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【対話体小説】『見せもんじゃねえんだよ』

《本作には過激な表現が含まれる可能性があります。苦手な方は読まず、そして小さなお子様の手の届かないところに置いておいてください》

「オイ、てめえ! 何見てんだよ! 見せもんじゃねえんだよ!」
「あぁ? 何だ、この野郎! 見せもんじゃねえか!」
「何言ってんだ、てめえは! 見せもんじゃねえって言ってんだろ!」
「だから、見せもんだろっ、て言ってんだろうが!」
「訳分かんねーこと言ってんじゃねえ! 見せもんじゃねえ……ん?……見せもんか? ……オイ、お前、コレ……見せもんなのか?」
「兄貴ぃ……見せもんじゃないっすかねぇ……」
「マジか……見せもんか……チッ! やっちまったな……『見せもんじゃねえ!』って啖呵切っちまったなぁ……」
「おぅ! てめーら! 何ゴチャゴチャ言ってんだ! 見せもんだろうが!」
「オイ、どうしたお前ら!」
「あっ、オジキ、お疲れ様です!」
「オジキ、お疲れ様です!」
「お前、何があった? 説明しろ!」
「いや……見せもんの話なんすけど……見せもんなのに、兄貴が『見せもんじゃねえ!』って啖呵切っちゃって、それで……向こうの野郎が……」
「オイオイオイ、相当やべー話じゃねえか! で、お前ら、あの野郎に『見せもん』だって言ったのか?」
「いえ、それはまだ……」
「絶対言うんじゃねーぞ!」
「え? だって……オジキ……」
「バカ野郎! 今さら『悪ぅございました。見せもんでございましたぁ~』じゃ、あの野郎も納得しねーだろうが! お前ら、『見せもんじゃねえ!』で通すぞ!」
「オイ、てめーら、いつまでゴチャゴチャやってんだよ!」
「おぅ、お前らか? ウチの若けぇ奴らに『見せもん』だの何だの物騒なこと言ってる野郎は?」
「おぅ、だから見せもんだろーがよ!」
「お前、何の根拠があって、『見せもん』だなんて言ってんだぁ?」
「あぁ? 根拠も何も……どっからどう見ても『見せもん』だろうがぁ!」
「おぅおぅおぅ! 黙って聞いてりゃいい気になりやがって! 何のネタもなしに『見せもん』呼ばわりしてんじゃねーだろうなぁ! 抗争んなるど、おんどりゃぁ~!」
「……うっ………じゃあ……見せもんじゃねぇーのかよ……」
「あぁ?……見せもんだろうが何だろうが、お前らに関係ねーだろうがぁ!」
「オイ、見せもんじゃねーのか?」
「兄貴……見せもんかどうか……オレちょっと分かんないっすよ……」
「マジか……やべーな……見せもんじゃねーかもしれねーのに、散々『見せもんだろうがっ!』って啖呵切っちまったなぁ……」
「オイオイ、アンタら全員、こんなところで何やってる! 往来のど真ん中で『見せもん』だなんだ物騒なことやってるって、さっき通報入ったんだが……ん?……アンタ! それ、見せもんじゃないのか! ちょっと、話聞かせてくれるかな……」
「おぅ! やっぱり『見せもん』じゃねーか!」
「あぁ……アナタたちは『見せもん』じゃないほうね。ちょっと参考程度に、アナタたちからも話を……ん? アンタたち……それ、『見せもん』じゃないのか?」
「あぁ? ……ちげーよ。『見せもん』なわけ……ねーだろ」
「まあ、いいや。ちょっと、どっちの兄さんたちもパトカー乗ってくれる?」
「うぉい! オレたち関係ねーだろうがぁ!」
「いいから、いいから、『見せもん』『見せもんじゃない』かは、ゆっくり署で聞くから」

(完)


~補足~
本作は完全なるフィクションです。
見せもんじゃねえんだよ! いや、見せもんだろうが!)

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