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新規事業開発室・社内起業を考察する①~「いつまで経っても事業がスタートしない」はなぜ起こるのか~

なぜ「スタートしない」のか

こんにちは。初投稿なので、簡単に自己紹介させていただきます!

CA mobile→Atma COO→A(エース) 執行役員と、キャリアは10年以上、新規事業開発室に属してきました。直近の新規事業である、SNS SaaSの『Astream』は、SaaSの目標とするT2D3を達成する軌道に乗っています。

早速ですが、本題に。まず、今回の新規事業の定義としては、PMFとマネタイズが成功している事業が既に一つ以上ある状況で『社内で新たに立ち上げる事業』に焦点を絞ります。

起業時の0→1は、今回の「新規事業」の定義には含めません。起業時はどこまでいってもユーザーインサイトに向き合うことが第一で、極端な表現をすると、それ以外のことは一旦無視して良いと考えます。

しかし、これが本定義の「新規事業」の場合、ユーザーインサイトだけを追えば良いという訳ではありません

ユーザーインサイトと向き合う以外にも、新規事業の適任者を外部から招集するべきか、予算はどのように配分するべきか、責任者への評価設計はどうするべきか、撤退ラインはどうするべきかなど、経営サイドからも新規事業の当事者からも、気にしなくてはいけないことが無数に生まれます。

それらの点と向き合わないと、「いつまで経っても、何もスタートしない」という状況に陥ります。もちろん、それが完全な悪とは言いません。既存事業にフルベットする方がカルチャーとして向いている企業もあります。そういった企業の場合は無理に発進しても「社内でハレーションが起きる」「事業が失敗に終わる」と、散々な状況になります。

本記事では「いつまで経っても、何もスタートしない」はなぜ起こるのかを、考察していきたいと思います。

スタートの阻害はいつだって「経営チーム」から起きる

自分で書いていても、とても耳が痛いですが、基本的にスタートできない原因は経営チームにあります。代表的な理由としては、主に以下の二つです。

1.新規事業を立ち上げた経験のあるメンバーがいない
2.新規事業の必要性の「共通認識」が醸成できていない

上記をひも解いていこうと思います。

1.新規事業を立ち上げた経験のあるメンバーがいない

企業は、必ず0→1から生まれています。誰かが0→1で挑戦して成功してくれた結果、企業は存在しています。

CEOは基本的には「新規事業の立ち上げの経験者」です。しかし、企業規模が大きくなっていくと、人員の新陳代謝の歪みが起こります。

企業内の評価は、成果が重要なポイントになっていることが多いです。その際に、事業によって「成果が出しやすい」「成果が出しずらい」があるというのが、まずは一つ目のジレンマポイント。

もちろん、ハイクオリティの人材であれば、どんな環境でも成果をしっかりと出してきます。しかし、斜陽産業に配属された人と、成長産業に配属された人では、どうしてもスタートラインに差があると思います。

また、極端な話をすると、成長産業の既存事業で成果を出すのと、0→1の新規事業で成果を出すのとでは、ストレス負荷が異なる場合があります。

とは言えど、企業は成果を挙げた人を評価しないと「不公平」と感じさせてしまいます。既存事業で10億を売り上げた人と新規事業で3000万を売り上げた人を同等に扱ってはいけないからです。

結果的に、役員陣は既存事業から生まれたばかりの人で、CEOまでも交代してしまう・・・というケースも。

新規事業の肌感覚は、新規事業をやることでしか身につかないと思っています。ちなみにですが「新規事業開発室でしか新しいことはやってはいけない」と捉えてしまう方がいるのですが、全くそうではありません。既存事業での「新たなアクション」、例えばSEOの会社だけど、Facebook広告も始める・・・と言うのも、素晴らしい新規事業です。

新規事業開発室というのは「意思」です。既存事業も一緒に、新しいことにチャレンジしていく。そして、その新規事業の経験や肌感覚があるかいなかで、新規事業開発室の「風土」は様変わりします。Zホールディングス・リクルート・サイバーエージェントは、本当にそのあたりの仕組みが洗練されているなと思います。新規事業を出世のファーストレーンに置いておきながら、既存事業が花形となって、モチベーション高く発展していけるのは、経営努力のたまもので、畏敬の念を抱かざるを得ません。

ただ、この「新規事業開発の経験者がいない」問題は、基本的にはクリティカルでは無いと思っています。新規事業の立ち上げの経験者がいなければ、経験者にコンサルティングしてもらえば良いだけだからです。

むしろ重要なのは、2つ目の新規事業の必要性の「共通認識」が醸成できていないの方。

2.新規事業の必要性の「共通認識」が醸成できていない

重要なのは圧倒的にこちらです。経営チームに一人でも新規事業に対して熱がない人がいれば、発展は困難になると感じています。

管掌役員を決めて、その人にだけに任せるというやり方もあります。しかし、いざという時に経営チーム内で認識の齟齬がでると、途端に新規事業は足止めに。

なぜ、新規事業を始めるのか。なぜ、新規事業にお金をかけるのか。なぜ、新規事業開発室を設立するのか。この哲学が経営チームで共通認識になっているかいなか、そしてメンバー間に行き渡っているかいなかが、本当に重要だと感じます。

では、共通認識はどのように決めていけばよいのでしょうか。まずは「ミッション・ビジョン・バリュー」が決め手になるというのは、間違いありません。

株式会社A(エース)では、「Good and Cool (クールであれ)」「Beyond Expectations(期待や予想を超えていく)」「Give for Success(仲間の成功と成長に貢献する)」をミッションに掲げています。

常にクールであるには、どうするべきなのか。そもそもクールとは、一体なんなのか。社内から多くの事業家を輩出すること、事業を通して新しい仲間と出会っていくこと、資本を獲得して世の中を良くしていくこと、そのために「常に新しいことにチャレンジをしていく」というのは、我々にとってなによりもクールであり、そして同時に、他の二つのミッションを達成するためにも必要な行動であると考えました。

また、新規事業にチャレンジし続けるというのは、時代的な背景もあります。

私たちの事業は、10年後も同じようにスケールを続けているでしょうか。答えは断じて「NO」です。企業や事業の寿命は、日に日に短くなっています。価値観はもの凄い勢いで移り変わっています。テクノロジーは猛烈な速さで進歩しています。

1935年時点では、企業の平均寿命は90年でした。しかし、2005年には15年になり、今は更に短くなっています。

この共通認識を、経営チームがDNAレベルで認識していないと、細かい"ほつれ"が起きていきます。

今日はこの辺にさせていただき、次回からは「実際に新規事業開発室をどのように運営していくか」に踏み込んでいきたいと思います。

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