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RoubaixのLa Piscine(ラ・ピシーヌ美術館)を訪れる-その① 常設展-

フランスのリール美術館の記事で、Lilleの冴えない隣町のRoubaixについて少し触れた。

冴えない町ではあるが、1か所だけ見所がある(それ以外にもあれば、住民には申し訳ないが、何しろ住民の半分以上がアラブ・アフリカ系移民のようで、フランス人は道ではほぼ見かけなかった)。
それがこの、La Piscineだ。
La Piscineは、正式名称をLa Piscine - Musée d'art et d'industrie André Diligent de Roubaixといい、元々プールだった場所を改築した芸術産業博物館である。


※La Piscineの歴史

2001年10月21日に開館したAndré Diligent 美術産業博物館は、市長の発案により、リールの建築家アルベール・ベール(1863-1951)の計画に基づいて1927年から1932年にかけて建設されたアール・デコ調の旧市営プールの跡地に設置されている。
 現在では20世紀の遺産として登録されているが、当時、このプールは、質の高いスポーツと衛生サービスを提供し、革新的な社会的運営によって、労働者階級出身でありながら、卓越した一流のプロジェクトを推進できる自治体チームのイメージを示していた。

美術館のHPより抜粋・自動翻訳

美術館の展示内容をざっと読んでかいつまんで説明すると、もともとはこの土地で盛んだった織物産業にちなんだ展示を行っており、大戦中の閉鎖明けに産業美術館として再開、そして2001年にRoubaixの美術館の遺産と併せて、オルセー美術館、国立近代美術館、国立現代美術基金といった国立美術館に収蔵されていた重要な作品も受け入れ、現在のラ・ピシーヌとして開館されたそうだ。
もっと細かいところまで知りたい方は、HPに英語の説明があるので、読んでいただければ、と思う。

今回の旅用にリスト化した美術館の中でかなり期待度が高かった場所ゆえ、もしかしたら半日では見終わらないかも、と思い、朝一(といっても開館が11時と遅いので、その前に別の場所も訪れた)に着き、開館を待った。やはり、9時からだと冬の行列はあまりないが、11時には行列ができるようだ。
チケットを購入し、どの言語のパンフレットがよいかを問われたので、フランス語版をもらう。そして、常設展はこちらから、特別展はあちらから、という説明を受け、混む前に美しいプールのステンドグラスを見ねば、と常設展の方へと進む。
ちなみに、年末の特別展はシャガールの「LE CRI DE LIBERTÉ. CHAGALL POLITIQUE(訳: 自由への叫び 政治的シャガール)というタイトルで行われていた。常設展の中にも細々とフォーカスされた展示があり、シャガールは別枠で語りたいので、La Piscineは2回に分けて掲載したいと思う。

では、写真へ移ろう。

入り口①
入り口②

※常設展 1階(世にも美しいステンドグラス)

どうですか、このアール・デコの旧市営プールとステンドグラスは!!!
これを見にはるばるHauts-de-Franceまでやってきたのだ!
晴れの日や午後だともっと明るくステンドグラスが水面に映るのかもしれないが、冬のフランスは大概薄曇りか小雨なので(少なくともここ3年で晴天を見た記憶がない)、その実は定かではない。
シャワーを浴びる場所の痕跡。これは個人用のシャワーだが、団体用のシャワーなのか、
広いスペースの場所が何か所かあり、そこには各種展示がある
プールの両脇に彫刻や壺類が展示してある。
前日のLille美術館でたくさん素晴らしい彫刻を見たのと、
正直、彫刻についてはこちらの方が見劣りしたため、あまり撮らなかった

※常設展 1階(小展示① Fanny Bouyagui)

ステンドグラスの下側の展示
Fanny Bouyaguiはビジュアル・アーティストでありマルチメディア・アーティストだそうだ。
私の好みとは違うが、気になる方のために、彼女のインスタを下に貼っておこう

※常設展 1階(陶器・花瓶・絵画)

