【創作の中毒×中毒の創作8】

「おい。医者!」
 俺は、立ち上がった。

「ヤブ医者!」
「ヤブ医者だって?」 
 精神科医は聞いてくる。彼の表情は全く変わっていない。

「ああ。ヤブ医者だ。このキ●ガイ医者め」
 俺は、率直な感想を言ったつもりだった。

 こんなマッドサイエンティストは、心療内科のクリニックなど開いてはならない。
 一刻も早く、店じまいをするべきである。

「ほう」
 医師は優しい目をして、微笑んでくる。 

 傍らには、相変わらず、白い人間みたいな生き物がヌメヌメ動いている。

「何が面白いんだい。ヤブ医者のくせに」
「ほほう」
「笑ってないで、自分が精神科に行けよ」
 俺は、言った。

「なるほど」
 医師は、カルテに何か書き込みながら、

「君は、ADHDの症状が出ているね。新しく薬を出しておこう」 

 こうして、この日の診察は終わった。


 



 

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