見出し画像

で結局どうすりゃいいの?

大きな荷物をお持ちのお客様は
周りの方のご迷惑にならないよう
ご協力ください。

よくある電車内アナウンスです。

でもこれ、考えてみたらすごい曖昧な指示ですよね。
結局わたしのこの荷物、どうするのが正解なの?という。

記憶の限りで思い起こせば、以前は

網棚をご利用ください、だの
前に抱えてお持ちください、だの
床に置かないでください、だの

指示が明確だったような気がします。
これなら分かりやすい。

でも言い方が変わったのには、何か理由があるはずです。
なぜ、曖昧な表現になったのか。


ここからは想像です。

網棚に置いた場合、デメリットとして忘れ物が増えることが予想されます。
また、網棚に置いた荷物を回収する際にぶつかっただの、置き方が悪くて落ちてきただのと、乗客同士のトラブルに繋がる可能性もあるでしょう。

大きすぎるリュックサックは、良かれと思って前に抱えて持ったら逆に邪魔、という場合もあります。
ブルドーザーのようにリュックでぎゅうぎゅう押し込められて、わしゃ土砂かと思ったことも多々。

床に置いたら、道を塞ぐことになり危険が増すように思われますが、荷物の形状や立ち位置によっては床置きが最も適切、ということもあるでしょう。

つまり、
網棚を使っても
前に抱えても
床に置かなくても
時と場合によりトラブルが起きる可能性は捨てきれない。

前に抱えろって言うから前で持ったのに、他の乗客に怒られてしまった…というクレームも発生しうるかもしれません。

すべての細かな指示は万能ではなかった
だから引っ込められた、のかもしれません。

ただ、混雑した車内では互いの荷物が邪魔、という前提は変わっていないので、乗客同士の苛立ちを最小限に食い止める為に何かしらの注意喚起をする必要があります。

そこで、どうとでも取れる曖昧な文言を選ぶことにしたのではないか。

以上のことから
アナウンスの意図を汲み取って表現するならば

大きな荷物をお持ちのお客様は

(網棚を使うか
 前に抱えて持つか
 場合によっては床に置くことも検討し
 自分の荷物と状況とを鑑みて
 どうするのが適切かをよーく考えて)

周りの方のご迷惑にならないよう
ご協力ください。

ということなのかもしれません。

日本語は省略の美。
曖昧の美とも言えるかもしれません。

今、いい?とか(何が?誰が?どのくらい?)
まぁ…はあ。とか(いいの?ダメなの?)

全方向からの苦情を避け続けた結果、超絶ぼんやりした指示をして、受け手のご想像に任せつつ忖度に期待する、という処置はお国柄、なのかもしれませんね。

なんか…
ぶつかりもしないけど
問題点も解決しなさそう。
(そして現にうちの会社とかそうなってる)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?