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Tiger Tateishiの作品を気になっていたギャラリーで鑑賞する

ある日の会社帰り、老舗のギャラリーで開かれていたタイガー立石の展示を見に行った。名前からして完全に日本人だが、恥ずかしながら私はこのアーティストを今回の展示案内を見かけるまで知らなった。

なぜこの展示を見ようと思ったか?

それは、リピートしているお気に入りのギャラリーで、たまたま去年、美大の学生たちに説明をしている引率の先生の説明が興味深く(タダで授業に参加するシマ子…笑)、そこで、「来週のこの時間は、○○というギャラリーへ行きますよ」という先生の言葉を逃さず聞き取り、「さすがに2週連続同じ空間にいたらストーカーと思われそうだな、でもいつか訪れてみたいな」と、To doリストとでもいうべき"シマ子・ギャラリーリスト"のトップに長らく君臨していたものの、いっこうに新しい展示が行われないものだから行く機会に恵まれず、待ちに待った展示がこの方のものだった、というだけなのだ。
つまり、立石さんには申し訳ないが、彼の展示が見たかったわけではなく、ギャラリーを訪れる絶好の機会だった、というのが本音だ。

私のようにタイガー立石をご存じない方に、少し説明を載せておこう。

タイガー立石(1941年12月20日 - 1998年4月17日)
日本の画家、漫画家、絵本作家、陶芸家。本名、立石紘一。
武蔵野美術短期大学への進学・上京を期に美術活動を開始。最初は本名で活動し、和製ポップアートの先駆けと評される。

1965年、タイガー立石のペンネームで漫画を書き始める。公私に渡り関わりが深かった赤塚不二夫に影響されたギャグタッチの作品を多く残した。ペンネームの由来は寅年生まれだからで、生涯美術作品にも虎をモチーフにしたものが少なくなかった。

1969年3月、妻とミラノへ移住。「環境を変えることこそが創作意欲を刺激する。ひとところへの安住・現状への満足は拒否」というスタンスは、生涯最後まで貫かれたモットーであった。なお、イタリア以外の国も含め計13年間ヨーロッパ滞在・活動継続したが、この間イタリアでは、コマ割り絵画(漫画のコマ割りだけでなくストーリー性も持ち込んだ)を発表、また美術・商業双方の建築・デザイン・イラストレーションなどの実績を積んだ。
1971年にはOlivetti社配下のEttore Sottsassのデザイン研究所に在籍。
1982年に帰国、90年代には陶彫を開始、1998年4月、肺癌のため死去。

Wikipediaより

ちなみに、【大人の社会科見学 その2】でEttore Sottsass、正確に言うとSottsassの最初の妻について少し触れているので、もしよければ併せて読んでいただければ、と思う。


次に、今回の展示の説明の意訳の要所をつけよう。

「タイガー立石」展では、1960年代後半から1970年代にかけて、立石がミラノ滞在中や旅行中に制作した絵画や論文を展示する。
このイタリア時代は、立石が「Tiger Pinxit」のサインを作品に入れ始めた時期であり、絵画的な観点から見ると、作家にとって最も多作な時期であった。また、最初の貴重なリトグラフを制作し、有名な「vignette」絵画を発展させた時期でもある。
1969年から1981年にかけて、日本に帰国するまでの間、シュルレアリスム、SF、コミックといった立石の最大の情熱が集結した、現代のイメージやアイコンを万華鏡のように描いた作品を約100点制作した。

展示会案内より抜粋・意訳

では作品の紹介へ移ろう。
正直に言って、私の好みのスタイルではないため、すべての写真は撮っていないが、それでも7-8割がたの写真をご紹介したいと思う。

これが一番のお気に入り。
タイトルはわかりませんが、童話「ちびくろサンボ」を私には連想させました。あの話では虎はバターになったけれど、ここでは林檎?スイカ?から生まれてまた果実になるのかな、と。
Tea Pot 1
Tea Pot 2
Tea Pot 3
立石さんの作品が掲載された雑誌・書籍類
タイトル: Metamorphosis of Pisa, 1979
斜塔とDuomoがこんな姿に…。
Giuseppe Arcimboldoの人物画の建物版みたいに見えるのは私だけでしょうか?

Giuseppe Arcimboldo(1526年4月5日 - 1593年7月11日)
ミラノ出身の画家。マニエリスムを代表する画家の1人とされる。
静物画のように緻密に描かれた果物、野菜、動植物、本などを寄せ集めた、珍奇な肖像画の製作で世に知られる。

Wikipediaより
有名な作品の例①
「ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世」(1590-91年)
有名な作品の例②
「司書」(1566年)


また少し脱線してしまったが、立石作品へ戻ろう。

やっぱり、虎が描かれている作品が私は好きです。
タイトル: Moon Landscape, 1973
これもタイトルがわからないけれど、4角形から16角形、そしてそれ以上になる過程で生み出される動きや影が興味深くて見入ってしまった。
これもタイトルが分からないけれど、オランダの建物が散り散りにぶった切られた感じ。
タイトル: Dimention Cutters, 1970
近景
タイトル: Mao's Ecstasy, 1970
タイトル: Tiger autoportrait, 1975
銀河鉄道999と立石さんの融合、みたいな感じ?
タイトル: Gabbage Moon, 1975
タイトル: Planet Blossom, 1969

作風は好き嫌いが分かれるとは思うが、光が十分に入る広々としたギャラリーで、一点一点じっくり見られる落ち着いた雰囲気で、個人的には訪れて正解だったと思っている。

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