看護師賠償責任保険の重要性を伝えたい④/弁護士への相談・心療内科受診・自宅待機期間開始

 弁護士へ今回の件を相談した。その際のやり取りは省略するが、受けた助言などを要約すると、自宅待機を命じられたのであればその根拠と理由と期間を書面でもらうこと、会話の録音データは合法ではないが仮に裁判になった場合に証拠として有効である、とのものであった。そして、やっていないことを認める書面は出すべきではない、とのことであった。
 時間が経過した今だから冷静に考えることができる。看護部長と事務長に脅された、傷害事件になれば看護師免許を失うことになるかもしれない、謝罪して家族への感情に寄り添い問題化しないことでそれを回避できる、という論法はあり得ない。明らかに組織優先の考え方であると思う。意図してやっていないことで看護師免許を失う可能性は極めて低いのに関わらず、謝罪文など書いてしまえばその後の裁判や事件化した時に証拠となってしまう。
 看護部長より部長室へ来るようにと日時を言われたが、その前日に電話して伝えた。「謝罪文のことですが、書く気は無いです。理由は暴力行為などやっていないからです。」と。呼び出し当日、看護部長と事務長が部長室で待っており、面談となった。事務長から先に、”謝罪文を書く気がないと聞いたが、もし刑事事件になって傷害罪などに問われることになれば看護師免許を失う可能性もあるけれどそれでも良いのか?もし家族がそうした対応を求めるなら病院側も家族に全面的に協力することになる。”と言われ、それで良いと返すと事務長の表情が不快を表すようなものに変わった。看護部長からは、”謝罪文を書くことが前提であったが話がかわった。自宅待機がいつまでになるか分からない。”と言われた。了承し、弁護士の助言の通り書面での通知を求めると、両者とも少し驚いた表情をし、それから後日郵送で送ることを約束した。その場では口頭で、職務権限を停止すること、敷地内への立ち入りを禁止すること、それらを守るなら給与を保証することなどが記載されていた。その日はそれを聞いて帰宅した。
 それから数日後、郵送で自宅待機命令書が送られてきた。改めて文章で見ると、怒りと、悔しさが込み上げてきた。この時の気持ちは、この後どうなるのかという不安と、何があっても戦うし自分の利益のためにできることをやろうという気持ち、また、いっそ休暇だと開き直ろうという考えなどがあり、情緒不安定だったと思う。
 訴訟への不安など考えていると、看護師賠償責任保険のことを思い出した。これまで自分には関係ないと思っていたため失念していた。保障内容を見直すと、とても心強いものだった。
・事故の賠償1億円まで。
・弁護士費用保障。
・団体保障に加入していることから心身の不調で休職した場合ほぼ全額月々給与保障。
 訴訟への不安に加え、仮に何事もなくこの事案が収束したとして、人間関係や信頼関係が大切な病棟看護師として戻ることができるのだろうか、とも考えていた。そもそも戻りたくないと思っていた。病院内の同僚に心療内科領域の診断で休職しているひとが何人かいて、話を聞いたこともあり、最悪休職しようかとも思っていたが、健康保険の手当からでは6−7割程度しか保障されず、夜勤手当なしの基本給からさらに減額されては生活できない、と思っていた。それが保険で解決することができると分かり、かなり精神的に楽になった。休職は組織に迷惑がかかるからするべきではない、という思いはとっくに無かった。すぐに心療内科を予約して、受診した。初診ではカウンセリングを受け、診断書はいつでも出すことができると医師より言ってもらえた。というかそもそもそういうものであるとのこと。
 書類と録音データを揃えて裁判に、心療内科を受診して休職へ、看護師賠償責任保険の内容を再度見直し、自分の備えは整った。あとは夏休みだと思って自宅で好きなことをして過ごし、職場からの連絡を待つ日々だった。


この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?