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大学病院の医局ってなに?〜旧態依然とした医局制度、それでもやっぱり必要!?〜最後に暴露あります

こんにちは精神科専門医のはぐりんです。
※この投稿を全て読むと5分ほどかかります。お時間のない方は太字だけ読んでいただけたらと思います。

今回は大学病院の医局制度について、一般の方にも分かりやすいように説明していこうと思います。

私自身も過去にA大学の精神科の医局、B大学の某診療科の医局、の2箇所に所属していましたので、自らの体験も交えつつお伝えしていきます。

それと色々とディスり、暴露していきますが、個人的には医局制度にはどちらかというと賛成の立場であるということを最初に言っておきます。その理由も最後にご説明します。

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そもそも医局ってなんなの?

先日XのTLに流れていた産経新聞の記事の内容が簡潔によく表されていたのでご紹介します。

医局:医師の執務室、控室。大学医学部の付属病院での診療科ごとの教授を頂点とした人事組織。人事権は教授がすべて握り、拒否権はないとされる。
(産經新聞より)

要は空間的•場所的(オフィス)な意味と、組織としての意味があります。そして教授には何があっても逆らえないということです。

ではどのタイミングで医局に所属するのかというと、一番オーソドックスなパターンは、6年間の医学部を卒業し、2年間の研修医を終え、その後自身の希望する専門科に進むタイミングで自らの意思で所属します。

なぜ医局に所属する必要があるのかというと、各専門科の専門医を取得するためには、専門研修プログラムに登録する必要があり、それには専門研修先として国から認定されている大学病院の医局や大きな病院に所属しなければならないからです。(大学の医局に所属せず、専門医を取らないという選択をする医師も稀にいます。)

医局に所属すると何が待っているのか?今まで見てきた同僚たちで文句を言っていない先生(あるいはストレスを抱えていない先生)を見たことがないと言っていいくらい、ストレスフルな生活が待っているのです。

一番の理由は単純に大学病院での勤務が忙しく、雑務が多く、さらには薄給だからです。

私は大学病院に計4年勤務した経験があるのですが、毎週教授回診の日には朝早く出勤して患者さんの診察とプレゼンの準備、100冊以上に及ぶその日来院する患者さんの紙カルテの準備、患者さんの紹介状の作成(と印刷と宛名書き、封筒に入れて切手を貼る作業まで)、通常勤務が終わって夜から勉強会や手術の練習、学会発表の準備、当然当直もあります。医学生への講義や研修医への指導、院内の会議への出席、健康診断の診察医などの対外的な雑用も多々。年に一回、休日を使って医局旅行というイベントまでおまけで付いてきます。通常の診療に加えて、まだまだここには挙げきれないくらいの沢山の雑務があるのが大学病院での勤務なのです。

他にも人間関係が面倒くさかったりします。大学病院は医者が多いし、市中病院に比べて他科との壁が厚いです(気軽に相談しづらい)。看護師さんも伝統的に(⁉︎)市中病院の看護師さんに比べて医師に対する当たりが強いです。

それから人事権は教授がすべて握っていて、教授の意向一つで同じ都道府県内の関連病院にほぼ一年毎に異動します。一年勤務して慣れてきたと思ったらまた別の病院に移って、人間関係からカルテの操作方法まで、一からやり直しです。場合によっては引っ越しもしなければなりません。

色々と医局制度の負の側面を書いてきましたが、それでも冒頭に書いたように、個人的には医局制度にはどちらかというと賛成の立場です。理由としては、正攻法(スタンダード)かつ最新の医学の知識や手技を系統的に学ぶためには、やはり大学病院で直接教わらなければ身につかないからです。大学病院は地方であれば1都道府県に1ヶ所しかなく、毎年開かれる全国規模の学会への参加や発表、他県との繋がりがあり、最新の知識や情報が入ってくるのも大学病院なのです。

私は今は医局を卒業(おおよそ専門医を取得した段階、もしくは大学院を卒業して医学博士を取得した段階で多くの医師は医局を離れます)して市中病院で働いていますが、

やはり医局に所属したことのない少数派の医師を見ていると、自己流の知識や技術で診察している医師だったり、(系統的に学んでこなかった分)どこか抜け落ちているような医師が少なくないです。性格的にも忍耐力や組織への順応性に欠ける方が多く、やはり人の命を預かる医師という立場上、それではまずいと個人的には思っています。

最後に、私が医局に所属していた頃、非常勤で大学病院に週1日勤務していた際の恐ろしい実態と、その際にサインさせられた承諾書に関する戦慄の内容を写真で暴露します。

いわゆる無給医を生み出すその驚愕の内容とは、

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