Picassoの作品の区画①
ステンドグラスに向かって左手の、団体用だったと思われるシャワー室には、主に陶器や花瓶が展示されている。
Picassoの作品の区画②
Picassoの作品の区画③
Sèvresの焼き物①
Sèvresの焼き物②
こんなお皿が欲しい
Nancy派だったんじゃないかと。
前年にNancyで芸術探訪をしたので、いつかそれも紹介したいが、平均的に週に1~3か所の美術館、ギャラリーを訪問しており、その中から素敵&記事にできそうなものだけを紹介する、といってもかなりあるので、日の目はみないかもしれない😅
Xavier Durosselleの作品
色合いと形がもの凄く可愛いので撮ってみた。

サイトも素敵なので、是非ご覧いただきたい。
ちなみに、工房は山間部にあり、交通手段がないので、いつか気力があれば、トレッキングの仲間を誘って、寝袋を背負って行ってみたい。

こんなカップでお茶は飲みたくない(笑)
壁沿いには絵画も展示されているが、常設展はあまり心惹かれる作品はなかった。
動物は可愛いので、何枚か載せておこう

※常設展 1階(小展示② 「CLAUDE SIMON SUR LA ROUTE DES FLANDRES : PEINTRE ET ÉCRIVAIN」

(訳: クロード・シモン、フランダースへの道:画家と作家)」

Claude Simonノーベル文学賞作家で、1989年に訪日もしているそうだ。札幌にも訪れ、高校生と対話した、とあるが、私は89年は小学生だったので、北海道にいたが叶わない夢だったらしい🥲

いつか自分のノートをこんなに素敵にコラージュしてみたい
たばこのシールがこんなに素敵に!
10年近く前、あるテーマ(参加者が全員妙齢の女性だったので、異性関連だったのか)について、雑誌を切り抜きコラージュして、その際の心理を暴く、的なイベントに参加したが、こういう作品を見ると、その時の記憶が蘇る。自分の作品も好きだったけれど、他の人たちの作品を見て、どういうイメージで作ったかを聞くのがとても楽しかった。繁忙期が終わったら、一人でやってみよう。
Paravent à six feuilles(訳: 六曲屏風)
裁断した紙と鋲を布に貼り合わせた作品 1955-1960年
これを張り付けている間に、将来取ることになったノーベル文学賞の決定的な瞬間を生み出したらしい。つまり創意工夫が文学作品にもセンセーショナルな影響を及ぼした、ということだろうか?
フォーカス①
フォーカス②

ちなみに、11月1日の祝日に訪れたPrada財団の屏風の展示で、ヴァリエーションに富んだ作品を見たが、私はこのLa Piscineを訪れたことで、Prada財団の展示の見学者に比べて1つ多くの作品を見ることができた。

ここで1階の展示は終了し、2階へ移動しよう。

2階に上がる階段の横に、奇妙な像があるので撮ってみた。
監視員に「これ、気持ち悪いわよね」と横で言われ、くすっと2人で笑ってみた
Notre Poison Quotidien=日常的な毒
が思考に悪い影響を与える、という意味なのだろうか?

※常設展 2階

2階は織物産業にまつわる展示のみとなっている。
内容は、昔の生地スワッチやスワッチブック、有名デザイナーの過去のコレクション、衣装に関する絵画、という感じだ。
仕事の一部とも関係あり、慣れ親しんでいる内容なので、冬休みにわざわざ深堀りしたくはなく、ささっと鑑賞した。

1階の常設展側にはレストランも併設されている。
昼時には家族連れで混み合っていたので、興味があったものの独り身としては座り難い雰囲気がありやめたが、お腹が空いたら見学の途中に入れる位置にあるので、写真を1枚載せておこう。

これは、男女別の着替え場所、もしくは浴場だったのでは、と思う。
中の展示はノーコメントな雰囲気だったので割愛😂
2階から見える中庭。
本来なら展示があるらしいが、冬はやっていないのかもしれない

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