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淡路島の「暑い冬」と「赤い海」

さて、前回は鳴門海峡の渦潮に想いを馳せた男の物語をお伝えした。

渦潮を巡る冒険に一段落着いたので、私は次なる目標を探し始めた。

「ほぼほぼ渦潮のため」、そして「ほんの少し阿波踊り体験のため」に徳島入りしたのだが、旅の醍醐味で、何かノープランで面白い場所に行きたくなった。

そして、何だかんだ考えた挙句、いったん徳島を出て、淡路島の海でも見たいと思った。

ちょうどよく、徳島駅前から出ている高速バスが、淡路島の「大浜海岸」のすぐ隣にある洲本バスセンターに着くらしい。これに決めた!

しかし、レンタルカーの旅であればまだしも、今回の私のように公共交通機関を利用する場合、徳島から淡路島への冒険もなかなかスリリングなものになることがわかった。

徳島駅前から淡路島行きのバスは1日3本しか出ておらず、帰りのバスも同じく1日3本らしい。

ほかの記事でも書いたりしているが、私は生まれ持っての三重苦に悩まされ続けており、その1つが「方向音痴」である。

従って、下手に動きまわって迷い道クネクネ〜みたいなことになったら、淡路島から戻って来れなくなってしまう。

渦潮との闘いを終え、少しのんびりとしたかったのだが、私は再度気を引き締め、新たな激闘の予感にソワソワしながら、「高速バス」という名の戦闘機に乗り込んだ。

お洒落な赤レンガの「S BRICK(エスブリック)」

バスは渦潮との死闘を繰り広げた鳴門海峡に架かる大鳴門橋を通過し、午前のうちに淡路島は「洲本バスセンター」に到着した。

バスセンター近くの「S BRICK(エスブリック)」はとてもお洒落な赤レンガの複合施設であり、ここで「淡路島バーガー」なるものを食し、いよいよ海へ向かった。

それにしても、海に近付いて来たためか、トンビが異様に多いぞ。。。上空をピーヒョロ ピーヒョロ~♪とかパッパパラパ~♬などと鳴きながら集団で旋回している。

それにしても、3月にもかかわらず、かなり良い天気であり、正直、、、ちょっと暑い。。。

私は淡路島(の洲本)に何となく寂れたような印象を持っていたが(失礼な話ではあるが!)、実際の印象は海あり山ありの自然に囲まれた場所でありつつ、「綺麗な街並み」という印象を受けた。

陽射しに照らされた淡路島は洲本の綺麗な街並み

海は目の前であるが、私には海に繰り出す前にどうしてもしておかなければならないことがあった。

それは、、、洲本バスセンターの係員さんに、念のため帰りのバスの時間を再確認することである。

すでに書いたが、淡路島から出られなくなったらたいへんである。

バスセンターの年配の女性係員さんは、丁寧にも色々と淡路島の交通手段について教えてくれ、バスの時間についてもご丁寧に忠告してくれた。

「そうです。徳島に戻る高速バスは1日3本。16時代のバスが最終です。そして、これを逃すと、、、淡路島から出られなくなりますよぉ。。。

、、、だから、その怖いフレーズはやめてくれい!

さて、いよいよである。。。

海だぁ~~~~っっ

淡路島の海に着いて、ホントに「海だぁ~~~~っっ」と叫んだ。まあ海である。

表面に陽射し揺蕩う海水をテトラポット越しに覗き込む。
都会の喧騒からいっとき逃れて来た私は、限りなく透明に近いブルーな海水に目と心を奪われ、体はここに居ながらにして、心だけそのまま呑み込まれてしまいそうになる。

ボートピアを挟んで、大浜海岸の砂浜に向かった。
砂が靴の中に入って来るのも気にせず、ザッザッと熱い砂浜に靴をめり込ませ、波打ち際を歩く。

3月にもかかわらず、熱い冬の大浜海岸にて、熱い砂浜の上を小汗を搔きながら歩く。

何ともいいねぇ~。
、、、とそこに、江の島に引き続いて、またまた見付けた恐怖の立て看板。

「トンビに注意!」

このトンビという子らは、基本的に人間に近付かないらしいが、「鳶に油揚げをさらわれる」のことわざのとおり、人間が手に持っている食べ物などを取って行ったりすることもあるらしい。

