「君は、この物語主人公になってみたいかい?」 YES or NO 突然僕の前に現れた選択画面。なんだかわからなかったが、怖いのでとりあえずNOを選んだ。 「全く、君は控えめだな。仕方がない、特別だ君を主人公にしようではないか」 「い、いえ結構です。というか、なんですかこれ。真っ暗で、このよくわからないホログラム的な画面しか見えないんですけど」 「よーし、まず初めに主人公になるために大事なのは、どういうタイプの物語を進んでいくのかだ。選択肢はたくさんあるぞ」 また
流れる川に沿って、私は山を登る。 木の葉の絨毯の上を、滑らないように気をつけながら一歩一歩踏みしめる。 サラサラという川のせせらぎと、私の枯れ葉や小枝を踏むザクザク、パキパキという音がとても心地よい。 「あっ、こんにちは。こんなところに人がいるなんて」 音を楽しんでいた私に声をかけてきたのは、小さい、子? ああ、いや違う、大人の女性かな? 私より少し背の低い、腰辺りまで髪の伸びた女性が、知らぬ間に正面に立っていた。 「こ、こんにちは」 「ここでなにしてるんですか
とある小さくも大きくもない村。 人口はだいたい6000人程で、そのうち半分は高齢者で、年々その土地を離れる若者は増えていくのだった。 「あと五年もすれば、この村もジジイかババアしかいなくなるな」 「かもね」 「優太、どーすんの? 地元戻ってくるの?」 「んー、まあ、そーかな」 「純一はどっか行くんでしょ?」 「うん」 夏が過ぎ、秋口の昼下がり、男達が3人集まって純一の部屋で話し込んでいる。 優太、純一、翔馬、彼らは小学校から共にする仲だ。 「この裏切り者
「ねぇ、何点だった?」 「俺75点」 「私65だったー」 どうでもいい、そんな雑音があちこちから湧いている。 本当にどうでもいいの? どうでもいいに決まってる。 うっそだー。僕は君の本質を知ってるよ。 本質がそのままイコールで私を形作ってるなんて思わないで。理性で覆いかぶせることができればそんなものは私のものとして成立しないわ。 意地張っちゃって。まあどうせすぐにでも理性を突き破って出てくるだろうから、楽しみだ。 「はーい、前向いて。えーとじゃあ今回のテス
僕は本当に運が良いらしい。 昨日たまたま開いた動画で、自分が生まれてくる確率が多大なる分母のうちの一であると言っていた。 ああ、なんて僕は運がいいのだろうか。 「日本時間今日未明、〇〇と△△が戦闘状態に入ったと―」 夕暮れ時のニュースから流れてくるのは、少し遠い国の戦争の話だった。 「最近物騒ね」 「うん」 そう母に返事をしながら、網戸越しのセミの鳴き声を背に、出された唐揚げを頬張る。 サクサクの衣と、中から旨みしかない油が口の中に押し寄せた。 舌鼓を打
こんにちは。 今日は最近読んだマンガにさっそく影響を受けて暗号を作ってみたので読んでくださった皆さんには、ぜひ解いてみて欲しいと思います。 暗号ってなんじゃ と、そんな人に軽く説明。 有名なものはカエサル暗号です。 これは書かれている文字から一字ずらして解読する暗号です。 例えば、「apple」 をカエサル暗号で暗号化すると 「bqqmf」 となります。 では例題、 ヒント:五十音順 正解は… 「こんにちは」です。 できましたか? こんな感じで解読することを暗号と思
私を私たらしめるもの。 十年前からずっと探していたそれが、最近ようやく見つかった。
「どうして働いてるの?」 なんとはなしに、小さい頃そう母に訪ねたのを思い出す。 「んー、誰かの役に立てるから、かな」 今思えば子供騙しのようなその答えでも、当時の私は納得した。 では、今の私に問う。 お前はなぜ働く? 「どうしてこの会社で働きたいの?」 大学からの帰り道、私の中をこの投げかけがぐるぐると回っていた。 日は傾き始め、オレンジになりかけの空を半分覆うように、怪しい雲が段々とこちらに押し寄せてきていた。 一歩一歩が明らかにいつもより重く、ズリ
