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共依存を超えた関係性


こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。
※3分で読めます。

「共依存」という言葉を聞いたことがあるかと思います。

元々の語源は、アルコール依存症患者とその世話をする家族の関係性から来ています。

日常生活の世話をしたり、あるいはお金を与えて時にはお酒を買い与えたり、また飲酒トラブルで迷惑をかけた際に本人に代わって謝罪して回ったりなど、

依存症患者の面倒を見ることや尻ぬぐいをすることは一見すると献身的なことのようにも思えますが、実は依存症患者の自立を妨げる行為になっています。

また介助者にとっても献身することで自身の価値を見出している、という心理背景があります。このように双方が依存しあい、お互いの自立を妨げてしまう関係性を共依存と言います。

ご説明したように共依存は通常良い意味では使われません。以前の記事(共依存に代わる望ましい関係性〜心理学者の言葉から考えてみた)でも書きましたが、お互いにまっすぐ立てず斜めに寄りかかっていると(頭を頂点とした三角形)、ちょっとしたひずみで倒れてしまいます。そうならないよう、お互いが文字通り「自立」している関係性が望ましいのです。

私の外来に来る統合失調症の30代の女性。

芸能人が私のことをテレビで言っているとか、原爆落としたとか、他にも魔術的なことをのべつまくなしに話し、突拍子もないことを毎回話すのですが、

彼女の斜め後ろに座りいつも付き添っている(魔女のようなとんがり帽子を被った)母親がそれを聞いてクスクスと笑っているのです。

おそらく母親にもなんらかの病的体験(幻聴や妄想)があるとは思っているのですが、自宅でもお互いが濃密に干渉し合っています。

ここまでくると、もはや共依存を超えた二人組(ふたりぐみ)精神病と呼ばれる状態と言えます。フォリアドゥという格好いい横文字の名前もついていたりしますが、お互いが妄想を共有し、たきつけ膨らませてしまった状態と言えます。

共依存や二人組精神病とまではいかなくとも、普段の夫婦間・親子間の関係で、お互いに寄りかかりすぎている方も少なくないかと思います。時々は自身の足元を見直し、しっかりと自分の足で立てているかどうか確認してみるのもいいかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。






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