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大学進学率25%超アップを目指す「インド」の国家教育政策とは?

 早速ですが、2019年時点でのインドの高等教育(日本でいう大学)の進学率は25%にも満ちません。
 しかし、インドは近年、新興国第2位の経済規模を誇り、かつGDPが世界でトップ5に入るほどの経済大国です。インドは総人口の中でも若者の割合が多く、今後継続して経済発展していくためには若い世代の活躍が求められるでしょう。
 そこでインドは、2030年をゴールに設定し国を挙げて教育問題と向き合うようです。

2020➡2030を見据えた国家教育戦略

近年、インドはその経済力と人口において世界の注目を浴びる新興国の1つとなっています。2022年時点での名目GDPは3兆3,851億ドルで、14億を超える人口を抱えており、若者の割合が多い富士山型の人口ピラミッドを特徴としています。主要産業は農業、工業、そして急速に成長しているIT産業です。

しかし、インド政府は経済力だけでなく、教育システムの向上にも注力しており、その取り組みは国家教育政策(NEP)の改定を通じて表れています。この改定の目標は、2020年から2030年までの期間で教育システムを全面的に再構築し、GDPの6%をあて、高等教育への進学率を50%以上に増加させることです。インドの学校教育は初等・中等・高等の3つにわけることができ、高等教育は日本でいう大学・専門学校の位置に属しています。現在、インドの高等教育への進学率は25%未満であり、若い世代の活躍を促進するために改革が進められています。


高等教育において、特に柔軟な入学・修了制度の導入が注目されています。学際的な学士プログラムの推奨や、学位を授与するタイミングの柔軟性が導入され、学習のニーズに合わせたプログラム提供が期待されています。修了時に認定書や学士号を取得できるため、学生が多様なキャリアパスを選択できるようになります。


初等・中等教育においても変革が進行中で、10+2スキームが5+3+3+4スキームに変更されています。教育ペースや配分が変更され、言語および計算能力の向上に焦点が置かれています。この変更により、学習要求が高まっていると言えます。

EdTechの台頭


さらに、コロナウイルスの影響からEdTech産業が注目を集めています。インドのオンライン教育は急速に成長しており、2020年から2024年までの年平均成長率は21%以上と予測されています。

特に、BYJU'Sなどの企業は高品質の個別学習プログラムを提供し、学校のカリキュラムと連動することで教師不足の問題を解消し、身体が不自由な子供たちにも教育機会を提供する可能性があります。

課題と展望

一方で、高等教育への進学率50%達成に向けて、大学数や教員数が不足しているという懸念も存在します。この課題に対処する鍵として、EdTech産業の活用が考えられており、国際連携も重要視されています。インドの高等教育のシステムは、様々な人々のニーズに合わせた学びを提供することを目指しており、他国との連携によって不足分を補うことが求められるでしょう。

インドの教育改革とEdTech産業の成長は、国内外の教育状況に重要な変化をもたらす可能性があり、教育へのアクセスと品質向上に向けた進歩が期待されています。

参照文献


外務省. (2023年10月3日). インド基礎データ|外務省.参照:2023.10.20 参照先: https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/india/data.html

日本貿易振興機構(ジェトロ)デジタル貿易・新産業部. (2021年1月6日). インド 教育(EdTech)産業調査(2021年1月). 参照:2023.10.20参照先: ジェトロ: https://www.jetro.go.jp/world/reports/2021/02/d6f55e7b446aba94.html


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