曇天模様の空、灰の世界の中を動く人々や車、建物に植物色ある全てが際立って鮮やかになっている。 「やっぱり降りそうじゃん」 「天気予報では降水確率50パーセントだったのよ。降らないでしょ」 「50パーセントは多分降るって」 「多分でしょ多分。それに降ってきたらコンビニで傘買えばいいじゃない」 「それが無駄だから傘持ってきたの。私は」 背景が無彩色のゆっくりと動く外の世界を、ファストフード店の窓際の席から望む女が二人。 「だって、傘ってかさばるじゃない。折り畳みは
「あ、宝くじ売ってる。買っちゃおっかな」 「えー、どうせ当たらないよ」 大通りの歩道にある桜はもう既にピンクを少し残し、そのほとんどが緑となりつつあった。その道を歩く女が二人。そのわきにある、少し狭くなった路地の宝くじ売り場の前で足を止める。 「何を言ってるのよ。当てればいいのよ当てれば」 茶色のショート髪を右手でさっと流すと、明里は肩にかけていたカバンから財布を取り出す。 「あんたも買えば? 人生変わるわよ」 「当たればのはなしだよ、それ。私はいいかな」 玲
とある喫茶店に向かい合って座る女が二人。 「なんか今日暑いわねぇ」 一人はショートの髪を明るい茶色に染めており、小奇麗にも白いブラウスを着て、とてもライトな水色のパンツを履いている。 「そんなことないよ。少し肌寒い…」 もう一人は、長い黒髪に黒縁の眼鏡。暗めのTシャツの上に黒のカーディガンを纏い、グレーのロングスカートを履いている。 「そういえば玲子昔から寒がりだもんね」 「明里ちゃんが暑がりなんだよ」 窓外の歩道沿いには桜のつぼみがいっぱいに膨らんで、今にも
とある夏の日の夕方。 未だ日中の熱を蓄えたアスファルトの上を、私はコンビニの帰りに一人歩いていた。 橙色を背景に空を飛ぶカラスも、暑さにやられたのか、その鳴く声は喉から絞られたようなものだった。 夕陽を背に、前に伸びる影が私に問いかけてくる。 「全くお前というやつは、いつになったらまともに生きていけるんだか。二十代も半ばというのに、今でも親におんぶに抱っこ。そろそろ自立でもしたらどうなんだよ」 「…そんなの、わかってる」 「いーや、わかってないね。わかってるなら
「今日、どうだった?」 女が尋ねる。 「楽しかったよ」 男が答える。 屋上のコンクリートの上に男女が二人、並んで腰を下ろしていた。 「よかった。わたしもね、楽しかったよ」 女は明るい笑顔を男に向けながら続ける。 「川辺一緒に散歩して、花桃見てさ。綺麗だったよね」 「そうだね」 淡白に男は返す。 「近くのベンチで、一緒に私の作ってきたサンドイッチ食べて。ってそういえば味どうだった?」 「美味しかったよ」 「ならよかったぁー」 二人の上をカラスが羽音を
こんにちは。 最近AIと戯れてきましたが、今回はまた別の遊びをやっていきたいと思います。 それはズバリ・・・ ”自分を物語の主人公にしてしまおう” という遊びです。 一見何それというものだと思いますが、百聞は一見に如かずということで、さっそくやっていこうと思います。 自分の物語 最近色々と話題の大谷選手ですが、やはりまだ記憶に残っているのは、昨年3月のWBC決勝の最後のシーン。 もうあそこで三振を取ってしまうなんてまさに主人公って感じでした。 そう考えてしまうと、私は
こんにちは。 今日はAI(CtatGPT)と私で一句読み合って、どちらがどちらの作品なのか当てていただこうと思います。 ここで一句 「桜」という季語を用いた俳句となっております。 一つ目の俳句はこちら。 二つ目の俳句はこちら。 さて、AとBどちらがAIでどちらが私の俳句でしょうか。 正解は・・・ Aが私の俳句、BがAIの俳句となっております。 正解できたでしょうか。 もう普通に出されたらどちらが人間でどちらがAIなのか本当に区別が難しいです。 一応AIに、ど
前回の記事でAI(ChatGPT)には倫理的な価値観や道徳的判断は持ち合わせていない、ということだったのですが、本当にそうなのか気になってしまったので、調べてみることにしました。 トロッコ問題 倫理観や道徳について考えるなら「トロッコ問題」が一番早いと思い、私はAIに尋ねてみました。 Q:次の質問に答えてください。 線路を走るトロッコが制御不能となってしまいました。 このままでは、前方にいる作業員5人が轢かれて確実に死んでしまいます。 この時、とあるAという人物がたまた