方は次回もご覧いただければと思います。

最後に

note、その他でのSNSでも投稿の経験が全くない中でスタートし、今回で5つ目の投稿となりました。

前回の介護の専門知識は面白い!介護過程シリーズ①は最も長文であったにも関わらず、私の投稿させていただいた中で一番多くの方にご覧いただいております。
本当にありがとうございます。

今回は少しボリュームダウン致しましたが、介護の基礎知識は非常に面白く実用性のあるものです。
投稿毎に自分自身も成長と自己研鑽を重ね、ご覧いただく方々に少しでも読んで良かったと感じていただけるように努めてまいります。
今後ともよろしくお願い致します。


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