見出し画像

#7 火を着けたばかりのタバコを捨てて喫煙所から逃げる

 懐かしい店に行った。高校時代によく行っていたラーメン屋だ。家から近いのに何故だか近頃足が遠のいていた。家系ラーメンがもう自分にはしんどいのかもしれない。高校時代の僕は毎回スープ濃い目油多め麺硬めというヤングが爆発した注文をしていた。
 その前日に高校の頃からの友人2人と高校の近くの公園でワン缶をしていたからなのだろうか。久々に高校の近くに行ったものだから何だか懐かしい気持ちになり、その翌日に懐かしのラーメン屋に行ったというわけだ。
 うわー値上げしてんじゃん、まあそっか。店の従業員も知らないお兄さんしかいないな。とか思いながら食券で券を買いカウンターに座る。小汚さとビミョーなBGMは相変わらずである。イヤホンをつけて金属バットのラジオでも聴こう。
 ラーメンが来た。久々だな、と改めて思いながらスープを一口。こめかみの血管がキューってなる。比較的健康な食事しか摂っていなかった僕にとって、この塩分と脂の塊は久々の感覚だった。
 ストレス・不規則な生活リズム・タバコ・コーヒーのクワトロコンボで口臭がやばすぎる今の僕に追い打ちをかけるようにラーメンを食らってしまった。口が臭すぎる。一旦タバコでも吸おうか。爪楊枝を咥えながら店を出る。ラーメンからのタバコは飛ぶほど美味い。クラプトンのギターソロと言っても過言では無い。
 大量の脂とニンニクを摂取したせいで、お腹が痛い。本当に申し訳無いです。密室の喫煙所でオナラをしてしまった。正確にいうとオナラをしようとしてしまったと言った方が良いだろう。
 ウンチを漏らしちゃった。
オナラだと思ったら肛門がネチョ、パフ。あーヤッピー。ゆるゆるウンチぴーやじゃん。脂にやられてお腹が緩くなってしまったのだろう。
タバコに火を着けて一吸いして脱糞。タバコを咥えたまま一旦考えた。一本吸い終わってからトイレに行くべきか。激臭をサラリーマンの皆様にお届けする前にこの場から立ち去るべきか。もう一吸いした。よし、逃げるぞ。
 ああ。こんな自分が情け無いがこれも僕。受け入れよう。こういう時僕は毎回、電話がかかってきたフリをしてその場から逃げるのだ。「コイツ火つけたばっかじゃん、どしたん?」とか思われたらどうしよう、と自意識過剰気味だが考えてしまう。ウンジミパンツを穿きながら若干ガニ股で電話がかかってきたフリをしながら、喫煙所を脱出した。
 トイレでお尻を拭いてパンツを脱ぐ。コイツをどうしようかな。穿きたくねえなあ。握って帰ろう。ノーパンだっていいじゃないか。
 ウンコパンツを左手で握りしめ、片手運転の自転車で帰路に着く。ピンクのパンツを穿いてきたのは間違いだった。まさかパンツを握ってるとは誰も思わないか。思ったよりパンツってあったかいんだなと感じた冬の夕方の一コマ。

この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

今日やったこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?