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跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること 【ゆるっと感想文】6

「見えるところは見なさんな」と美輪明宏さんが仰っていた。

小さい頃から
「人間は見た目じゃなくて中身を見なさい」と言われて育ってきた。

私はそれらをどれだけ
実行できているだろうか。


肉体と魂(心)が別物だということは
当たり前のこととして
認識されているはずなのに

実際に「自分とは違う」と感じる
容姿や行動をとる人のことを
知らずのうちに排除してないだろうか。


この本を手に取ったのは
所謂「自分とは違う」と無意識的に線引きをしているであろう自閉症者の方が
普段どんなことを考えているのか知りたかったからだ。

突然の奇声やその挙動に
彼らの意思が宿っているのかも知りたかった。

読んでみてわかったのは
やはり肉体はただの乗り物であり
彼らの魂や心の声はべつにあるのだということ。

そしてもちろんその声は
私と同じであるということ。


他者を理解したいと
寄り添うことこそが大切で

真に理解できているかどうかの答え合わせは
そこまで重要ではないような気がする。


小さい頃の僕は、
普通になった自分を想像するたび、
胸が苦しくなっていました。

このままの僕では
だめだという気持ちが強かったのです。



幸福な自分を想像することで、
今の僕は、
本当の自分ではないと思いたかったのでしょう。

僕は他の誰かになりたかったのです。


それが叶わない夢だと知ってからは、
自分の生きる道を真剣に模索し始めました。
どんな自分も自分なのです。

それはどうしようもないことですが、
現実世界だからこそ、
叶えられる夢もあります。

〈中略〉


想像とは、別次元の架空の世界です。

僕の幸せは、
現実世界だけでしかつかめないのです。

『跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること』より
想像上の僕(P160)
東田直樹


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