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『一寸先の闇』澤村 伊智



ソレは突然現れる。
ある時はマンションの踊り場に、又ある時は溝の中から。
時も場所も関係なく。

澤村さんが紡ぐ21編の物語はまるで恐怖の玉手箱。
開けたら最後、結末まで決して目を逸らす事は出来ない。
擬音語の不気味さに慄き、予測不可能な展開に翻弄され続ける。

其々の物語はどれも皆、狂気を孕んでいるが特に怖さを感じたのは「みぞ」「血」「さきのばし」「通夜の帰り」「残された日記」。

タイトル『一寸先の闇』の通り見通しが立たない真っ暗な場所に迷い込んだ感覚に陥った。

様々な恐怖を味わえるが説明がつかないものこそが一番恐ろしい。




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