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鎌倉の虚空蔵堂は忍性の足跡では

鎌倉の極楽寺切通しの入口に虚空蔵堂がある。虚空蔵信仰は全国的にめずらしい。本来、虚空蔵求聞持法は真言を百万回唱え記憶力を増す修行法だが、今日では主に子供の学業の向上の功徳で信仰されているところが全国ところどころにある程度だ。ちなみに鎌倉殿の13人を見た方には忘れられない「オンタラクソワカ」は虚空蔵菩薩の真言。しかしなぜ鎌倉にあるのか確かな説を聞いたことはないけれど、私は忍性の痕跡だと思う。虚空蔵求聞持法は奈良時代に道慈という人がもたらした。この道慈は奈良の額安寺の初代住持となり、虚空蔵菩薩を本尊とした。忍性はこの額安寺で若い時に出家し修行したから、虚空蔵信仰に馴染んでいたことは明らか。
虚空蔵菩薩は明けの明星をシンボルとする。忍性が若い頃山林修行した竹林寺は生駒山山麓、東に大和盆地が開けるところにある。ここで明けの明星に向かい修行したのだろう。

虚空蔵堂から右上に明けの明星。

鎌倉の虚空蔵堂も東に鎌倉の街が開ける少し高いところにある。極楽寺は谷間にあり東の空は見えにくいから、切通しを越えて東に開けたところに虚空蔵菩薩をまつったのかもしれない。極楽寺の東、霊仙山(りょうぜんやま)中腹にかつてあった仏法寺はもっと東の眺めがいい。このあたりは明けの明星を拝する修行の場だったのかもと思う。

霊仙山からの明けの明星

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