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短歌「夢の雫」六首

【満開と淡き彩り萌える中 芽生えし思い逃げ水の如】 【その思ひ散り行く花と儚くも 届かぬ心風に吹かれん】 【風向きの変わりて憂い消え去りし 月の光に浮び来る君】 【彼の人は菖蒲の香り仄かなり この手を取りて誘い行かん】 【夢幻の淡き光ぼうとして 青葉より雫ぽつり落つ】 【微睡みに夢から覚めて春の雨 青葉を滑り嫋やかに落つ】 📝 昨日の夜明けの雨は凄い降りでしたが 其の後からは音もなく静かな降り、そして晴れ間も。 その様な中、庭を眺めて居りました

短歌 de ポエム【並木】

この並木 思い出深く 日々歩む 春夏秋冬 折々の花 この並木 フルフルそよぎ 爽やかな 煌めく若葉 頬撫でる風 この並木 マロニエの咲く 初夏近し 愛おしき君と 交わす眼差し この並木 寄り添う二人 見守りて 星霜の日々 散りぬる日々 この並木 片割れ時の 物悲し 君待つ吾そ 独り歩みぬ この並木 ハラハラ零る 心に雨 吾に重なる 黄葉の影 この並木 凍れる風情 冬枯れの 侘しさ漂い 仰ぐ天空 この並木 春の訪れ 感じつつ 独り佇み 懐かしき哉 此

ポエム【季節の移ろいと貴方】

〽[林檎の花ほころび   川面にかすみたち   君なき里にも   春は忍びよりぬ] 小さな声で口ずさみたい季節です。 春 柔らかな光の季節 川の流れに陽射しが煌めく 川面に浮かぶ白い花 清純なオフェーリアのようだわ 夏 向日葵は太陽の長女 貴方の横顔に目を留める 端正さの中に優しさが溢れる 神がその面を彫るとき 鑿《のみ》の手元が狂ったのか 完璧さに影を落とす頬の線 それは魅力的なスパイスとなり 出逢った人を魅了する 秋 移り行く季節の儘に 緑の葉を残しつ 黄色から

俳句【春の寒芍薬】五句

✒【風光るひと日に揺れて寒芍薬】 キンポウゲ科の花で12月頃から翌年の3月頃とも2月頃から5月頃までと、 何れにしても花期が長く人気のクリスマスローズ。 今回は[春]の季語で、和名の[寒芍薬]を詠んで見ました。 ✒【春風と戯れ遊ぶ寒芍薬】 冬の貴婦人とも、冬の宝石とも言われるクリスマスローズは、明治から大正にかけ日本に薬用植物として導入されたものは一重咲きの原種(ニゲル)と思われます。 現在の品種改良された八重咲や色数の多さによる派手さの無い 俯いた静かな風情から和名は

【短歌】8首/花々と星空のアダージョ

1.密やかな夜風の中で花々は揺れて香りの言の葉交わす 2.宙は虹色ときはなち咲く花の芳香麗し沈丁花 3.揺れ動く短き命花のよに瞳の奥に吾子の面影 4.呼応する互いの思い流れ星今宵も届く言霊ひとつ 5.星月夜濃藍の宙に星々は撓むる如き煌めき飛ばす 6.瞼閉じ聴き入る星の音微やかに響く記憶のガムランボール 7.アポロンよ夜の帳が降りる前 宙に記すは愛ぐし人の名 8.ヴィオロンの流る旋律懐かしく囁きかける愛のアダージョ

自由詩「落ち葉の会話」

「ねえ、あなた何処から来たの」 「私は、風に舞いながら果てしも無い野原から」 「私はね、水の面を漂って川岸の葦に引っ掛かった所  強い風に吹き上げられてよ」 「何処に、行くかは風まかせね」 「そう、そして何時か干からびて空中分散して無くなるのよ」 「私達が新芽を出した頃、美しい日だった。 美男のアポロン様のキスで伸び伸びと体を広げた穏やかな朝」 「そう、空は青く冷たく澄んだ川は流れ、私達は空中で揺れていたわ」 「川面に映った自分の姿のしなやかさにウットリ」 「