いつも思うが、あんなそこそこ巨大な鳥がいきなり手元に舞い降りて来たら怖すぎて、トラウマになると思う。

幸運にも、私はまだトンビに襲われたことはないが、彼ら彼女らの「ピーヒョ ロピーヒョロ」の威嚇に若干怯えながら(威嚇しているつもりはないのかもしれないが)、とりあえず「油揚げ」を持って歩くのはやめようと思った(そういう意味ではないと思うが)。

さて、いったん海岸を離れ(トンビが怖いわけではないぞ!)、近くを探検することにした。

そこら辺をブラブラ歩いていると、ん?ありゃ何だ?!

山の上にお城がそびえ立っているではないか!
これは登らにゃいかんではないか!(「いかん」こともないのだが)。

2日続けての渦潮との闘いを終え、しばしの休息をと考えていたが、闘いの神は私を休ませておく気はないようである。

では仕方あるまい。本日は、この山頂の城をいただくことにした(カメラに収めるだけであるが)。

よし、今日の対戦相手は山の上の「洲本城」か。相手にとって不足はない。

その頂に洲本城がそびえ立つ「三熊山」の登山口からいざ出陣(という名の登山)!

三熊山登山口へ

今日は山頂の城で勝利の祝杯でも挙げようか。
皆の者、私に続けぃ!
トンビは続かないでいいからね。怖いからあんた達。

そして、出陣から約2分後

「通行止」だってさ~。
はい終了~!

各位も洲本城を目指す場合、事前に下調べをした方がよいかもしれない。

さて、いい汗も掻いたところで、引き続き辺りをのんびり散策することにした。

「洲本八幡神社」で「すもと八狸(やだぬき)」の像と戯れたり。

「淡路文化史料館」でも「すもと八狸(やだぬき)」の像と戯れたり。

「お登勢さん」の像(とその隣に偶然居合わせた白い鳥(名前わからず))と戯れたり。

偶然居合わせた白い鳥(名前わからず)とツーショット

そんなこんなでブラブラしていると、、、足湯があったぞ!

登山(約2分)で疲労を抱えた我が足が、しばし癒されたところで、さっき向かったのとは別の方向から再び海へ戻ることにした。

ん?

おぉ、海が赤い!

そうか、赤潮か。

赤潮(あかしお):プランクトンが異常増殖し、それらプランクトンの色素によって海水が赤く変色する現象である。
水が赤く染まることが多いため「赤潮」と呼ばれるが、プランクトンの色素によって、海水はほかの色になったりもするらしい)

僅かばかり前に、私は透き通るような大浜海岸の海水に心が洗われるような思いをしたばかりである。

そして、光の白に加えて鮮やかな赤の絵の具が混じったような淡路島の海を目にして、私はこのまま「これはこれで綺麗だ」と思ってしまってよいものか否か、正直、何だか少し複雑な気分になった。

プランクトンが大量に酸素を消費したり、また毒素を出したりすることもあるため、赤潮は魚介類を死なせたり、漁業に被害を与えたりすると言われている。

また魚介類ばかりか、毒素を含んだ貝類等を食べることにより、人間に対する健康被害が問題視されたりもするらしい。

なるほど大浜海岸の砂浜をよく観察しながら歩いてゆくと、そこかしこに打ち上げられた魚やカニ、太陽の光に反射して宝石か何かのようにキラキラ光る半透明のクラゲたちの死骸が散乱していた。

人間に被害!みたいな話まで考え始め、不謹慎にも赤潮による彩色に感心している場合でもないかもしれない、などと思ったりもした。

私は海岸に流れ着いた小枝を拾って、何となく大き目のクラゲの死骸を掬うように海に戻してやった。

帰ろう。。。

淡路島での冒険を終え、(今日はあまり闘った気もしないが)「淡路島 のむヨーグルト」で1日の自分の挑戦を労った。

ぼやけた淡路島の海と青空をバックに

「さわやか仕立て」と書いてあるように、ホントにスッキリして飲みやすく、ほぼ牛乳を飲んでいる感覚と言っても、そこまで言い過ぎではないレベル(少しだけ言い過ぎなレベル)と感じた。

「ピーヒョロロロロ~」

うわっ!びっくりした!!

「油揚げ」なら、ここには無いぞ。


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